ノーベル賞もの?夢物語?〜成長戦略と財政健全化の両立

鳩山首相辞意表明を受けての東京市場は、為替市場で円安進行、日経平均株価はニューヨーク株式市場の大幅上昇等の後押しもあり今年最大の上昇を記録した。金融市場は後継首相候補の本命である菅副首相が「円安、成長戦略論者」と目されていることを歓迎した格好。

ただ、民主党の玄葉光一郎衆院財務金融委員長も菅氏支持の理由として挙げた「成長戦略と財政健全化の両立」に過度な期待は禁物だ。菅氏は立候補の記者会見で、過去20年の経済政策の「規模重視、効率軽視」の姿勢が失敗を招いたと指摘。「公共事業=悪」という風潮がはびこり「公共工事削減」が金科玉条の如く叫ばれている中、「問題なのは公共事業そのものではなく効率悪化だ」という旨の指摘したことについては大いに評価出来る。

しかし、「介護、保育が成長分野」という菅氏の考えは甚だ疑問だ。少なくともこれまで「介護」で経済成長を果たした国にお目に掛かったことはない。
経済成長に不可欠なのは「贅沢」だ。マイホーム、良い車、ブランド品…、経済成長を牽引するのはこうした国民の「贅沢」であり、生きる為の「必要経費」は、経済成長に寄与するものであっても、牽引するものにはなり得ない。

先進各国の財政が逼迫する中、世界最大の財政赤字を抱える日本で菅氏が「成長戦略と財政健全化の両立」を達成出来たらノーベル賞ものだ。菅氏がノーベル賞ものの政策を「腹案」として持っているのか、はたまた鳩山政権のお箱だった単なる「夢物語」なのか。既に長時間「夢物語」に付き合わされて来た金融市場が、何時までも菅氏を「成長戦略と財政健全化の両立」可能なリーダーだと信じ続ける保証は何処にもない。

民主党代表選挙は、で民主党代表選挙の常連である菅氏と、全国的には無名に近い樽床氏との一騎打ちの情勢。小沢氏と距離を置くグループが菅氏支持に回り、小沢氏に近いグループが自主投票を決めたことを考えると、菅氏が後継首相の最有力候補であることに変わりはない。民主党の議員達が、変り映えのしない「元祖総理大臣にしたい政治家トップ」の菅氏を選ぶのか、はたまた「未知数」の樽床氏を選ぶのか。それによって金融市場の反応も異なったものになる。

それにしても鳩山首相辞任に対するメディアの反応は信じ難いものだった。鳩山政権の支持率が20%を割り込み、2トップに対して声高に「責任」を求めたメディアの鳩山首相辞任に対する評価は、殆どが「無責任」「投げ出し」というネガティブなものだった。一体メディアはどの様な「責任」の取り方を考えていたのだろうか。過去の失政批判なら当然だが、メディアが求めた「責任」をとったことに対する批判は違和感を覚えずにはいられない。よもや、「責任は追及しても辞めないで」というのが本心だったのだろうか。

メルケル首相は「市場は自らの過ちを正せない」と金融市場を批判したが、今回の鳩山首相辞任劇からは「メディアは自らの過ちを正せない」という悲しい現実を感じずにはいられない。


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近藤駿介

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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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