Bye your Abenomics! ~ 「経済再生」を掲げて来た安倍総理が下した「政治判断」

「最後の最後まで考え抜きました」

昨日18時過ぎから始まった記者会見で、安倍総理はこのように述べました。しかし、「考え抜いた」のは、「日本経済の将来」よりも、「政権維持」だったのかもしれません。

「15年間にわたるデフレマインドによってもたらされた日本経済の縮みマインドは変化しつつある。であれば、大胆な経済対策を果断に実行し、この景気回復のチャンスをさらに確実なものにすることにより、経済再生と財政健全化は両立し得る。これが熟慮した上での私の結論です」

安倍総理はこのように消費増税決定に至った理由について説明をされました。しかし、「この景気回復のチャンスをさらに確実なものにする」ために「消費増税を実施する」という結論は、誰が、どのように「考え抜いた」としても、導ける結論ではありません。

「我が国が置かれている現状、そして、今回の私の結論に対して、国民の皆様の御理解と御支持をお願い申し上げます」

安倍総理は、記者会見における冒頭発言をこのような言葉で締め括りました。

安倍総理が消費増税実施を表明したことに対して、2日付日本経済新聞は社説で「17年ぶりの消費増税を実行し、財政再建の一歩を踏み出すことを評価したい」と、「ご理解とご支持」を示しています。

一方、英国のフィナンシャルタイムズ(FT)からは、「ご理解」も「ご支持」も得られなかったようです。

「フィナンシャルタイムズが、1日に発表された日本の消費税増税について、悲観的な論調を載せています。安倍政権は、民間投資を呼び込むため、法人税を引下げ、その代わりに、負担を消費者に転嫁している、と記事は指摘。これで家計の購買力が大きく落ち込むだろうとしています。また、日本企業は既にある程度の設備投資をしてきているうえ、投資に対するリターンが低いことから、法人税の引下げで今後日本経済が拡大するかは懐疑的だとしています」(10月2日 テレビ東京 モーニングサテライト 日刊モーサテジャーナル)

FT紙は、需給ギャップがGDP比で▲1.5%と「需要不足社会」となっている「我が国が置かれている現状」で消費増税が実施されれば、「家計の購買力が大きく落ち込むだろう」と、極めて常識的な判断を示しています。さらに、安倍総理が訴えた「世界から日本に投資を呼び込むためには、法人税について真剣に検討を進めねばなりません」という考え方に対しても、「投資に対するリターンが低いこと」を理由に、否定的な見解を示しています。

日本国内では、マスコミや財界を中心に「法人税率引下げ」が日本経済復活の切り札であるような主張が繰り返されています。しかし、需要不足社会が「考え抜いた」末に打ち出した「消費増税+法人投資減税」で「世界から日本に投資を呼び込もう」とする政策パッケージは、魚のいない釣り堀が料金を引き下げて客を呼ぼうとするようなもので、上手く行くはずはありません。

「世界から日本に投資を呼び込もう」というのであれば、財界首脳の声よりも、「投資に対するリターンが低い」という世界の声に耳を傾けるべきでした。そうすれば、「世界から日本に投資を呼び込むため」に必要な政策は、投資減税ではなく、「投資に対するリターン」を高めるための政策であるということは、それほど考え抜かなくても、容易に判断がついたはずです。

安倍総理は、財界と霞が関に恩を売ることで「安倍政権の長期政権化」を図るため、消費増税が日本経済の将来のためになるという詭弁を、「最後の最後まで考え抜いた」ようです。その結果、最終的に「世界から日本に投資を呼び込む」可能性の芽を、「消費増税実施」によって摘み取るという「最悪の決断」をしてしまったようです。

安倍総理が「最後の最後まで考え抜いた」のは、総理にとって消費増税は、「経済問題」ではなく「政治問題」だったからです。そして、消費増税実施表明で明らかになったことは、日本は「主権在民」ではなく、「主権財界&霞が関」だという悲しい現実です。「経済の再生」を「最大かつ喫緊の課題」だと訴えて誕生した安倍総理が、「政治優先」に舵を切ってしまったことで、アベノミクス劇場は国民に景気回復の実感を届ける前に、幕引きを迎えることになるかもしれません。


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