大惨事野田内閣 ~強化すべきところがない内閣の機能強化を目指す「悪い冗談内閣」

「今までの内閣が何か不足していたのかというお話でありますけれども、それはありません」

第3次改造内閣の閣僚名簿を発表した記者会見で、野田総理は「これまでの内閣で具体的に何が不足していたから機能強化するのか」という主旨の質問に対してこのように答えた。記者会見の冒頭で「内閣の機能を強化するために行う」と発言し、これまでの内閣に機能を強化すべき部分があったことを示唆していたことと矛盾していることなど、この総理には全く関係ないようだ。強化すべきところがない内閣の機能強化を目指す。こうした矛盾したことを平気で口にするところがこの総理の恐ろしいところ。

「9月はいつも代表選があった後には、これは与党になってからは政府の人事、党の人事、国会の人事等を一体的に行って、よりバランスをとりながら、それぞれの力を強めるということをこれまでやってまいりました。今回はそうした一環での特に内閣の機能の強化を図るという位置づけでございます」

しかし、野田総理は「何も不足していない」との発言した直後にこのように述べ、「内閣の機能強化」などは目的でなく、単に毎年恒例の代表選の「論功行賞改造」だったという本音をあっさりと白状した格好。「18人の閣僚中、10人が交代。8人は初入閣」という事実を踏まえれば、「論功行賞とさらなる離党者の阻止という、党内事情を最優先した極めて内向きの内閣改造」と言われても仕方がない。

それにしても第3次野田内閣の閣僚名簿を発表した野田総理の記者会見は、「悪い冗談」のオンパレードだった。

「政治家として長年、地域主権改革に情熱を注ぎ、国対委員長、幹事長代行などの党の要職を歴任されてまいりました樽床さんに、民主党の一丁目一番地の政策である地域主権改革をリードする役割を託すことといたしました」

総務大臣として初入閣した樽床氏をこのように紹介した野田総理。何時から「民主党の一丁目一番地」は「消費増税」から「地域主権改革」に変わったのだろうか。「地域主権改革」を「民主党の一丁目一番地」かのように宣伝するのは、大阪選挙区選出の樽床氏には橋下市長率いる維新の会に対抗するために、「大臣」という箔をつける必要があるからに他ならない。

「文部科学行政に通じておられることに加え、持ち前の発信力を政策面で発揮していただくことを期待しています」

このように紹介され、「発信力」を期待された田中真紀子氏。「発信力」を期待するという点では、政調会長に就任した細野氏と同様の人事。野田総理は、政府では田中真紀子氏の、党では細野氏の「発信力」に頼ろうとしているようである。しかし、政府の「発信力」の要は、本来は官房長官のはずである。もし総理が政府の「発信力」を高めようとするのであれば、「発信力」の乏しい藤村官房長官を交代させるのが本筋。これをしないのも、樽床氏と同様、藤村氏が大阪選挙区選出で、「官房長官」という肩書なしには選挙を戦えないのが明らかだからだ。

「民主党のまさに重鎮として国会や党の要職を歴任され、拉致問題にも長年取り組んでこられた田中さんに、国民に身近な司法を実現し、拉致問題に責任を持って対応するという重要な役割を担ってもらうことといたしました」

内閣改造を前に「僕自身はもう年なので、できるだけ外してもらった方がいい」という異例の発言をした滝法務大臣の後任として、このように紹介され初入閣を果たした田中慶秋氏。しかし、田中慶秋氏は「僕自身はもう年なので」と発言した滝氏と同じ74歳。厳密にいうと田中慶秋氏は1938年3月6日生まれで、1938年9月15日生まれの滝氏より年上である。滝前法務大臣の個人的な発言とはいえ、「もう年なので」と辞意を表明した法務大臣の後釜に、それより年長者を平然と据えるところが、野田総理の人間離れした感覚。

今回の冗談のような内閣改造の中でも一番驚かされたのは、本人も「想定していないポスト」と発言した城島前国対委員長の財務大臣就任。これで財務大臣は、野田、安住、城島と、3代続けて国対委員長出身者が占めることになる。国会対策という超内向き業務の専門家を、グローバル経済に立ち向かう日本の責任者に据えるところに、民主党政権の「財務相軽視」の姿勢が表れている。国会運営を円滑に進めることを使命として来た経済の専門家でない政治家は、財務省官僚にとって最も御しやすくて都合がいいということなのだろうか。だとしたら明らかな「財務省重視」の人事。

「財務相」という重要ポストが「幹事長代行」と同格かと失望させられた直後、今度は「国対委員長」と同格であることが示された。「財務相」を軽視し、日本流の根回しで、混迷する世界経済の荒波を乗り越えられるとしたら、世界の笑いものである。

「先の民主党代表選挙において、党の代表として再任をしていただきました。以来、党と内閣の新たな体制づくりに熟慮を重ね、本日、内閣改造を行うことといたしました」(首相官邸HP原文)

「毎年総理大臣を変えるのはよくない」という消極的な理由もあり再選を果たした野田総理。しかし、僅か1年余りの間に、野田政権は既に第3次内閣になっている。「毎年総理大臣を変えるのはよくない」という消極的な理由で総理の座に居座り続ける野田総理が、「内閣や大臣など、数か月で変えても構わない」と考えているとしたらとんでもないことである。

「決断する政治」「決断する政治」と、空虚なフレーズを繰り返す野田総理。空虚なフレーズに酔いしれる総理には、国民が求めているのが「信頼のおけない内閣による決断する政治」ではなく、「信頼をおいて決断させられる内閣」である、ということは見えていないようである。

野田総理が「近いうちに国民の信を問う」という約束を反故にし、第3次野田改造内閣の延命を図るとすれば、日本が「近いうちに大惨事にあう」ことは必至の情勢である。
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コメント

第2の菅の登場

増税法案通った時点ですぐ解散すれば少しは評価されたんだろうけど(増税の是非はともかく)、近い内解散を宣言しときながら内閣改造なんて顔ぶれ以前の問題で、もうメチャクチャ。
第2の菅の登場です。
2代続けてこういう人物が首相なんて勘弁して欲しいです。

No title

くに様 この度はコメントをありがとうございます。野田総理は、政策もさることながら、嘘やごまかし、詭弁が多過ぎると思います。菅内閣の時は「これ以上悪い総理は出ないだろう」と思いましたが、今は「下には下がいる」ことを思い知らされました。早くまっとうな議論が出来る政府にしたいものです。
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近藤駿介

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Author:近藤駿介
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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