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「消費増税逆進性対応」における究極の選択~モラルハザードを生むか、新たな利権を生むか

「消費増税の負担が相対的に重くなる低所得者にどう配慮すべきか。いわゆる「逆進性」への対応策が、消費増税関連法案の修正論議の焦点になりつつある。 …(中略)… 消費増税の実現は待ったなしだ。その障害を取り除くため、与野党が妥協点を探る必要がある。問題は意味のある逆進性対策を設計できるかである。単なるばらまきに終わらないようにしなければならない」

マスコミとは恐ろしいもの。26日付日本経済新聞は「低所得者対策は社会保障・税一体で議論を」という社説を掲載。国民の約6割が反対している今国会での消費増税法案成立の焦点は、「丁寧な説明」が省略されたまま、何時の間にか「逆進性の対応策」という段階まで進められてしまっている。

消費増税原理主義者達は、消費税の持つ低所得者ほど負担感が重くなる「所得に対する逆進性」という問題点をことさら強調し、その対応策を示すことで消費増税法案の今国会での成立の既成事実化を図っているようだ。

このようにしてすり替えた問題に対して「丁寧な説明」を繰り返し、本来議論の焦点になるはずであった「景気低迷期ほど消費増税の国民経済への影響が重くなる」という「経済に対する逆進性」の問題は、「丁寧な説明」をするどころか議論の対象から外されてしまっている。

ただ、見方を変えると、日本経済新聞を筆頭とした消費増税原理主義者達は今国会の会期末まで1か月を切った今の段階で、国会が政府・与党が主張してきた現金給付と税額控除を組み合わせた「給付付き税額控除」か、自民党が主張し始めた食料品などの「軽減税率」かでもめ、なかなか消費増税法案の議論が前に進まないことに、焦りを感じて来た証拠でもある。

こうした焦りは、「肝心なのは着実に税率10%へ引き上げができるよう、いかに現実的な逆進性対策を取るかである。入り口で混乱している場合ではない」(27日付の産経新聞、【日曜経済講座】「逆進性」で混乱する消費税審議)というコメントにも強く滲み出ている。

「給付付き税額控除」を採用するのであれば、国民の所得を正確に公平に把握することが大前提である。こうした政策が、無駄な給付とモラルハザードを生むことは、昨今の生活保護問題をみれば明らかである。

一方、食料品などの「軽減税率」を採用するとしたら、その線引きの段階で官の裁量が加わるので、新たな利権が生じることは火を見るよりも明らかなこと。

「消費増税はもちろん重要だが、対をなす社会保障の抜本改革論議が実質的に先送りされているのは遺憾である」

日本経済新聞がこのように主張する通り、消費増税の目的が「持続可能な社会保障制度」を実現するためのものであれば、「社会保障の抜本改革論議が実質的に先送りされている」のはあり得ない話。

野田政権は消費増税の正統性を強調する際に「日本の財政を家計に例えると、借金はいくら?」というフレーズを用いて来た。「家計に例えると」、資金を調達(増税)する際に、貸手(国民)に対して資金の使用使途を明示するのは当然のことである。何に使うのか明らかにしないで銀行などから資金を借りられるということはない。

翻って今回野田総理が「政治生命を賭ける」とのたまう消費増税。「持続可能な社会保障制度」という耳触りの良い曖昧な言葉を振りまくものの、具体的な使用目的は殆ど決まっていない。資金の使用使途も明確に出来ない中で「今国会中の消費増税法案成立」を図るやり方は、「家計に例えると」あり得ないものである。

野田総理は、消費増税法案を可決するために、1日開くだけで2~3億円の経費が掛かると言われている国会の会期を延長し、「無駄な給付とモラルハザードを生む方法」か、「新たな利権を生む方法」か、という不毛な議論を繰り返すことに、国民の理解が得られると考えているのだろうか。
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コメント

No title

 自民党・民主党・公明党等の既成政党では消費税の逆進性の問題は絶対解決できない。そして経済成長なんてありえない。それは国会議員は弱者を助けるなんて発想は全くないからだ。ふざけるなと言いたい。

No title

宮崎人様
コメントを寄せて頂きありがとうございます。消費増税に血眼になっている人達に逆進性の解決など出来ないですよね。本来国民の生活レベルを上げてからやるべき増税を、詭弁を駆使して先にやろうとする人達ですから。

No title

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

No title

あろえ様
この度はコメントをお寄せ頂きありがとうございます。少しでも何かのお役に立てば幸いです。
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「消費増税の負担が相対的に重くなる低所得者にどう配慮すべきか。いわゆる「逆進性」への対応策が、消費増税関連法案の修正論議の焦点になりつつある。 …(中略)… 消費増税の実

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