乱立が質を低下させる ~ 教育の話ですか? 政治の話ですか?

「来春開学予定だった3大学の開設を不認可にする方針を2日に唐突に表明した田中真紀子文部科学相が7日、一転して認可に踏み切る考えを示した。大学側や世間から強い批判を浴びて迷走を繰り返し、身内の民主党からも翻意を促され、外堀を埋められた末の『完全降伏』だった」

8日付日本経済新聞は、田中真紀子文部科学相が当初「新設不認可」とした方針を7日の午後に一転認可に踏み切ると方向転換したことについて、「真紀子流、外堀埋まり『降伏』 3大学を一転認可 世間の強い批判、党内も翻意促す」という見出しで報じている。

「真紀子流」。日本経済新聞を始め、メディアの多くは今回のドタバタ劇を「じゃじゃ馬暴走大臣」の個人的な暴走として報じているようだ。しかし、今回の「じゃじゃ馬暴走大臣」の引き起こした騒動は、個人的資質の問題もあるが、野田流政治を凝縮したものでもある。

「じゃじゃ馬暴走大臣」による、大学設置・学校法人審議会の答申を覆す形での「新設不認可」というちゃぶ台返しの決定は、筋悪ではあるものの、「議論を形骸化させる」という点においては、野田政権お得意の「結論ありきの議論」と同質のもので、「野田流政治主導の決められる政治」を地で行くもの。また、僅か5日足らずで方針転換するのは、マニフェストに謳っていなかった消費増税を「君子豹変す」と発言して強行した野田総理の政治姿勢と重なるものである。

「大学の乱立に歯止めをかけて教育の質を向上させたい」

「じゃじゃ馬暴走大臣」は、「新設不認可」の判断理由として「大学の乱立が教育の質を低下させる」ということを挙げた。1991年に設置基準が緩和されて以降、大学は増加の一途をたどり、1999年に622校であった大学数は2011年で780校になった。こうした大学の「乱立」によって経営的な問題を抱える大学が散見されるようになったのは事実だが、「教育の質の低下」を招いているかは定かではない。

田中文部科学相は教育行政を預かる立場から「大学の乱立」を懸念したようだが、政治を預かる立場から「政党の乱立」に危機感を抱くことはないようである。

大学生の増加が見込み難い中での大学数の増加も問題だが、「支持政党なし」という有権者が増加するなかので政党数の増加もこれまた問題である。

2009年1月1日付で7政党であった、政党助成法に基づく届出をしている「政党」は、その後2010年には8政党へ、2011年には9政党、2012年1月1日には11政党へと、毎年増加して来ている。さらに今年に入りこうした動きは加速し、直近10月末時点では15政党にまで膨れ上がっている。

もし、「じゃじゃ馬暴走大臣」が懸念する「乱立が質を低下させる」という指摘が真実なのであれば、このところの「政党の乱立」によって「政治の質」は間違いなく低下しているはずである。選挙を経ずに、国会議員が勝手にクラス数を増やしてクラス替えを繰り返せば、本来政党の要職に付けない政治家も要職に付き、与党に残るだけで本来大臣の資質を持ち合わしていない政治家にも大臣の椅子が回って来るのだから、「政治の質」が低下するのは当然である。「じゃじゃ馬暴走大臣」が引き起こした今回の騒動は、「政党乱立による政治の質の低下」が招いた喜劇でしかない。

「政党の乱立による政治の質の低下」が顕在化している今日、「政党の乱立による政治の質の低下」による消去法で総理大臣になった政治家が、国民からの支持を失う中で、「議論を形骸化させる」形で「決められる政治」に猪突猛進するというのは、「国家の危機」でしかない。「じゃじゃ馬暴走大臣」には、是非野田総理に世論への「完全降伏」を勧めてもらいたいものである。
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まとめ【乱立が質を低下させる】

「来春開学予定だった3大学の開設を不認可にする方針を2日に唐突に表明した田中真紀子文部科学相が7日、一

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