福島の再生なくして日本の再生なし~福島が再生すれば個人消費が回復するのか?

「福島の再生なくして日本の再生なし」

7日、原発事故からの復興状況を確認するため福島県入りした野田総理は、警察官への激励や中央制御室での挨拶などで、十八番のフレーズを繰り返し、復興に向けて取り組む姿勢を強くアピールした。これは、野田総理のお気に入りのフレーズだが、何とも空虚な無責任なもの。

それにしても、野田総理は「福島の再生なくして日本の再生なし」と本気で考えているのだろうか。経済を少しでも理解し、本当に福島の再生を願っているならば、「福島の再生なくして日本の再生なし」という空虚なキャッチフレーズではなく、「日本の再生なくして福島の再生なし」と、日本経済の再生にもっと真剣に取り組むはずである。

問題の日本経済。その現状は、7日付日本経済新聞が「日本経済、踊り場局面に~中国変調でブレーキ個人消費も陰り」という記事で、「海外経済の減速で輸出が鈍り、補助金などの政策効果が支えてきた個人消費にも陰りがみられる。細る内需を、中国を中心とする外需の持ち直しで補う景気回復シナリオの視界はかすみつつある」と指摘している通り「踊り場局面に入った」と言われている。

日本経済の問題の一つは、この記事に代表される通り、その評価が政府やメディアによって歪められていることである。

日本経済新聞もよく使う「踊り場局面」という表現も、政策当局やメディアが、日本経済があたかも「上り階段を上っている」かのような錯覚を与える際に使う、常套文句。政府も10月の月例経済報告で、9月まで「回復の動きに足踏みがみられる」としていた表現を「弱含んでいる」など、3か月連続で景気の基調判断を引き下げる検討に入った。しかし、こうした基調判断の引き下げも、あくまで日本経済が「回復の動き」があることを前提としたもの。
(これは、「2011年10月19日開催の景気動向指数研究会で、第14循環の景気の山を平成20年(2008年)2月に、谷を平成21年(2009年)3月に確定いたしました」というように、結果が出てから数年後に判定されるのんびりした政府の景気判断に基づいているからである)。

実際には日本の名目GDPは1997年度の521兆2954億円をピークに、一進一退を繰り返しながらも縮小傾向にあり、2011年度は469兆9621億円まで、規模にして51兆3333億円、率にして▲9,85%減少している。

要するに、日本経済の実態は「下り階段を下る」中で、時々下げ止まる「踊り場局面」が見られるというもの。それにも拘わらず、政府や日本の主要メディアは数年後に「景気の山」が決められるまで、日本経済が「回復基調にある」と宣伝し続けることになる。2日に開かれた改造後初の閣議で、景気の下振れを防ぐため「切れ目ない経済対策」を指示した野田総理。「切れ目ない経済対策」を打たなければ下振れしてしまう日本の景気を「回復局面にある」とするところに日本経済の問題がある。

日本経済の問題は、「細る内需を、中国を中心とする外需の持ち直しで補う景気回復シナリオ」に依存しすぎていること。「アジアの成長を取り込む」という無責任なキャッチフレーズが、内需無策の隠れ蓑に使われている。この背景には、何が何でも「消費増税の正当化」しなければならないという政府の意図がある。

数年前まで「米国がクシャミをしたら日本は風邪を引く」と言われてきた。今は、「米国、欧州、中国のどこかがクシャミをしても日本は風邪を引く」という情けない状況になって来ている。日本が本当に「アジアの経済成長を取り込む」のであれば、自国経済が内需で自立出来なくてはならない。そうでなければ、「アジアに経済成長を吸収される」だけである。これでは「福島の再生」など望むべくもない。

野田総理が本心から「福島の再生」を望んでいるのであれば、「福島の再生なくして日本の再生なし」というような無意味なキャッチフレーズは今すぐに捨て、「日本の再生なくして福島の再生なし」へと方針転換し、「アジアの成長を取り入れる」こと以上に、「細る内需」を太くすることに尽力するべきである。「日本の再生」のために求められるものは、空虚で無責任なフレーズを繰り返す経済音痴総理の「君子豹変」である。
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近藤駿介

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