歪められる「決める政治」~独裁を許すことなかれ

永田町は、「決める政治」を歪曲化させ、危険な方向に動き始めているのかもしれない。

「野田佳彦首相の考えについてこられないと公認できない」「党が掲げる政策を守るとの誓約書を書いてもらう。新人でも元首相でも民主党が決めたことを守るのが今回のルールだ」

民主党の安住幹事長代行は18日のNHK番組で、衆院選への対応についてこのように述べ、「野田佳彦首相の考え=民主党が決めたこと」とする方針を明確にした。

一方、第三極の「日本維新の会」は、昨日の記者会見で橋下代表代行が石原新代表と共同代表にならなかったことについて「われわれは『決める政治』をずっと掲げてきたので、決める政治を考えれば決定権者は一人の方がいい。石原氏は最強の党のリーダーだ。誰がどうみても石原氏以上の代表はいない」と述べ、「決定権者=石原代表一人」という体制を明言している。

言葉のあやであればいいが、こうした一連の発言は、永田町が「決める政治=議論の省略」という危険な方向に向かい始めていることを危惧させるもの。仮に、議会制民主主義を採用している日本で、政党の政策が全て、党首の独断で決められるのだとしたら、議会で過半数を取った政党党首の独裁がまかり通ってしまう。

そもそも、民主党が「決められない政治」に陥った原因は、国民に対する誓約であるマニフェストに掲げていない消費増税に不退転の決意で突き進んだことと、消費増税やTPP交渉参加という党の政策を決定する段階で、党の分裂を避けるために民主主義の原則である「多数決」をとらず、「執行部一任」のもとに議論を打ち切り、「決を採らなかった」ことにある。

それにしても、国民に対する誓約であるマニフェストを簡単に反故にした民主党が、この期に及んで「党が掲げる政策を守るとの誓約書を書いてもらう」という方針を明確にするのは笑い話にもならない。民主党は国民政党から、「野田佳彦首相の考えの実行を図る」という単なる新興宗教団体に成り下がりつつあるようだ。

政策的に「小異」の政党が乱立し、政権の座を巡って「野合」が繰り返されやすい現在の政治環境下で、主要政党が「独裁的決められる政治」を標榜することは極めて危険な兆候であり、何としても歯止めをかけなければならない。

「決める政治」は特定の政治家の独裁で達成すべきものではなく、手間がかかっても多様な考えを持った人間が議論し、最終的には多数決を以て達成するべきである。「決める政治」に必要なリーダーシップは、議論を抑え込んで自らの結論を押し付けることではなく、高邁な思想のもとに、国民や仲間からの信頼を以て説得し、結論を導いていくことである。

経済的な「失われた20年」は今さら取り返しはつかないが、「失われた民主主義」とならないようにだけはしなくてはならない。
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近藤駿介

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