一般常識では導き出せない解答 ~2か月ぶりに上方修正された月例経済報告と、 「低所得者に口止め料を渡し、選挙の『論功行賞』を実施する」かのような経済対策

「(個人消費)引下げ」+「(輸出)引下げ」+「(輸出)据え置き」+「(設備投資)引上げ」=「(景気現状)引上げ」

一般人の常識ではなかなか理解し難い方程式だと思います。別の書き方をすると、こうなります。

「(個人消費)持ち直し傾向にある」+「(輸出)このところ持ち直しの動きが穏やかになっている」+「(企業収益)大企業を中心に改善している」+「(設備投資)非製造業を中心に持ち直しの動きがみられる」=「景気は穏やかに回復しつつある」

先日発表された2013年4~6月期の実質GDP改定値において、その58.1%を占める「家計最終消費支出」と、同じく15.9%を占める「輸出」が下方修正され、その12.6%を占めるに過ぎない「民間企業設備」が上方修正されたことで、全体の景気判断が上方修正するというのは、整合性に欠ける判断のように思います。

GDP構成比(2013年2Q)


各項目の判断と全体の判断の整合性がとれないというのは、消費増税予定通り実施の最終判断を控え、「景気は穏やかに回復しつつある」と、8月の「着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる」という判断から上方修正することが決まっていたからなのでしょう。

「先行き」については、8月の「企業収益の改善が家計所得や投資の増加につながり、景気回復へ向かうことが期待される」という表現から、「輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現するなかで、家計所得や投資の増加傾向が続き、景気回復の動きが確かなものとなることが期待される」へと、こちらも強い表現に変更になっています。

「景気回復の動きが確かのものとなる」と強い表現に変更されているところからは、政府は景気回復をかなり強く見積もっていることが想像されます。しかし、8月時点で「期待」をかけていた「企業収益の改善が家計所得や投資の増加につながる」というのは、今回「個人消費」を下方修正したことで、見込み違いであったということになると思います。つまり「企業収益の改善が家計所得の増加」につながらなかったということです。それにもかかわらず、政府は、今回下方修正された「輸出」の持ち直しと、「家計所得の増加傾向」を背景に「景気回復の動きが確かなものとなる」ことを期待しているのです。

「景気回復へ向かうことが期待される」とした時期から、「見込み違い」によって「個人消費」と「輸出」が下方修正されたなかで、「景気回復の動きが確かなもの」になると景気見通しを上方修正する感覚は、素人には理解不能だと思います。

下方修正された「個人消費」と、上方修正された「設備投資」。こうした経済状況下で、「個人消費」を犠牲にする消費増税を実施し、その税収増の多くを上方修正された「設備投資」をさらに増やすために、「企業収益改善」の主役である大企業中心に再配分するというのが、正しい経済政策なのでしょうか。

消費増税の予定通り実施による景気の腰折れを防ぐために、政府が「成長戦略」の一環としての「法人減税の拡充」や、「低所得者への現金の『簡素な給付措置』」を含む5兆円規模の経済対策を検討していることが報じられています。

「デフレからの脱却」と「日本再興戦略」を掲げ、「Japan is back(日本は戻った)」と内外に宣言した安倍総理。しかし、GDPデフレーターがマイナス圏から脱出出来ないでいる状況下で、消費増税の予定通りの実施をめざし、「低所得者に口止め料を渡し、大企業を中心に選挙の『論功行賞』を実施する」かのような経済対策を打ちだす姿勢をみていると、「Japan turns back(日本は元に戻った)」という危険性が高いように思えてなりません。


☆★☆★ 「拙著書籍版プレゼント」 ☆★☆★

明日14日締切です!
「これでも消費増税やりますか? ~ 予断を持って議論することなかれ」
「大胆な金融緩和」を錆びつかせる 誤射だらけの「異次元の金融緩和」


の手作り感満載の書籍版(A5、自己製本)を各5名様にプレゼントさせて頂きます。
この機会にお読み頂ければ幸いです。
ご応募の締め切りは明日9月14日(土)です。ご応募お待ちしております!
詳しくは「近藤駿介 Official Site」をご覧ください。

これでも消費増税やりますか
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

トラックバック

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

入会キャンペーン 実施中!

著書

アラフォー独身崖っぷちOL投資について勉強する

Anotherstage LLC

金融に関する知見を通して皆様の新しいステージ作りを応援

FC2ブログランキング

クリックをお願いします。

FC2カウンター

近藤駿介 facebook

Recommend

お子様から大人まで
町田市成瀬駅徒歩6分のピアノ教室

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR