内需主導の回復?~黒いものでも白だと「決めつける政治」からの脱却こそが「待ったなし」

「復興需要に加え、雇用や収益環境の持ち直しを背景に、民需が増加した」

古川経済財政相は13日朝に発表された4~6月期の国内総生産(GDP)速報が、実質ベースで前期比年率1.4%増となったことを受けて、このような談話を発表した。そのうえで、足元の景気動向について「内需にけん引される形で上向きの動きが続いている」、先行きに関しては「雇用や収益環境の持ち直しが続くことから、緩やかな成長が続くと見込まれる」との認識を示した。

消費増税に踏み切った野田政権の目には、13日に発表された4~6月期のGDP統計が「景気が上向いている」ことを示すデータに映ったようだ。

実質GDP成長率そのものは1~3月期の5.5%から鈍化したものの、4四半期連続でプラス成長を記録したことに加え、4~6月期は個人消費などの内需が成長率を1.7ポイント押し上げ、海外経済の減速を背景にした外需のマイナス(0.3ポイント)を補ったことがその根拠となっているようだ。

しかし、名目GDPに目を向けてみると、日本経済はとても「景気が上向いている」とは言えない状況にある。

名目GDP(季節調整済)は、1~3月期の476兆540億円から、475兆3961億円へと6579億円、率にして0.14%の低下している。野田内閣は「内需にけん引される形で上向きの動きが続いている」と強調するが、名目ベースでは「民間最終消費支出」は前期比で8951億円減少し、日本経済のけん引役どころか、全体の足を引っ張っている格好である。

GDPの約6割を占める「家計最終消費支出」が前期比9136億円減少するなか、名目GDPを支えたのは、前期比9938億円増加したGDPの13%程度を占める「民間企業設備」と、前期比4399億円増加したGDPの5%弱を占める「公的固定資本形成」である。

名目GDPを見る限り、日本経済は「上向き」にはなっていないし、「復興需要や個人消費が景気を下支えする構図」にはなっていない。内需は経済成長をけん引するどころか足を引っ張っているうえ、その弱い内需の主体も「政府」と「企業」であり、「家計」は景気の足枷になっている。つまり、今の日本経済の状況は、「低迷する個人消費を、公共投資と企業の設備投資で何とか支えている」というというもの。

消費増税原理主義者である日本経済新聞は、実質GDPが1.4%増となったことは大々的に報じているが、名目GDPに関しては「生活実感に近い名目成長率はマイナス0.1%、年率ではマイナス0.6%だった」と一言触れただけで、殆ど報じていない。完全に「臭いものに蓋」をした格好。

日本経済新聞は、名目GDPを「生活実感に近い」と曖昧な表現で報じているが、実際には「税収の原資」である。「税収の原資」となる名目GDPが低迷し税収増の見込みが立たない中、名目GDPの足枷になっている「家計」を直撃する消費増税を実施するなど、経済原則からしたら正気の沙汰ではない。

「消費増税法に明記した景気条項では11~20年度平均で『名目3%程度、(物価変動を除いた)実質2%程度』という国内総生産(GDP)の成長率を求めた。景気への悪影響に配慮し、経済情勢次第で8%への税率引き上げを停止できる根拠となる」

日本経済新聞は11日付紙面でこのように指摘している。しかし、13日に発表されたGDP統計が「内需にけん引される形で上向きの動きが続いている」と、黒いものも白だと「決めつける政治」を推進する勢力が政権を担っている限り、景気条項など何の抑止力にもならない。

消費増税実施をするために、国内景気は「内需にけん引される形で上向きの動きが続いている」と「決めつける政治」を繰り返す限り、日本の財政再建は成功することはないだろう。「結論ありきの議論」を繰り返す「決めつける政治」からの脱却こそが「待ったなし」の課題である。
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コメント

「待ったなし」

3党合意に関しまして、民主党のHPからPDFを落として念のため確認致しました。するとやはり景気条項、つまり附則第18条に関してこれを来年度秋に加味判断するのは「その時の政権」と明記されている。

近藤様が仰られるように、その時の政権が‘黒いものも白だと「決めつける政治」’を推進してしまえば、まさにこれは有名無実そのもの。

これまで私は大メディアがあまりに不況感を煽るのは景気にとって如何なものか?と考えておりました。しかし来年度の政局次第ではその考え方も転換しなくてはいけない・・・、とも思えるほどです。政権交代、まさに「待ったなし」ですね。
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近藤駿介

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Author:近藤駿介
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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