日本株、今年最大の下げ~売り手の目下の最大のリスクは、経済音痴総理の「政治生命」が尽きることである

「欧州の債務危機は対岸の火事ではない。市場への警戒感も相当高まっており、気を付けないといけない」

17日から衆議院で始まった特別委員会で、民主党「言うだけ番長」からの「なぜ社会保障と税の一体改革が政治生命をかけるテーマなのか」という出来レース質問に対して、何とかの一つ覚えのような答弁をした野田総理。その総理の懸念は、翌日すぐに正夢となった。

しかし、それは野田総理が「警戒感が相当高まっている」との懸念を示した国債市場での利回りの急上昇(国債価格の急落)ではなく、株価の大幅下落というものであった。18日の日経平均株価は前日比265円28銭(2.99%)安と今年最大の下げを記録、終値は8611円31銭と、終値としては1月18日(8550円58銭)以来4カ月ぶりの安値となった。

野田総理が「警戒感が相当高まっている」との懸念していた国債市場では、安全志向の強まりを受け、国債が買い進まれ、新発10年物国債利回りは0.815%と、2003年7月以来約9年ぶりの低水準になった(国債価格は上昇)。発行体の長である野田総理が「警戒感が相当高まっている」と見ている日本国債に対する市場の評価は、「安全志向」を強める投資家から高い評価を受けている。

前日の17日に内閣府から2012年1~3月期のGDPが実質で前期比1.0%増、年率換算で4.1%増と3四半期連続のプラス成長になったことが発表され、政府が景気の基調判断を「依然として厳しい状況にあるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある」と9カ月ぶりに上方修正したその日に、日経平均株価が今年最大の下げ幅を記録し、新発10年債利回りが約9年ぶりの水準まで低下したことは、皮肉なことである。

財務相時代から野田総理の経済音痴ぶりを熟知している金融市場にとっては、野田内閣の景気の基調判断など、「逆インディケーター(逆の投資行動をとれば儲かる指標)」に過ぎないようである。

「消費増税による財政再建」が実現可能だという「夢物語」を日本のメディアに信じ込ませることに効果を発揮した野田総理お得意の「詭弁」も、欧州各国が「景気低迷下での緊縮財政による財政再建」に失敗した「現実」を見続けて来ている金融市場には通用する代物ではないようだ。

日経平均株価が今年最大の下落を記録したことについて、消費増税原理主義者の日本経済新聞は、「格付け会社がギリシャやスペインの金融機関16社を格下げしたことや、米国で景気減速懸念が強まったことを背景に、リスクを圧縮する売りが出た」「為替市場で円相場が対豪ドル、対ユーロで強含んだことや、アジア株が全面安となったことで投資家心理が冷え込んだ」というように、海外要因によるものであるというありがたい説明を加えて報じている。

GDPの2倍を超える巨額の財政赤字という「日本固有の要因」でソブリン危機が訪れると危機感を煽り、消費増税を正当化する消費増税原理主義者達が、日本株の下落と円高進行の要因に持ち出すのは、いつも欧州問題や米国や中国の景気悪化懸念等々、「日本の責の及ばない国外要因」である。

国債市場の下落は「日本固有の要因」で起き、株式市場の下落は「日本の責の及ばない国外要因」で起きる。もし、日本でもっとまともな投資教育がなされて来ていたならば、日本を代表する経済紙が繰り返すこうした詭弁がまかり通ることはないはずである。

「決められない政治」からの脱却を目指して、「消費増税」に「不退転の決意」で臨んでいる経済音痴総理。経済音痴総理に求められるのは、まず、日本株式市場の下落が「対岸の火事」だけが原因で起きているのではないことを認識すること。そして、日本だけは「景気低迷下での消費増税で財政再建が出来る」という裏付けのない「夢物語」を捨て去ることである。

経済音痴総理が、景気に悪影響を及ぼす消費増税に「不退転の決意」で臨む間は、金融市場は安心して日本国債に投資し、株を売ることが出来ると見ていることにそろそろ気付くべきである。日本国債に投資し続ける投資家と、日本株の売り手にとって現時点での最大のリスクは、経済音痴総理の「政治生命」が尽きることである。

国民と市場両方からの信頼を失った経済音痴総理が本当に「国益」を考えているのであれば、「自ら身を削る」のではなく、「自ら身を引く」という決断をするべき時に来ている。これも「決められない政治」からの決別の一つの形である。「ドジョウ汚染」のこれ以上の拡散を防ぐのも「政治の責任」である。
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