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野田内閣の広報誌に成り下がった日本を代表する経済紙~正反対に報じられるOECD事務総長発言

「TPP交渉参加の判断を先送りするな」「自民党は国会で責任を果たせ」「増税は緊急課題 OECD事務総長」

25日付の日本経済新聞の紙面は、日本を代表する経済紙というよりも、野田内閣の広報誌と見間違うようであった。

「増税は緊急課題 OECD事務総長」という見出しの記事では、来日中のOECDグリア事務総長が日本経済新聞のインタビューで、「野田政権が掲げている消費増税に関して『全面的に支持する』と評価した。一方で、政治的な対立などで消費増税の決定に時間がかかっていることに対して『決定は迅速にする必要がある』と苦言を呈した」、「財政健全化には『歳出削減と歳入増の両方が必要だが、歳出削減の余地は限られている』と説明し、増税の重要性を説いた。また『増税の成長に対する短期的なマイナス効果は、税収の構成を変えることで可能だ』と語り、消費税を含む間接税を中心とした税収構造への移行を提言した」と報じている。

OECDという国際機関というトラの威を借りた消費増税原理主義者のお得意のやり方だが、こうした報道を鵜呑みにするのは非常に危険である。

2011年の日本のOECDに対する資金貢献比率は12.22%で、22.21%の米国に次ぐOECDの大スポンサーである。OECDの事務総長が、大スポンサーである日本を訪れ、日本の方針を非難するはずはない。極端な言い方をすれば、日本とOECDの関係は、AIJ事件における浅川AIJ投資顧問社長(日本)とアイティーエム証券西村社長(OECD)のようなもの。こうした強い利害関係で結ばれた機関が、野田政権の政策をいくら支持しても、それは客観的なものにはならない。

くしくも、野村総合研究所の主席研究員であるリチャード・クー氏は、4月23日付のレポートのなかで、次のようなコメントをしている。

「ベルリンの経済会議に参加した OECD(経済協力開発機構)のグリア事務総長は、早急な財政再建に対する強い警告を打ち出し、国際機関のなかでは同様の警告を出しているUNCTAD(国連貿易開発会議)に続いて慎重派に回った。
以前はオーソドックス経済学の牙城だった OECD のトップが早急な財政再建に対して警告を発したのは大きな変化であり、このことは、少なくとも一部の国々の政策担当者が、財政再建一色になっているユーロ圏の行方に懸念を持ち始めていることを示している」

「増税は緊急課題」と報じる日本経済新聞と、「早急な財政再建に対する強い警告を打ち出した」とするリチャード・クー氏の指摘は、全く正反対のもの。どちらが正しいのかは定かではないが、フランスの大統領選挙で、支出削減よりも成長回復を優先するオランド候補が優位に立っていることや、オランダでも財政赤字削減策を巡り連立政権が崩壊し、「ドイツを中心とした緊縮策優先アプローチの副作用が具体的な形で表れてきた」(Reuters)ことから判断して、世界が「欧州債務危機、緊縮か成長か単純な答え見つからず」(Reuters)という方向に向かっていることは間違いない。

成長重視支持派の顔ぶれも、「ローレンス・サマーズ元米財務長官、ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン教授、経済学者のブラッド・デロング教授など米エコノミスト連合や、フランス大統領選候補者で社会主義者のフランソワ・オランド氏」(Reuters)と、野田総理や日本の財務相と違って経済の専門家と言われる重鎮達であり、OECDの事務総長と並んでも遜色のない権威である。

「緊縮一辺倒」から、「緊縮か成長か単純な答え見つからず」へと舵を切り始めてきた国際社会。こうした中で、「緊縮」だけが唯一の方策であるかのように報じ続ける日本の報道は、客観性に欠けるもの。唯一の救いは、これだけ消費税増税原理主義者達がマスコミを総動員して国民を洗脳しようとしているにもかかわらず、いっこうに消費増税支持が広がらないこと。恐らくこれは、日本国民が日本のマスコミ報道が客観性に欠けていることを漠然と感じてしまっているからであろう。

日本の財政よりも、日本のマスコミの報道姿勢の方が、より深刻、「待ったなし」に解決すべき日本の課題である。「結論の決まった議論」「世論を誘導するための報道」にはウンザリである。
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近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

著書

202X 金融資産消滅

著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

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