魔の木曜日~FRBの金融政策動向は「日本株下落の原因」ではなく、最後に残された「希望の光」である

「13日の東京株式市場は、世界的な株安への警戒感から投資家の間でリスクを避ける動きが一段と強まって全面安となり、日経平均株価の終値は840円以上の急落となりました」

またしても「魔の木曜日」となった。13日の東京株式市場は、前日比843円安の12,445円と「今年2番目の下落」を演じ、黒田日銀が「異次元の金融緩和」に踏み切った4月4日の終値12,634円を下回った。「異次元の金融緩和」が働きかけた「期待」は、1ヶ月半もたずに完全に剥げ落ちた格好となった。

このところの日本株の不安定な動きに関しては、何かの一つ覚えのように「FRBが金融緩和策を早期に縮小するのではないかという懸念」であるという解説が連日のように繰り返されている。

「FRBが金融政策を早期に縮小するのではないか」と見られている米国のNYダウは、5/28に史上最高値15,409$を記録してから上昇一服となっているが、6月12日時点での高値からの下落率は僅か2.7%に過ぎない。一方、5月22日に今年最高値の15,627円を付けた日経平均の高値からの下落率は13日時点で20.4%である。NYダウを史上最高値から僅か2.7%下落させたに過ぎない「FRBの金融政策の早期縮小懸念」を、今年の高値から20%以上下落した日経平均株価の主要な下落要因であると真顔で論じられる専門家の厚かましさには感心するばかりである。

2013年日米株価

東京株式市場が大幅下落した影響もあり13日のアジア諸国の株式市場も軒並み下落した。こうした動きをもって「世界的な株安への懸念」という尤もらしいコメントも見られるが、これも完全なこじつけである。NYダウの▲2.7%の他、世界の主要株式市場の今年の高値からの下落率は、英FT100 ▲7.9%(12日時点)、独DAX ▲4.5%(同)、香港 ▲12.3%(13日時点)、上海 ▲11.8%(同)、インド ▲7.2%(同)であり、東京株式市場の下落率▲20.4%は群を抜いている。この2~3週間に限ってい言えば、世界の株式市場の現状は、「世界同時株安」より「日本の単独下落」といえるものである。

5月22日 日銀金融政策決定会合 及び 黒田総裁記者会見15:30~
5月23日 日経平均株価、前日比1,143円安、「今年最大の下落、下落率は史上10位」記録

5月30日 安倍総理 ESRI国際コンファレンススピーチ
「このところの東京証券取引所での株価の乱高下についても、見識ある皆さんであれば、日々の金融的な現象に過ぎず、重要なことは実体経済が好転しているかどうかである、とお考えのことでしょう」
5月30日 日経平均株価、前日比737円安、「今年2番目(当時)の下げ幅」記録

6月5日 安倍総理 「成長戦略第3弾スピーチ」
6月5日 日経平均株価、前日比518円安、「今年3番目(当時)の下げ幅」記録

6月7日 米国雇用統計
6月10日 日経平均株価、前日比636円高、「今年最大の上げ」記録

6月11日 日銀金融政策決定会合 及び 黒田日銀総裁記者会見15:30~
6月12日 「日本再興戦略」決定
6月13日 日経平均株価、前日比843円安、「今年2番目の下げ」記録

偶然かもしれないが、このところ政府や日銀が政策を発表する度に株式市場は大きな下落を演じており、大幅高を演じたのは米国雇用統計発表後だけである。こうした偶然から言えることは、金融市場が安倍政権が「3本の矢」を放ち終わり、黒田日銀が「政策の逐次投入はしない」と言い切り金融政策を出し切った「国内要因」には、市場を安定させるエネルギーは残っていないことを見透かし、「外的要因」に頼り始めているということ。

「日銀としては強い決意でもって量的・質的金融緩和を進めて、日本経済をしっかり支えていきたい」

13日に安倍総理と会談した黒田日銀総裁は、改めて「量的・質的金融緩和」を進めて行く決意を示した。しかし、金融市場の潜在的な円高圧力を取り除く意味で必要不可欠な「大胆な金融緩和」と、長期国債市場をはじめ金融市場に大きな混乱をもたらした「異次元の金融緩和」は似て非なる政策である。こうした相違点を認識せずに「強い決意をもって量的・質的金融緩和を進める」決意を固める日銀総裁。誤った政策をいくら「強い決意をもって」進めても、市場の信認を失うだけである。

「期待に働きかける」ことに失敗した政策に固執し続ける人物が自国の中央銀行総裁に座っている限り、市場の「期待に働きかける」ことが出来る存在はFRB議長だけである。日本ではFRBによる金融政策の動向が金融市場の波乱要因であるかのように報じられているが、それは、現実的にはFRBの動向が金融市場の「唯一の希望の光」となっていることの裏返しである。
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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