低下する「アベノミクスDI」~「お伽の国」の「良いインフレ」

少しずつ「大胆な金融緩和」の麻酔が切れ始めたようだ。

参院選挙での与党圧勝、ねじれ解消を受け、専門家達によって「日経平均株価は18,000円を目指す」、「ドル円は108円を目指す」と威勢の良い見通しが並べられてから1週間。金融市場の動きは、期待とは異なったものになって来ている。参院選前の19日に14,589円であった日経平均株価は24日から4日続落、2営業日連続で400円を超す下落を記録し、29日の引値は13,661円と14,000円を大きく割り込んでしまった。同時に、100円台であったドル円も、97円台まで円高に戻ってしまった。

こうした「円高・株安」にタイミングを合わせるように、NNNが発表した世論調査で第2次安倍内閣を「支持する」と答えたのは6月の60.1%から大きく低下した53.3%と、発足後初めて60%を下回って来た(NNN電話世論調査 7月26日~28日に調査)。「支持しない」と答えたのは6月の18.5%から大幅に上昇して29.2%。

安倍政権を「支持する」理由で一番多かったのは「政策に期待が持てるから」の28.1%であり、「他に代わる人がいないから」の26.4%を僅かに上回った。反対に、安倍政権を「支持しない」理由で一番多かったのは「政策に期待が持てないから」で、42.6%とダントツであった。

この調査結果から単純計算すると、安倍政権の「政策に期待を持っている国民」は約15.0%(=「支持する」53.3%×「政策に期待を持てるから」28.1%)で、「政策に期待が持てない国民」は約12.4%(=「支持しない」18.5%×「政策に期待が持てないから」44.6%)となり、「アベノミクスDI」(=「政策に期待を持っている国民」‐「政策に期待を持てない国民」」は+2.5%ということになる。ちなみにNNNの世論調査結果から単純計算した「アベノミクスDI」は3月+18.0%、4月+19.9%、5月17.8%、6月+9.18%と、4月から3か月連続で低下し、発足直後1月の+11.6%を下回って来ており、国民のアベノミクスに対する期待が大分剥げ落ちて来たことが見て取れる(「アベノミクスDI」の推移はこちら

「アベノミクスDI」が低下して来たのは、「円安・株高」が一服して来たこともあり、「金融緩和による円安で、輸出企業の採算が向上。従業員の賃金が上昇して消費が活発化。設備投資も増え、景気拡大の好循環が生まれ、需要が拡大する中で物価が上昇していく」というアベノミクスが掲げる「良いインフレ」が「お伽話」であることが明らかになって来たこと。

多くの国民に「良いインフレ」が「お伽話」であることを気付かせたのは、日経平均株価が下落に転じた24日に発表されたキャノンによる業績下方修正。

「キヤノンは24日、2013年12月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比16%増の2600億円になりそうだと発表した。従来予想の2900億円から下方修正した。欧州や新興国の景気減速を受けてデジタルカメラの販売台数の回復が当初の予想より遅れており、販売計画を見直したことなどが主因。…(中略)… 同時に発表した13年1~6月期の連結決算は、純利益が前年同期比5%減の1074億円だった。売上高は3%増の1兆7835億円、営業利益は13%減の1531億円になった」(日本経済新聞)

円安が進んだ中でも、キャノンの1~6月期連結純利益が減益になったということは、「輸出企業の採算が向上し、従業員の賃金上昇する」というアベノミクスが国民に示して来たシナリオが成り立たないことを示したもの。輸出企業の採算が、「円安・株高」でも、欧州や中国の景気低迷を受けて向上としないとしたら、次の段階にある「賃金の上昇」は完全な「絵に描いた餅」。

「大胆な金融緩和」による「円安・株高」という麻酔が切れ始めた今、多くの国民が「第1の矢」が刺さった「円安」の痛みを感じ始めて来ている。この先「アベノミクスDI」がマイナスに転じるかどうかは、安倍政権が国民が感じ始めている痛みにどのように寄り添うかにかかっている。

因みに、NNNの世論調査では、「あなたは、来年4月から予定通り引き上げられて良いと思いますか、思いませんか?」という質問に対する回答は、「良いと思う」35.5%、「そうは思わない」57.6%と、大差がついて来ており、もはや消費増税は「国民の議論を二分する問題」ではなく、「お伽話」の中に止めるべき問題になって来ている。国会のねじれ解消によって実現した「決められる政治」の真価を発揮できるのか、政権能力が問われる局面が近付いて来ている。
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