日経平均「今年3番目の下落」~剥げ落ちた「異次元金融緩和」の神通力

週明けの東京株式市場は、予想された通り「不安定な展開」となり、512円安と今年3番目の下落を記録、大引けは13,261円となった。昨年11月から半年余り、予想以上に好調に推移して来た株式市場だが、ここに来て僅か10日ほどの間に「今年1番の下げ」から「今年3番目の下げ」まで相次いで記録、明らかに変調を来している。3日の日経平均株価のVolatility(21日営業日ベース)は43%まで上昇して来ている。

「今年1番の下げ」から「今年3番目の下げ」まで相次いで見舞われたと言え、野田前総理が「自爆解散」を表明した昨年の11月14日の日経平均株価8,664円と比較すれば、6月3日の引値は4,597円、率にして53%と高い水準にあり、「上昇局面での一時的調整局面」と言えないことはない状況にある。しかし、黒田日銀総裁が「異次元金融緩和」を打出した4月4日の引値と比較すると、上昇幅は627円、上昇率は僅か5%の上昇になって来ており、「異次元の金融緩和」の神通力が殆ど剥げ落ちた格好となった。

3日の株式市場は、日銀がETFを188億円購入した影響もあったのか、売手が慎重に買戻しを入れながら下値を探り、結局安値引けとなり、まだそれほどショートが溜まっていないことを印象付けるような展開であった。

このような展開になるたびにメディアが報じるのが、専門家による「下値のめど」。先週までは14,000円が「下値のめど」だとする専門家の意見を報じていたが、実際の市場は専門家が示した「下値のめど」を何の躊躇もなく突き抜けてしまった。「26億株強、金額で4兆円弱に及ぶ裁定取引買残(5月31日時点)」、「3兆円強の信用取引残高(5月24日時点)」といった、需給が重しになる局面では「下値のめど」という考え方はあまり有効ではない。

専門家にとっては「下値のめど」を示すことは、職業柄必要なことかもしれない。しかし、価格自体には「必要性」が存在しない現実の市場では、「下値のめど」は殆ど意味がない。金融市場に存在するのは、「必要性」ではなく「必然性」である。

1989年の年末に日経平均が38,915円まで上昇したのも、38,915円という価格に「必要性」があったのではなく、その期間株価が上昇する「必然性」があったなかで、たまたま38,915円を記録したということに過ぎない。この半年間においても、株価が上昇する「必然性」があったから株価が上昇して来たのであって、直近の高値である15,627円という価格を付ける「必要性」があって上昇して来たたわけではない。

専門家は、バリエーションなどを駆使して株価に理論的な「必要性」を持たせようとするが、投資家に必要なのは、「必要性」のある株価ではなく、市場が有する「必然性」の判断である。それによって相場の天底を当てられることはないが、大きな火傷を負うリスクはかなり軽減出来る。

株式市場が調整局面を迎えた原因として挙げられているのがFRBの「出口論」である。そうした中、今週末には注目の米国雇用統計が発表される。現時点では、強い数字が出れば、FRBの「出口論」が強まり、株式市場にはネガティブな影響が出ると考えられている。米国経済の回復感が強まることが株式市場にネガティブであるというのは皮肉な現象。

投資家が念頭に置いておいた方が良いことは、この先暫くはFRBの「出口論」は付いて回るということ。日本を筆頭に、ブラジルを除いた世界の主要国が金融緩和に動き出している最近の局面は、FRBの「出口戦略」による悪影響を最小限に抑えるには好都合なものである。FRBがバランスシートを実際に縮小させたり、政策金利引き上げに動くのは、まだ少し先のはずである。しかし、FRBが「出口戦略」による金融市場への悪影響を軽減するために、折を見ては市場に「出口論」を意識させていくことは十分に考えられることである。

現在の株式市場を取り巻く環境は、株価が反転上昇局面に入る「必然性」が見当たらない状況にある。日経平均のVolatilityは短期的な反発が十分に考えられる40%台まで上昇して来ているが、「今年3番目の下げ」が女々しい下げであったことを考えると、まだまだ投げ切った感は不足している。通常、需給悪化の解消は、短時間で値幅を出して解消するか、長時間かけてダラダラと解消するかのどちらかになる。「今年3番目の下げ」が慎重に下値を探りながらの展開であったことを考えると、まだ調整完了に必要な「値幅」あるいは「時間」が不足している状況にあると思われる。

こうした局面で致命傷を負うことなく乗り越えるために必要なのは、「下値のめど」などという「株価水準」を尺度にして無駄玉を打たずに堪えることである。どの「株価水準」で下げ止まるのかは神のみぞ知るだが、需給悪化による台風も、必ず通り過ぎるものなのだから。 
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