嘘つきは弁護士と政治家の始まり~地味な民主党代表選でも、度派手な「日本維新の会」でも繰り返される詭弁と矛盾

「復興需要に支えられ2%以上成長出来る状況だが、海外の下振れ要因もあり、気を抜くと失速の可能性もある。4~6月期の(景気の)分析をよくしながら、その(補正編成の)時期も含めて検討しなければならない」

12日、小粒で見飽きた面々が並んだ民主党代表選立候補者による地味な討論会で、野田総理はこのように述べた。「復興需要に支えられ2%以上成長出来る状況」とは何とも不思議な発言である。「復興需要≒公共事業」であることをこの御仁は知らないのか、はたまた知っていて敢えて国民に錯覚を与えるような発言をしたのか。前者なら総理の資質を欠く経済音痴だし、後者ならペテン師である。こうした候補者がほぼ選出されるのが確実だと言われているところに、民主党の閉塞感が表れている。

内閣府が10日発表した4~6月期のGDP改定値は、物価変動の影響を除いた実質ベースで前期比0.2%増、年率換算で0.7%増となり、8月に公表した速報値(0.3%、年率1.4%)からを下方修正となった。その中で「公共投資は復興需要の盛り上がりを受けて1.7%増から1.8%増に上方修正された」。

要するに「復興需要に支えられ2%以上成長出来る状況」というのは、「公共事業なしには経済成長を維持出来ない状況」ということ。「海外の下振れ要因もあり」と尤もらしく論評しているが、自らコントロール出来ない海外要因に成長を依存する他力本願経済運営は、一国の総理としての責任を放棄する無責任なもの。

公共事業でかろうじて支えられている日本経済状況下で、さらに補正予算を組むということは、少なくとも当面は公共事業依存型の経済成長を図ろうということ。このように、政府の財政支出でかろうじて支えられている経済状況下で、増税による緊縮財政政策をとるというのは、完全な政策的矛盾、詭弁である。財政支出でかろうじて支えられている経済に増税を課すなど、まっとうな神経では出来ないこと。

こうした野田総理の詭弁、政策的矛盾を指摘する候補者も、メディアも存在しないというのが日本の政治の弱点である。

小粒で見飽きた面々による地味な討論会では、今さらながら消費増税が論点に挙げられていた。しかし、赤松、鹿野両候補は消費増税法案に賛成し、「『増税の前にやるべきことがある』というのは、言い訳で言っているのではない。選挙のときに言っておらず、政権を取って気づいたから『増税するよ』では、マニフェストが信頼されないし、政治が信頼されない。1度原点に返って手続きを踏むべきだ」と叫んだ原口元総務大臣も、消費増税法案には棄権しただけで反対票は投じておらず、何を今さらといったところ。「嘘つきは弁護士と政治家の始まり」を地で行くようなもの。

東京で小粒で見飽きた面々が地味な討論会を開催した同日、大阪では「嘘つきは弁護士と政治家の始まり」と発言した張本人の橋下市長が、3000人の出席者を集めて度派手な「日本維新の会」の結党を宣言した。

「日本維新の会」は近く、今春始めた維新政治塾の塾生と、政治・行政の経験者を対象に次期衆院選候補者の公募を始める。ここでも橋下市長は、次期衆院選に新党「日本維新の会」から出馬する候補者に対し、1千万円前後は必要とされる選挙資金の支援を行わないことを明言。「(資金がなければ)『借りてでもやる』という気迫がないとできない」と述べ、出馬への覚悟を求めるという過激な姿勢を見せた。

「国会議員になればそのくらい返せる」という橋下市長の発言はある面では正論だが、逆説的に言えば「落選しても返済できる」人でないと立候補出来ないということ。これはある意味政治参加への道を狭くするもの。これでは今回既存政党を離党し「日本維新の会」に入党した7人の国会議員に象徴されるように、国会議員の駆け込み寺になりかねず、「日本全国で大戦をやって国の形を変えよう」という原動力となる戦力を整えられるのかは疑問である。「国会議員の所属政党は変わったが、面子は変わらない」という状況では「国の形」を変えられない可能性は高い。是非こうした点は是正してもらいたいものである。

橋下市長が立候補者に「自己責任」を求めるのは、政党交付金が得られずに、選挙資金が不足しているからである。背に腹を変えられないということか、橋下市長は「維新八策」に禁止すると明記していた企業・団体献金を、一時的に「日本維新の会」が受け取る可能性を示唆した。しかし、本来ならば、政党助成金を得られるまで、企業・団体献金に頼らず「借入」で資金調達するのが筋のはずである。

立候補者に「自己責任」を求める一方、一時的とはいえ政党である「日本維新の会」は政党助成金を受け取れるようになるまで企業・団体献金に頼るという一見矛盾した構図を堂々と打ち出せるところこそ、「嘘つきは弁護士と政治家の始まり」と言い放てる橋下市長の面目躍如といったところ。

小粒で見飽きた4に人の候補による地味な討論会も、度派手な新党結成宣言パーティーも、いろいろな詭弁と矛盾を含んだものであった。「嘘つきは弁護士と政治家の始まり」という中で選挙を行わなければならないという国民の苦悩は、もうしばらくは解決されそうにない。
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