馬脚を現した野田政権~「国民の生活が第一」として来た政権が吐露した「民主党が政権を維持するために党を割らないことが第一」という本音

「Never! Never! Never! Never Give Up! 私は大義のあることをあきらめないでしっかりと伝えていくならば、局面は変わるというふうに確信しています」

この発言から約半年、「政治生命を懸ける」とした消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案の衆院本会議での採決を翌日に控えた25日、野田総理は民主党代議士会で今度は「心から、心から、心からお願い申し上げます」と「心から」を3回繰り返した。

そして26日。衆院特別委員会と採決前の締めくくり総括質疑を加えて129時間と、戦後2番目の長さの時間をかけて審議してきた消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案は、民主党から72人の造反という返り血を浴びながらも衆院本会議で可決された。衆議院の採決で想定以上の造反議員が出たことを受け、野田総理は語気を強めて「党内の所定のルールにのっとって厳正に対応をしたい」と述べた。

26日の採決前の締めくくり総括質疑を加えて129時間の審議時間をかけた消費増税法案が、72人の造反者を出したということは、野田総理が、「大義のあること」を「しっかり伝えられず」「局面は変わらなかった」ということ。それは、消費増税それ自体に「大義がない」ことに加え、野田総理が「一任取り付け」を繰り返し「伝える努力」を怠ったからに他ならない。完全な自業自得。

今後の焦点は、「党内の所定のルールにのっとって厳正に対応」の中身である。「厳正に対応」すれば民主党は少数与党に成り下がり、「所定のルール」を甘めにして対応すれば「決断できない総理」となる。どちらにせよ、野田総理は、「大義がない」消費増税法案の必要性を「伝える努力」を怠り、党議拘束やポスト、比例代表選挙の名簿順位等々の姑息な手法で強行突破しようとしたツケを払わされることになる。

消費増税法案採決の段階になって、消費増税については「党内では唐突感のある話ではないのだが、2009年マニフェスに書いていなかった。09年に書いていなかったことをやろうとしたのだから、そこはおわびしなくてはならない」と陳謝しても「時すでに遅し」でしかない。

「将来世代につけ回しできない」と尤もらしいことを繰り返して来た野田政権も、想定外に多くの造反議員が出たことに動揺したのか、「民主党が政権を維持するために党を割らないことを第一に考えていく」と、「政局最優先」という野田政権の本性を剥き出しにし、完全に馬脚を現した格好。

「国民の生活が第一、という原点は踏まえているつもりだ。社会保障は政権交代以降、力をいれてきた。原点からはずれているつもりはまったくない。なぜこういう社会保障と税の一体改革で齟齬が出るのか分からない」

野田総理は、26日夕刻の記者会見でこのように述べた。

デフレ経済下での消費増税、安全性確認が済まないうちの原発再開、東京電力の要求を丸呑みするかのような電力力金値上げと、国民の生活を軽視する「決断する政治」を繰り返して来た野田総理の口から、「国民の生活が第一、という原点は踏まえている」という言葉が発せられるとは驚きである。

野田総理が、これまでの自らの政策が「国民の生活が第一」という原点を踏まえたものだったと自己評価しているとしたら、「増税だけが先行するのは国民への背信行為で、嘘つきと言われても仕方ない」とする造反議員を生むのは至極当然の話。両者の間に横たわる溝は、「政策の違い」ではなく、政治家としての「感性の違い」で、交わることの難しいもの。民主党が分裂するのは当然のこと。

「なぜこういう社会保障と税の一体改革で齟齬が出るのか分からない」とする無神経な総理に、「国民の生活が第一」を掲げる政治は望むべくもない。「ドジョウ汚染」がこれ以上拡散することを防ぐためにも、一日も早く、国民による「厳正な対応」が必要不可欠である。
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