「ユーロ圏以外からの調達」に苦しむユーロと、「最狂政策パッケージ」に苦しむ日本

注目された独仏首脳会談の成果は「ユーロ崩壊回避」に向けての「独仏の意思統一」だけであった。

「独仏の意思統一」を図るために、フランスは「財政規律を守れなかった赤字国に対する自動的制裁」でドイツの主張を最大限受け入れ、民間債権者への損失負担を盛り込むよう求めて来たドイツは、「ESMは国際通貨基金(IMF)の原則、手続きを尊重する」との表現にとどめ、民間債権者への負担を求めたギリシャ国債の債務減免措置は例外との認識を示し、フランスに譲歩した。

こうした「独仏の意思統一」の代償は、S&Pによる「ユーロ圏一斉格下げ検討」というもの。

現在のEFSFも、早期移行で合意したEMSも、資金調達面で独仏の格付けがAAAであることを前提として計画されたもの。独仏両国がAAAという格付けを失えば、資金調達が計画通り進む保証も無くなってしまう。

現時点でユーロ崩壊を防げるかどうかは、「EFSFがユーロ圏以外から資金調達が出来るか否か」にかかっている。「ユーロ圏内での資金調達」では、資金調達に応じた国が格下げリスクを負うことになるからである。

今回独仏首脳会議では「民間債権者に負担を求めない」ことで合意した。これは、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)市場でユーロ圏国債がイベント条項に抵触しないようにするための措置であると同時に、ユーロ圏国債の投資家を保護することで資金調達に支障を来さないようにするための妥協だと思われる。

「民間債権者に負担を求めない」ということは、「債券発行国が負担する」ということと同義である。つまり、「民間債権者に負担を求めない」という合意は、各国の財政負担が軽減されないという経路で、国の格下げリスクを高めるもの。

EFSFの規模を直ぐに1兆ユーロに拡大することが期待薄の中、焦点は「財政規律を守れなかった赤字国に対する自動的制裁」でフランスがドイツに譲歩したことで、ECBの関与を認めて来なかったドイツが、市場に根強く存在するECB関与待望論で譲歩するかである。しかし、ECBの関与の拡大は、結果的にECB出資国の財政リスクを拡大するものであり、一時的なソブリン危機の緩和には効果を発揮するかもしれないが、今回と同様「ユーロ圏の一斉格下げ」のリスクを高めるもので欧州問題の根本的な解決策にはならないもの。

ユーロ圏各国が「格下げリスク」に晒されることなくソブリン危機を脱出出来るか否かが、「EFSFがユーロ圏以外から資金調達が出来るか否か」にかかっている状況に変化はない。こうした根本的な問題を解決する有効な政策が見当たらないため、今回の独仏首脳会談では、「ユーロ崩壊回避」に向けての「独仏の意思統一」を演出するものとなってしまった。

欧州が「ユーロ圏以外からの資金調達」に苦しんでいるのを横目に、日本では5日から始まった「個人向け復興国債」の販売が好調で、通常の個人国債に比べて初日の販売額が2倍に達したことが報じられている。自国で必要な資金を、自国で調達出来るところが日本経済の最大の強みである。

しかし、個人向け復興国債の発行に関する「経済音痴内閣」の政策は、目を覆いたくなるハチャメチャなもの。

財務省は6日、東日本大震災の復興財源にあてる個人向け復興国債で、記念に金貨・銀貨がもらえる新タイプの商品を来年3月から発売すると発表した。5日発売した個人向け復興国債から「安住財務相の感謝状」が貰えるようにしたが、何の御利益もない「安住財務相の感謝状」では不安だったのか、さらに豪華な特典も付けることにしたようだ。

豪華な特典の内容は、国債1000万円分の保有で1万円金貨を1枚、国債100万円分の保有で千円銀貨を1枚貰えるというもの。しかも、両硬貨は鋳造費用が額面価格を超える「プレミアム型」となる予定。簡単に言えば、「国債の発行コストを0.1%+α引上げた」ということ。おバカキャラの「安住財務相の感謝状」を付けるという発想も信じ難いものだが、こちらは感謝状代程度しかコストがかからないため笑い話で済ませることが出来る。しかし、「プレミアム型」金銀硬貨を特典に付けるという発想は許し難いもの。

「経済音痴内閣」は、社会保障と税の一体改革、つまり財政再建のために「消費増税に不退転の決意で臨む」ことを表明したばかり。財政再建のために増税に「不退転の決意」で臨む内閣が、特典を付けなくても消化が十分可能な個人向け国債に、わざわざコストをかけて財政負担を増やす(個人向け復興国債は1兆5000億円が発行される予定だが、この発行コストを0.1%上昇させると15億円不必要な財政負担が生じることになる)政策を打ち出すのは「経済音痴」の域を超越したもので、許されるものではない。

欧州は「ユーロ圏以外からの資金調達」に苦しんでいるが、日本は「無駄な財政支出と増税」という「最狂の政策パッケージ」で財政再建に突き進む「無能内閣」に苦しめられている。
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近藤駿介

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