「逃げず、ぶれず、先送りせず」という「ドジョウ節」によって「逃げ場なく、ぶれることなく、想定より早く」「破滅」に向かう日本経済

「逃げずに、ぶれずに、先送りせずにしっかりと結論を出していきたい」。

野田首相は22日、経団連の評議員会で挨拶し、お得意の「ドジョウ節」を披露した。

首相は「逃げず、ぶれず、先送りせず」がリーダーシップだと考えているようだが、それはあくまで「正しい選択」の場合である。「正しい選択」か「誤った選択」なのかを判断する過程では、「虚心坦懐に」「注視し」、「誤った選択」であった場合には、「直ちに」「襟を正し」「断固たる措置」をとらなくてはならない。

「誤った選択」を「逃げず、ぶれず、先送りせず」という姿勢で推し進めれば、待っているのは「破滅」である。太平洋戦争に突き進んだ時のように。

「正しい選択」か「「誤った選択」かの議論を省略して首相が「逃げず、ぶれず、先送りせず」に突き進む消費増税素案作りにおいては、景気動向を踏まえて増税を凍結する「弾力条項」が大きな焦点となっている。「正しい選択」か「「誤った選択」かの議論を省略して「弾力条項」の「条件闘争」に持ち込み、議論を矮小化させてしまうところが野田総理の姑息なところ。

「弾力条項」について、政府は名目GDP成長率など、具体的な数値を掲げることに慎重な姿勢を示している。

22日の臨時閣議で決定された政府の2012年度名目GDP見通しは、「欧州債務危機に揺らぐ世界経済が着実に回復する」ことを前提に、名目GDPの15%強を占める輸出が2011年度の前年度比±0%から2012年度には前年度6.5%増と急回復することに期待し、前年度比2.2%という高い成長率見通しとなっている。民間20社の予測が平均前年度比1.8%となっていることと比較しても、政府の景気見通しがかなり楽観的になっていることは明白である。

年度のデフレーターが13年度連続で前年度比マイナスを記録し「デフレ経済」から脱却出来ない状況が続こうが、12月の基準改定で金融機関の利ざやが付加価値に加える等の見直しが行われ5兆~10兆円かさ上げされたとの見方が強い名目GDPですら2010年度は改訂前の前年度比+1.1%から+0.4%へと下方修正されようが、政府が「現実離れした高い経済見通し」を掲げることによって、全て「景気は踊り場にある」の一言で片付けられる些細なものになってしまう。

こうした現実の厳しい経済状況から「逃げる」ことしか念頭にない「姑息・詭弁内閣」にとって、名目GDP成長率など具体的な数値に基づいた「弾力条項」など受ける筈がない。

「姑息・詭弁内閣」が狙っているのは、おそらく「消費増税」実施時期を明記することによって生じることが確実な「駆け込み需要」によるGDPの押上げである。消費税が3%から5%に引上げられた(1997年4月)際には、その前年度1996年度の名目GDPは家計最終消費支出が前年度比2.7%伸びたことで、前年度比2.2%の上昇を記録している。しかし、「駆け込み需要」の反動も大きく、翌年1998年度から2年連続で名目GDPはマイナスに転じてしまう。

今回野田内閣が、消費増税の時期を2回に分けることを考えているのは、こうした前回の轍を踏まないようにしたものなのだろう。消費増税を2回に分け、2回の「駆け込み需要」が発生させることにより、消費増税実施後に名目GDPが2年連続で下落するような失態を避けようと姑息なことを画策しているとしか思えない。

しかし、こうした小手先の誤魔化しをしても、意味はない。この12月に改訂された名目GDP統計を見ると、偶然かもしれないが、消費増税が実施された1997年度の521兆2954億円をピークに、2010年度の479兆2046億円まで、13年連続で8.1%下落している。

「逃げずに、ぶれずに、先送りせずにしっかりと結論を出していきたい」と、「不退転の決意」で「増税による財政再建」に突き進む野田総理にとって、「努力目標」に過ぎない「名目GDP3%成長」など「国益」のうちに入らないのだろう。

「日本の一番の武器というのは『人材』だと思います」(「日本の一番の武器とは」2011年12月07日付「官邸かわら版~総理の語録」)と発言している野田総理。自らを「人材」だと勘違いしているのだろうか。

所信表明演説で、野党に「政治家としての覚悟と器量を示そうではありませんか」と訴えた野田総理。日本経済の厳しい状況を「虚心坦懐」に「注視」しない自分自身にも、是非この言葉をかけて貰いたいものである。さもないと、日本経済は「逃げ場なく、ぶれることなく、想定より早く」「破滅」に向かうことになりかねない。
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