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「貯蓄から投資へ」を掲げる国が検討する「10銭刻みの取引」~取引所は「鉄火場」を目指しているんですか?

「日本取引所グループは、株価の刻みの幅を10分の1に縮小する検討に入った。現在の最低1円を10銭に引き下げ、より細かな値動きができるようにする。…(中略)…国際的にみて株価の刻みが大きいといわれる状況を見直して売買を円滑にし、国内外の投資資金を呼び込む」

これが「貯蓄から投資へ」を掲げる国の目指すべきことなのだろうか。

「日本では株価が100円以下の場合、1%(1円)以上動かないと取引できない。海外の投資家から『取引の障害になっている』との声も出ていた」と言うが、「株価100円以下」というのは、主な国内機関投資家では、「投資ユニバース」から外すか議論される水準である。何故なら、「株価100円以下」まで売り込まれる銘柄には、何かしらの理由がある可能性が高いからである。

昨日時点で日経平均採用銘柄の「一株当たり純利益(EPS)」の単純平均は65円程度、PER来期予想ベースで21倍程度である。こうした環境下で、「株価100円以下」ということは、EPSがかなり低い、或いは赤字か、その企業の財務諸表の信憑性に問題がある可能性を市場が感じているということ。

「1秒間に何度も注文を繰り返す高速取引を使う機関投資家は、小さな値動きでも利ざやを狙うため、刻み幅の縮小は取引機会の増加につながる。一方、個人投資家に人気がある価格帯が低い株の価格形成もスムーズになる」

このような指摘もあるが、一部の高速取引を行う投資家の利便性を増すための「株価の刻みの縮小」は、本来目指す「投資」ではなく、「投機」を助長するものでしかない。

「10銭刻みの売買」が「投資家を育てる」ことになるのか。

市場が、企業の成長性を見誤り、株価を「100円以下」に放置しているのであれば、成長性が再認識された際には、株価は数倍になることが期待出来るはずである。そうなのであれば、「投資家」にとって「10銭刻み」などで売買を繰り返す必要はない。要するに、株価「100円以下」の銘柄に「10銭刻み」の売買を促すということは、「投資」ではなく、「投機」を助長するということ。

もちろん「投機」を否定するわけではないが、「投資家を育てる」ことと、「10銭刻み」で売買をさせることは、全く正反対のものである。日本取引所グループが検討している「株価の刻み幅の縮小」は、「投資家を育てる」という本来の目的を忘れ、「投機を煽る」誤った方策である。このようなことを繰り返しているようでは、「株式投資は博打」、「株式市場は鉄火場」、「証券会社の人間は株屋」、という誤解を払拭することは難しい。

「現時点で資産バブルが生じているとか、直ちに生じる懸念があるわけではない」

黒田日銀総裁はこのように主張しているが、「投機」を促すような誤った方向に動く兆しがあることには注意が必要である。
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近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

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著書

1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

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