緊縮財政と景気回復

週末の金融市場は米国雇用統計とハンガリーの財政懸念台頭により大荒れの展開となった。ニューヨークダウが324.06ドル(3.2%)下げて9931.22ドルと再び10,000ドル割れを記録するとともに、ユーロはドルに対し前日比1.5%安の1ユーロ=1.1984ドル(前日は1.2163ドル)と06年3月以来となる1ユーロ=1.20ドル割れとなった。

注目された米国雇用統計は、失業率こそ9.7%と前月比0.2%低下となったが、非農業部門雇用者数は市場予想の53万6000人増を下回る43万1000人増に留まった。ISM製造業景況感指数等景気が回復基調にあることを示唆する経済指標が発表され、大手証券会社が雇用者増を60万人という強気の予想を発表するなど、景気回復を裏付ける強い統計が発表されるとの市場の期待がピークに達する中で発表された期待外れの雇用統計は、市場に大きな失望を与える結果となった。過度の期待と失望の落差によって急落する構図は、鳩山政権の支持率と同じ。

また欧州ではハンガリーというユーロ非加盟国で財政懸念が浮上、ユーロ圏の財政懸念に気を取られていた市場は虚を突かれた格好となった。5月に新政権が発足し、国が粉飾決算をしていた構図は、ユーロ危機のきっかけとなったギリシャと同じ構図。詳細はまだ不明だが、ハンガリー政府の報道官が、同国のデフォルト(債務不履行)の憶測は「誇張ではない」と発言するなど、容易でない状況にあることは想像に難くない。
ハンガリーの経済規模は、2008年の統計でGDPが世界で47位の154,220百万㌦と、世界27位で350,301百万㌦だったギリシャの44%程度。経済規模の面では影響度は必ずしも大きいとはいえないかもしれないが、国家的粉飾決算が行われていたとすると、金融市場が嫌う不確定要素が大きいことは事実なので、影響が小さいと決めつけるのも危険な状況。

新たにハンガリーで財政危機が表面化して来たことで、市場で財政規律を求める声が強まって来ることは確実。そうした中、米国のガイトナー財務長官は韓国・釜山で開催されているG20財務相・中央銀行総裁会議を前に各国に書簡を送り、「米国の貯蓄率向上に向けた必要な変化は、日本と欧州の黒字国による内需拡大や民需の持続的な伸び、さらには一層柔軟な為替政策によって補われる必要がある」と主張すると同時に、緊縮財政について、「世界的な景気回復に対する信頼を高めることがない限り、成功しない」との見解を示しと伝えられている。世界各国が緊縮財政に走ることで景気悪化を招いてしまう「合成の誤謬」に警鐘を鳴らした格好。

民主党、自民党共に消費税増税による財政再建を謳い、菅新総理もギリシャ危機を受けて財政規律強化に舵を切り始めた中、鳩山政権総辞職により財務大臣が出席していない日本はどの様に対応して行くのだろうか。一段の円高を連想させる「一層柔軟な為替政策」という文言も気になるところだ。ともかくも、これまで以上に財政面での国際協調が不可欠な局面を迎えている。


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近藤駿介

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