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具体策に欠ける維新八策最終案~「白紙委任」を求めるマニュフェスト

8月31日、大阪維新の会が実質的なマニフェストとなる維新八策最終案を発表した。維新の会は、9月9日に新党への合流を希望する国会議員らと維新八策に関する公開討論会を大阪市内で開き、新党に参加する議員を選別する方針。

維新八策に関する公開討論会には、民主党の松野元官房副長官や自民党の松浪衆院議員、民主党を離党した横粂衆院議員ら国会議員のほか、維新が衆院選への擁立を検討する東国原前宮崎県知事、「中京維新の会」を結成した大村愛知県知事らも出席する予定。

民主、自民を始めとした既成政党のだらしなさが原因とはいえ、多くの政治家が第三局の軸となる維新の会に擦り寄る光景は、国会議員としてのプライドを感じさせない何とも情けないもの。

また、公開討論に多くの政治家を参加させ、そこで新党に参加する議員を選別する維新の会のやり方は、1991年10月、自由民主党総裁選挙で当時の小沢幹事長が出馬表明していた宮沢喜一、渡辺美智雄、三塚博ら派閥の領袖たる総裁候補を自身の個人事務所でそれぞれ面談した、いわゆる「小沢面接」を思い起こさせるもの。「剛腕」に拒絶反応を示す国民が、こうした公開討論に拒絶反応を示さないのも、それだけ政治が国民の信頼を失っていることの証左なのだろうか。

発表された維新八策の最終案は、これまでのマニフェスト選挙の反省を踏まえてか、現在の政治の問題点や理念、目指す方向性を列挙した内容になっており、国会議員定数の半減やTPP参加表明などを除くと、具体的な政策は余り掲げられていない。

しかし、6月に橋下市長が消費増税法案について「マニフェストは公的な契約になっており、 全く書いていないものを出してくるのは完全な白紙委任なのでダメだ。ヒトラーの全権委任法以上だ」と批判したことを考えると、「政局」の原因となっている消費増税に関しての態度が明示されていない点には疑問を感じざるを得ない。具体策を明示していない維新八策最終案は、このままでは、消費増税を含めて多くの分野で「白紙委任」を求めていることになってしまう。

維新八策最終案には具体的な政策は殆ど示されていないが、維新の会が目指している方向は、竹中平蔵氏が選考委員になると報じられていることや、維新八策最終案に記された「都市間競争に対応できる多様な大都市制度=大阪都構想」「大阪府・市の公務員制度改革(頑張ったものは報われる、能力、実績主義、職位に見合った給料)を国に広げる」等にも表れているように、「現状破壊」と「競争原理導入」にあることは間違いない。

確かに社会の発展において、「適切な競争」は必要不可欠である。しかし、「過度な競争原理導入」が日本復活の原動力になるかは定かではない。

このことは、竹中氏が小泉内閣時代に日本の金融業界に持ち込んだ「現状破壊」と「過度な競争原理」が何の成果も挙げられず、未だに日本の経済や株式市場が立ち直る気配さえ見せていないことをみても明らかである。「現状破壊」は、竹中氏の盟友であった木村剛元日本振興銀行会長のような輩を生み、市場が縮小均衡に向かう中での「過度な競争原理導入」は、短期的な収益を生みだすことに対する歪んだ信仰を生み、AIJ事件や、野村証券を始めとした大手証券や銀行によるインサイダー事件の遠縁になった。

現在の日本社会の閉塞感を打ち破るために、「現状破壊」が必要であるという考えには賛成だが、何から何まで「現状打破」のために「競争原理導入」が必要であるという考えは行き過ぎである。経済が縮小均衡に向かう中での「過度な競争原理導入」が、日本復興の切り札になり得ないことは、金融業界の現状が物語っている通りである。「競争原理導入」においては、金融業界を他山の石として貰いたいものである。

維新八策最終案の示す方向性は、小泉政権の負の部分を受け継いだものであり、これをもとにした公開討論で新党に参加する議員を選別するやり方は、「剛腕小沢」がかつてやった古いやり方である。

それでも、民主党、自民党の支持率がそれぞれ6.9%、13.3%に低迷し、「支持政党なし」が69.3%に達する(時事通信社世論調査)など、有権者が投票先を「決められない状況」にあるなか、第三局として維新の会への期待は高まる状況にある。こうした中で維新の会に求められるのは、小泉内閣の郵政選挙、民主党による政権交代選挙という「人気投票選挙」の弊害が顕在化して来ている今日、次期総選挙をAKB総選挙のような「人気投票選挙」にしないことである。

こうした観点から言えば、具体的な政策を明示せずに方向性を示したものになっている「維新八策最終案」は、「政策選挙」ではなく、郵政選挙や政権交代選挙と同様に、「イメージ選挙」「人気投票選挙」を繰り返させてしまうリスクを秘めたものだと言える。

多くの国会議員が自らの地位の維持を目的に維新の会に合流したり、維新の会を利用したりするだけでは、単なる「政界のクラス替え」になりかねない。

「維新八策」の「基本方針」のなかでは、「首相公選制」が掲げられている。そして、そこには「人気投票的になることを防ぐ方法を措置」と但し書が加えられている。維新の会には、将来の「首相公選制」導入時に必要として明記している「人気投票的になることを防ぐ方法を措置」の具体策を、「近いうちに」実施される総選挙で是非前倒しで示して貰いたいものである。

「選挙に勝つ」ことが目標であることを明言している橋下市長。「人気投票選挙」では絶対優位に立つことが明らかな維新の会には、是非自ら「人気投票的になることを防ぐ方法を措置」という高いハードル設定し、それを超えることで、これまでの「人気投票選挙」で選ばれた政治家との違いを見せ、「決められる政治」の第一歩を示してほしいものである。維新の会が「どの位勝つか」というよりも、「どのように勝つか」の方が、今後の日本の政治に大きな影響を及ぼすはずである。
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近藤駿介

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Author:近藤駿介
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

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