次の世代に引き継ぐ国富が消えて行く~2000億円の年金が消え、280億円の公的資金が失われた

「当時の判断としては当然だった」

エルピーダメモリが会社更生法適用申請に至ったことについて、枝野経済産業相は急激な円高と東日本大震災、タイの洪水により、需要低迷と価格下落に見舞われ本業が厳しい状況にあったと説明。雇用や生産を守ることが可能との判断に基づき、2009年8月に改正産業活力再生法を活用して公的資金を投入して支援を決めた判断は適切だったという見解を示した。

確かに、公的支援を行った「当時の判断」は当然だったかもしれない。しかし、忘れてならないことは、「当然の判断」を下したのは自民党の麻生内閣だったこと。

「当然の判断」を下した2ヶ月後に政権交代を果たして誕生した民主党政権は、その後「円高」「デフレ」を放置し、「当然の判断」が下された当時95円台であった為替は、一時75円台と、「一企業ではカバーすることが出来ない」水準まで円高が進行してしまった。

敗軍の将、坂本社長は、記者会見で会社更生法申請の理由として「一番大きいのは、この1年間で為替が大きく円高に振れたことだ。この変動の大きさを一企業ではカバーすることができなかった」と述べた。

2月14日に日銀が「君子豹変」して追加的金融緩和に踏み切り、それを契機に為替市場では円安に転じて来ているが、遅きに失した格好。「円高」「デフレ」を放置するという「その後の判断」の誤りが、当然だった「当時の判断」を無駄にしてしまった。

一方、2000億円の年金が消えたAIJ事件。これだけの大規模な年金が消えた割には、報道は既にフェイドアウト気味である。

メディアは殆ど報じていないが、ネットで公開されているAIJの第22期事業報告書をみて気になった点の一つは(気になる点はその他にも幾つもあった)、AIJが、報じられている約2000億円の企業年金資産を上回る約2070億円の資金を2件の海外投資家から預かっていたこと。1件当たり1000億円もの資金を、数年前に既に「日本版マドフ」と指摘されている独立系投資顧問に、誰が、何の目的で預けているのだろうか。もしかしたら、この辺りにAIJ問題の核心があるのかもしれない。

AIJ問題の核心はともかくも、歴代政府の「経済政策の失敗」によって、日本の年金は消え、公的資金は失われることになった。野田総理は「次の世代にツケを残してはならない」というキャッチフレーズを掲げて消費増税に不退転の決意で突き進んでいるが、まずは「次の世代に残せる国富が日々失われている」ことを自覚するべきである。
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