久々の醜い社説~「マニフェスト違反」を奨励する日経が批判する「でっちあげ公約違反」

久々に酷い社説にお目に掛かった。

「控訴審の推移を冷静に見守りたいが、裁判の長期化によって、国政がこれ以上混乱したり停滞したりすることは許されない」

10日付日本経済新聞は、「波乱の中の小沢裁判第2幕」という社説を掲載、その中でこのような主張をした。日本経済新聞は小沢裁判の長期化自体には反対のようだ。しかし、小沢裁判の長期化を引き起こした3人の指定弁護人の判断に対しては何も触れていない。そこからは、「消費増税に反対する小沢元代表が控訴され政治的影響力が制限されている間に、消費増税関連法案を成立させてしまえ」という日本経済新聞の本音が透けて見えるようである。

この社説の最も醜いのは以下の下り。

「民主党執行部の対応もおかしい。小沢元代表が強制起訴された昨年、『無罪確定まで』という条件で党員資格停止処分にした。これは公党としての国民への約束というべきものだ。控訴期限までのわずかな期間をなぜ待たなかったのか。一審判決だけでの処分解除は公約違反で、党内外にかえってわだかまりを残したともいえる」

日本経済新聞は、「小沢元代表が強制起訴された昨年、『無罪確定まで』という条件で党員資格停止処分にした」ことを勝手に「公党としての国民の約束」にでっちあげ、「一審判決だけでの処分解除」を一方的に「公約違反」に仕立て上げている。

公党である民主党のマニフェストに謳われていない消費増税に、野田総理が「政治生命を賭ける」と猪突猛進する「公約違反」を強力に後押しする日本経済新聞が、民主党執行部が身内の事情で決めた小沢元代表の「党員資格停止処分」の解除を「公約違反」だとする主張は、滅茶苦茶で公正・公平からかけ離れた極めて醜いもの。

「東電は早期の黒字化を目指し、平均10%の家庭向け電気料金の引き上げと新潟県・柏崎刈羽原発の再稼働を、総合計画に盛った。そうした計画を政府が後押しするのは、再建を求める株主の行動として理にかなう。東電の赤字が続き政府が公的資金の追加注入を迫られるような事態は、納税者としても受け入れられない」

「波乱の中の小沢裁判第2幕」という醜い社説と共に掲載されている「政府は1兆円投入てこに東電を変えよ」という社説もまたすごい内容。この社説で展開されている、「平均10%の家庭向け電気料金の引き上げと新潟県・柏崎刈羽原発の再稼働」が、「公的資金の追加注入」を避けるという点で、実質的な株主である納税者のためになるという主張も、かなり出鱈目なもの。

「公的資金の追加注入」であろうが、「電気料金の引き上げ」であろうが、「納税者の負担」という点においては同じこと。「電気料金の引き上げ」と「納税者の負担」の違いは、東電に対するお布施が、国を経由するか否かだけである。消費増税原理主義の宣教師である日本経済新聞が「電気料金の引き上げ」をよしとするのは、お布施を国経由にしないことで、消費増税実施下での「財政赤字拡大」を避けたいだけだと邪推せずにはいられない。

「破綻前の資本注入に踏み切るという政府判断の妥当性は、実質国有の東電が、本当に再生できるかどうかにかかっている。総合計画に盛られた3兆円超の経費削減などは、最低限の義務だ。さらに上積みを目指す覚悟が要る」

売上高が5兆円強の東京電力に、「(10年間で年間売上の6割に相当する)3兆円超の経費削減」を「最低の義務」と迫る日本経済新聞も、何故か「破綻寸前」と危機を煽る予算規模が90~100兆円ある国に対しては、何故か寛容である。東電と同様に、消費税率でおよそ2.5%に相当する年間6兆円程度(予算規模の6%程度)の経費削減を「最低限の義務」として迫ることまなく、単純に消費増税による財政収支改善を奨励している。今さらながらこの新聞の主張の一貫性のなさには驚きである。

「政府が消費増税で財政再建の道のりを描くことで国債の信用力をつなぎとめている」

同じ10日付「ポジション 膨らむ金利反騰マグマ」という記事の中では、日本の「長期金利が約1年7か月ぶりの水準に低下」したことに対して、このように解説を加えている。この解説も、呆れるほどの「我田引水」。

もし、金融市場が、野田内閣が主張する「消費増税によって持続可能な社会保障制度が実現し、国民が安心して消費を増やすことで日本経済が再生する」という、あり得ないシナリオを信じているのであれば、長期金利は上昇しても不思議ではない。日経平均株価が9,000円前後で低迷し、長期金利が0.8%台にとどまっているのは、日本国債の95%を保有する日本の投資家の多くが、「消費増税はデフレ経済を加速させる」と考えているからである。

端的に言えば、日本の長期金利が低水準で安定しているのは、「野田政権の財政再建路線に対する信頼が高い」からではなく、「野田内閣の経済政策に対する信頼が低い」からである。

「失われた信頼の再構築を図ってほしい」

枝野経産相は、東電の新会長に内定している下河辺運営委員長に、総合特別事業計画の認定書を渡す席上、このように述べた。多くの国民は、同じ言葉を民主党政権にお返ししたいと思っているはずである。そのためには、東電と同様に、まずはトップの首を挿げ替え、国民に対して反省の意を示すことから始めなくてはならない。
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久々に酷い社説にお目に掛かった。「控訴審の推移を冷静に見守りたいが、裁判の長期化によって、国政がこれ以上混乱したり停滞したりすることは許されない」10日付日本経済新聞は、「波乱の中の小沢裁判第2幕」という社説を掲載、その中でこのような主張をした。日本経済?...

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