「消費増税によって生まれる利権に群がる勢力」が演出した世論調査、「消費増税、賛否が拮抗」

いよいよ、安倍総理が「消費増税予定通り引上げ」を表明する時が迫って来ました。

安倍総理の消費増税引上げ表明を控え、30日付日本経済新聞は、日本経済新聞社とテレビ東京が27~29日の実施した世論調査の結果を一面で伝えています。その結果は、「消費税率を来年4月から8%に引き上げることについて聞いたところ、賛成が47%、反対も48%と拮抗した」ものとなったようです。

日本経済新聞の記事は、この記事だけを読むと、「賛成が47%」と、「反対48%」に迫り、消費増税に対する国民の理解が進んでいるような印象を受けるようなものになっています。しかし、約1ヶ月前に日本経済新聞は、「消費増税に関しては税率引き上げを容認する声が7割を超えた」(26日付日本経済新聞「本社世論調査~消費増税7割が容認」)と報じていましたから、「報道の継続性」という点からは、「賛成する声が7割から5割弱に下がった」とするか、「反対する声が3割から5割弱に上がった」と報じるべき内容であったといえるものでした。

「報道の継続性」を保つと都合の良くない結果になることを恐れたのか、日本経済新聞は先月と今月とで、質問内容を若干変えています。

「消費税率を今の5%から2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げることについて三択で聞いたところ『予定通り引き上げるべきだ』は17%と前回より6ポイント上昇。『引き上げるべきだが、時期や引き上げ幅は柔軟に考えるべきだ』は3ポイント低下の55%、『引き上げるべきではない』は3%下がり24%だった」(8月26日付日本経済新聞)

【参考記事】「消費増税7割が容認」? 歪められて伝えられる世論調査と、「格差」を固定しかねない設備投資の「税額控除」

1ヶ月前の世論調査では、「2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げ」と、2回の消費増税をセットにした質問になっていましたが、今回は「安倍首相は消費税の税率を来年4月から8%に引き上げることを10月1日に表明します。あなたはこの引き上げに賛成ですか、反対ですか」と、「消費税の税率は再来年10月には10%に上がる予定です。あなたはこれをどう思いますか」と、分けて質問しています。

再来年10月の2回目の消費増税に関する質問は、実質的には先月とほぼ同じ内容でしたが、「消費増税に関しては税率引き上げを容認する声が7割を超えた」という結果を維持する意図があったのか、「予定通り引き上げるべきだ:18」、「時期を遅らせるべきだ:22」、「引き上げ幅を見直すべきだ:31」、「引き上げるべきではない:25」、「その他:1」、「いえない・わからない:3」と、先月より質問項目を増やして、「消極的賛成」を「消費増税容認」に分類出来るような質問になっています。

こうした成果もあり、再来年10月に予定されている2回目の消費増税に対する世論は、今回も1ヶ月前の結果とほぼ同じ結果になりました。簡単に言えば、世論はこの1カ月間にほとんど変わっていないということです。

そうした中、来年4月からの消費増税については「賛成が47%、反対も48%と拮抗」する結果になっています。それは、今回の質問事項が「賛成だ」「反対だ」「どちらともいえない」「いえない・わからない」と実質2者択一になっており、「時期を遅らせるべきだ」「引き上げ幅を見直すべきだ」という「消極的賛成」が「賛成だ」に流れるようにされていたからです。

安倍総理が来年4月からの消費増税の予定通り実施を表明することが確実になった段階で、「賛成が47%、反対も48%と拮抗」しているという結果を導き出すように仕組まれたような世論調査が発表されたのは、安倍総理に「世論は追い風だ」と信じ込ませるためだったのかもしれません。財務省を中心とした「消費増税によって生まれる利権に群がる勢力」は、消費増税表明を翌日に控え、もともと「景気回復なくして財政再建なし」という「上げ潮派」であった安倍総理が「近藤」にならないように、念には念を入れているようです。

「消費増税によって生まれる利権に群がる勢力」は、1997 年の消費増税実施後の景気悪化は、アジア通貨危機の発生や国内金融システム不安という「特殊要因」が引き起こしたもので、消費増税の影響は少なかったと主張しています。しかし、現実の世の中では、何かしら「特殊要因」が起きているのが通常であり、1997年の消費増税後に「特殊要因」が起きたことを景気低迷の要因にすることの方が、現実を無視した「特殊な分析」だといえるものです。

安倍総理による来年4月からの消費増税引き上げ表明を翌日に控えた30日、米国の予算協議決裂や、イタリアの連立政権崩壊という「特殊要因」の影響を受け、為替市場では1ヵ月ぶりに97円台まで円高が進み、日経平均株価は300円以上下落しました。米国議会の協議の行方によっては、米国で政府機関の一部が業務停止という事態に陥る中で、安倍総理は消費増税実施を表明することになるかもしれません。

「消費増税によって生まれる利権に群がる勢力」には、1997年と違って、米国のこうした事態は消費増税実施表明前に表面化したリスクですから、万が一消費増税によって景気腰折れしても、言い訳に使えないことは肝に銘じておくべきだと思います。

もし、米国の「ねじれ議会」の影響で明日の金融市場が混乱に陥った場合でも、安倍総理は予定通り消費増税引上げ表明をする勇気を持っているのでしょうか。安倍総理を「近藤」にすることが出来るのであれば、短期的な金融市場の混乱は大歓迎なのですが…。

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