国民は誰に土下座させればいいのか?~ 詭弁でクロをシロにすり替え続ける消費増税論議

「モラル?この銀行にまだモラルなんてものが存在するんですか?私の言っていることと大和田常務の言っていること、どちらが正しくてどちらが間違っているか、少し考えればどなたにでも分かるはずです。しかし、皆さんは、これまでずっと、このテーブルの上で、クロだと思っているものを詭弁でシロにすり替え続けて来ました。その結果が今のこの東京中央銀行です。大和田常務。あなたは私に仰いましたね。メガバンクはこの国の経済を支えている。決して潰れてはならない。仰る通りです。銀行は決して潰れてはならない。ですが私たちは、そのことに拘るあまり、いつのまにか自分達のことしか考えない集団になっているんじゃありませんか。弱いものを切り捨て、自分達の勝手な論理を平気で人に押付ける。問題は先送りされ、誰一人責任を取ろうとしない。下らない派閥意識でお互いに牽制しあい、部下は上司の顔色をうかがって、正しいと思うことを口にしない。そんな銀行はもう潰れているようなものです。世の中には、本当に銀行の力を必要としている人や企業がたくさんいます。彼らを裏切り続けるなら私たちはもう存在していないのも同然ではないですか。これ以上、自分達をごまかし続けるのは止めましょう。クロはクロ。シロはシロです。そうは思いませんか。」

「半沢直樹」の最終回で、半沢直樹が取締役会で、宿敵大和田常務と対決するクライマックスシーン。最終回の視聴率が紅白越えを果たしたとも言われていますから、多くの視聴者がこのシーンを見て溜飲を下げたのではないでしょうか。

伊勢島ホテルに対する200億円の融資が焦げ付くことで1500億円の貸倒引当金を積むことを金融庁から要求されたり、違法性の高い迂回融資などを行った大和田常務を商法上の取締役に残したりするなど、細かな部分ではおかしなところがあるのですが、そうした子細な部分に対する批判が出てこなかったということが、ドラマの魅力が高かったことを証明しているのかもしれません。

最終回のこのシーンを見ていて、舞台となっている「東京中央銀行」を「永田町と霞が関」に置き換えると、現実の日本社会を表しているのではないかと感じてしまいました。もしかしたら、多くの視聴者は「東京中央銀行」と「現代の日本社会」を重ね合わせて見ていたのかもしれません。

「クロだと思っているものを詭弁でシロにすり替え続けて来た」、「弱いものを切り捨て、自分達の勝手な論理を平気で人に押付ける」…。こうした台詞は、今行われている「消費増税」の議論にそのまま当てはまるものです。

「消費増税を実施しても景気回復する」、「景気悪化はコントロール可能なリスクである」、「消費増税実施を先送りすれば長期金利は急上昇する」、「1997年の消費増税後の景気悪化は、アジア危機や金融不安によるもので消費増税によるものではない」、「法人税減税で雇用と賃金が回復する」…。

消費増税に関する議論では、「少し考えればどなたにでも分かるはず」のことを、「永田町と霞が関」の利害関係者である「有識者達」を利用して「クロだと思っているものを詭弁でシロにすり替える」ようなことがずっと行われ続けています。

「半沢直樹」が実在していたら、彼の目には、日本の「永田町と霞が関」は「潰れているようなもの」に映っているに違いありません。そして、「永田町と霞が関」の利害関係者である有識者達には、「これ以上、自分達をごまかし続けるのは止めましょう。クロはクロ。シロはシロです。そうは思いませんか」と問いかけていたことでしょう。

「私が10月の上旬に判断するのですから、それは私の責任、判断すれば結果に対しても責任を持たなければいけません」

22日に放映されたテレビ朝日の番組の中で、安倍総理は消費増税の実施によって景気が腰折れした場合の責任について、このように述べています。しかし、

「政府の認定に基づけば、日本は、1997年以降143ヵ月も景気回復期にあった。しかし、その間に日本の名目GDPは、1997年10-12月期の約524兆円から、2013年の4-6月期の約480兆円まで、金額で約44兆円、率にして▲8.6%も縮小している。さらには、国債の発行残高は、1997年度の約225兆円から、2013年6月末には約830.5兆円と、実に600兆円強増加している」(拙Blog「『景気回復期』の中で、届かなかった実感と、大幅に減少したGDP、大幅に増加した国債発行残高」より)

と、「失われた15年」のうち8割近くの期間が「景気拡大期」とされているように、「景気腰折れ」の認識に関して国民と政府で大きな乖離があることを考えると、「永田町と霞が関」で「誰一人責任を取ろうとしない」ことになるのは明らです。

「見苦しいですよ、大和田常務。これはあなたがして来たことの報いです。散々利用して来た部下に裏切られた今のお気持ちは如何ですか」

「半沢直樹」では、半沢が取締役会の場で宿敵大和田常務をこうして追い詰め、土下座をさせ、積年の恨みを晴らすことに成功しました。

翻って我々国民は、「永田町と霞が関」の囁く「消費増税を実施しても成長出来る」という甘言を信じて、法人税減税の穴埋めに使われることが明らかな消費増税の受け入れなど「散々利用」された挙句、景気回復期待が裏切られ、孫の代まで「潰れているような日本経済」という「負の遺産」を残してしまった場合、一体誰に土下座させて積年の恨みを晴らせばいいのでしょうか。


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