皮肉な現象~最も信頼される債券と低評価の通貨を持つ米国

「脱小沢」を上手く演出し、支持率の「V字回復」を果たした菅内閣だったが、自らの唐突な「消費税発言」により支持率を急落させ、楽勝ムードだった参院選も、一転苦しい選挙戦にしてしまった。参院選最大の争点に担ぎ出された格好だった消費税増税議論も、日本経済新聞に「上滑り」と切り捨てられる始末で、選挙自体もなかなか盛り上らない。「責任ある政党」を演出するために自らが俎上に載せた「消費税」問題が、盛り上りに欠ける参院選で民主党自らのの首を絞める結果になるというのも皮肉なことである。「奢れるもの者久しからずや」ということか。

盛り上らず低迷をするのは世界の株式市場も同じ。米国と中国で期待に届かない経済指標の発表が続いたこともあり、冴えない展開が続いている。Bloombergによると、2010年上期のパフォーマンスは米国債券が5.9%の上昇と1995年以来の高いパフォーマンスを記録したのに対して、世界の株価を現すMSCI世界指数はマイナス11%となった。

米国債券は世界の金融市場で相対的に高い評価を受けたが、為替市場での評価はここに来て財政懸念が払拭し切れないユーロよりも下になって来ている。米国の経済は拡大を見せてはいないが、決して失速している訳ではない。にも拘わらずドルが為替市場で低い評価となっているのは、ショートポジションが溜まっていることでユーロが「打たれ強い通貨」になっているというテクニカル要因に加え、米国が景気回復による財政再建を提唱して来たことが影響しているようだ。

経済指標を見る限り、米国経済は期待ほどの回復傾向は示していないものの、失速している訳ではない。先月末に発表された米国の貯蓄率は4%と、昨年9月以来の高水準を記録しており、米国の「財政」は健全な方向に動いている。以前の様に米国の財政赤字が注目されている時期ならば金融市場に好感されたはずの材料だ。しかしながら、「景気回復」を優先することを期待されている米国における、こうした「財政」にプラス、「景気回復」にマイナスの影響を及ぼす社会の動きは、必ずしも金融市場に歓迎されるものとならないのは、非常に皮肉なことだ。
G20等で「緊縮財政による財政再建」よりも「景気回復」を優先することを主張して来た「相対的に財政が健全な」米国にとって、市場のテーマが「財政」から「景気」に移ってしまったことが逆風となっている。


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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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