1年1首相~「国民の支持を得られない政権」が雨後の竹の子のように誕生する国の国民が示す「防衛本能」

「首脳の集合写真には毎回ため息が出る。常連が居並ぶ中『日本の顔』が定まらない。ドイツのメルケル首相と、カナダのハーパー首相は今回が7回目だ」

28日付日本経済新聞は、「首相が1年で代わる国  二院制のあり方見直せ」というコラムで、「日本の顔」が定まらないことを嘆いて見せた。

そして「何が日本の首相を短命にするのか。G8で議院内閣制をとる5カ国を比べると問題点が浮かび上がる。ドイツの上院にあたる連邦参議院は州政府代表の集まりで、州に関連する法案などを審議する。英国とカナダは、選挙で選ばれた下院の権能が、任命制などの上院を圧倒している」と、その理由を「二院制の設計ミス」に求めている。

大上段から「二院制」の問題を取り上げたこのコラムに説得力がないのは、「消費増税を実現するために、何としても野田政権を維持しなくてはならない」という消費増税原理主義者の下心が鼻を衝くからである。

確かに、「二院制の設計ミス」という制度設計上の問題もあるのだろう。しかし、「日本の顔」が定まらない根本的な原因は「民意を反映しない政権」、「国民の支持を得られない政権」が雨後の竹の子のように現れてくるところにあることを忘れてはならない。

同日の一面では、「日本経済新聞社とテレビ東京が25~27日に共同で実施した世論調査で、野田佳彦内閣の支持率は28%だった。4月の前回調査から1ポイント下落のほぼ横ばいで、昨年9月の内閣発足後、最低を更新した」ことが報じられ、野田内閣が「国民の支持を得られない政権」であることが示されている。

このコラムは、「国際通貨基金(IMF)の2人のエコノミストが、169カ国のデータをもとに不安定な政治が経済に与える影響を試算している。政変の頻度が1年あたり1回増すごとに、1人あたり実質国内総生産(GDP)の成長率を2%あまり引き下げるという」、「『1年1首相』の国を相手に、安全保障にしろ、通商にしろ、大事な交渉をしたがる国はあるだろうか。経済政策も、一貫性・継続性が危うくなる」として、日本経済や外交のためにも、「消費増税に『政治生命をかける』首相が、来年も貴重な円卓を囲める確率はどれほどだろう。同じ新顔でも、オランド仏大統領の任期は5年で、あと4回の円卓を保証されている」と、あたかも野田政権を長期政権とするべきであるかのような主張をしている。

ここまで来ると悪い冗談を通り越している。日本経済が低迷から脱却出来ないでいるのは、野田内閣が短命政権で終わる可能性を秘めているからではなく、国民の過半数が反対している、国内景気に冷水を浴びせる消費増税に「政治生命をかける」ような人物が首相の座に居座っているからである。

このような首相が、国民の選挙で選ばれたオランド仏大統領と同様に、「あと4年の円卓を保障されている」としたら、日本経済は成長するどころか崩壊し、G8のメンバーから外れてしまう可能性すらある。「1年1首相」は望ましいことではないが、民意に関係なく平然と政権がたらい回しされる国の国民が、国益を損なわないようにするための「防衛本能」の現れだと捉えるべきである。

今回日本経済新聞が行った世論調査では、 「国会審議中の消費税を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる政府案は『反対』が53%で前回比3ポイント上昇。『賛成』は2ポイント下がり38%だった」。日本のメディアが連日消費増税を正当化する洗脳記事を書き続けているにも拘らず、今国会中の消費増税に対する反対は増加して来ている。

しかし、消費増税原理主義者のしぶといところは、こうした都合の悪い結果など目もくれず「消費増税『与野党合意で成立を』48% 本社世論調査」という見出しで報じるところ。

さらに姑息なところは、常に小沢元代表に関する質問とセットにするところ。今回も「小沢元代表、7割が『影響力を発揮してほしくない』 本社世論調査」と、消費増税に関する世論調査結果と並べて報じている。こうしたやり方は、消費増税反対を主張する小沢元代表を「悪徳政治家」であると強い印象を与えることで、消費増税反対という考え方自体を「悪」であるかのように演出する公正性を欠いた報道である。

「『決められない政治』の根っこにあるのが『強すぎる参院』だろう」

このコラムはこのように指摘し、「二院制」の見直しを主張している。しかし、「決められない政治」の原因は、「二院制」という制度の問題にあるのではなく、「国民の支持を得られない政治」にある。「決められない政治」からの脱却を目指すのであれば、まずは「違憲状態」で放置されている「一票の格差」を解消した選挙で国民の信を問うことから始めるべきである。「国民の支持を得られていない政権」が、「二院制の改革」を唱えても、「決められないこと」を増やすだけである。
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「首脳の集合写真には毎回ため息が出る。常連が居並ぶ中『日本の顔』が定まらない。ドイツのメルケル首相と、カナダのハーパー首相は今回が7回目だ」28日付日本経済新聞は、「首相

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