締め切り間近の「消費増税Gメン」採用 ~霞が関にとっての「痛みを伴わない消費増税」によって生じた「過去最大級の臨時職員募集」

「中小企業庁と公正取引委員会は来年4月に予定する消費税率の引き上げを前に、流通業者などが増税分の価格転嫁を拒む事態がないように監視する臨時職員の募集を始めた。約600人採用する予定で、政府による臨時職員の採用としては過去最大級だ」(8月24日付日本経済新聞「消費増税Gメン600人」)

何とも手回しの良いことである。消費増税の影響を調べる集中点検会合が始まるのに先駆けて、政府は過去最大級の「消費増税Gメン」の募集を始めたことが報じられている。

中小企業庁のホームページをのぞいてみたが、該当する「採用情報」は見当たらなかった。しかし、公正取引委員会のホームページには、8月1日付で、「消費税率の引き上げが行われない場合は,採用されないことをあらかじめ御了承の上,御応募ください」という停止条件付の「転嫁対策調査専門職員(非常勤一般国家公務員)」と「任期付常勤職員(消費税転嫁対策担当)」の募集「採用情報」が掲載されている。

募集要項を見ると、採用は10月1日からで、応募の締め切りは8月30日必着となっており、「募集を始めた」というより「締め切りまでわずか」という状況。「締め切りまでわずか」になった時点で、何故「募集を始めた」という記事をわざわざ1面に掲載したのだろうか。「約600人採用する予定で、政府による臨時職員の採用としては過去最大級だ」というアピールをすることで、消費増税が雇用対策にもなっているということを強調したかったのだろうか。

「国税庁のこの調査で注目すべき点は、滞納額の中で最も多いのが『消費税』であることである。2012年度の滞納残高1兆2702億円のうち、消費税は3960億円と31.2%を占めている。さらに、2012年度の新規発生滞納額5935億円のうち消費税は3180億円と53.6%を占めている。国税庁が公表している消費税滞納額は地方消費税(1%)を除いた金額であるから、地方消費税を含めた実際の滞納額は3975億円ということになる。2012年度の消費税収入は10兆3504億円であるから、その3.8%程度が滞納されているということである」(拙著「これでも消費増税やりますか?」より、参考チャートはこちら

大手の小売業に商品を納入する中小卸売業者等が不利益を被らないようにする措置も大切かもしれない。しかし、まず国が考えるべきことは、消費増税の価格転嫁をさせることよりも先に、消費税の滞納額が年間に発生する滞納税金全体の50%を超えて来ている状況を是正する対策のはずである。消費税を正しく徴収するだけで、毎年1兆円ずつ増加する社会保障費の約4割をまかなえる可能性があるのだから。

それにもかかわらず、そのために必要な「インボイス制度導入」や「歳入庁設置」には一切手を付けず、国民に「痛みを伴う構造改革」という尤もらしいスローガンを掲げ、永田町と霞が関にとって最も「痛みを伴わない消費増税」を押付けるというのは「責任ある政治」からかけ離れた姿である。

「消費増税Gメン」は、消費増税の価格転嫁を促すためではなく、「消費税徴収Gメン」として、消費税を正しく徴収する分野で活躍してもらいたいものである。

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