「学力テスト」学校別成績公表~社会と教育との間に存在する方向性のギャップ

「小学6年生と中学3年生が対象の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、都道府県知事の4割以上が区市町村教育委員会による学校別成績の公表に賛成していることが21日、文部科学省の調査で分かった。現在、文科省は『過度な競争や序列化につながる』として、学校別の成績公表を禁じている」(日経電子版「学力テストの学校別成績公表、保護者ら4割以上賛成」)

全国学力テストの結果の公表に関しては、立場によって賛否が割れているようです。

調査によると、「都道府県知事は賛成44%、反対24%で賛成派が反対派を大きく上回った」一方、「保護者は賛成45%、反対52%。都道府県教委は賛成40%、反対43%で、いずれも賛成も一定数あったが、反対が上回った。また、区市町村教委は賛成17%に対し、反対が4倍超の79%。学校は賛成20%、反対78%、市町村長は賛成34%、反対62%でいずれも否定的だった」(同)

「学力テスト」の結果公表の仕方等についてはいろいろな意見があろうかと思いますが、「過度な競争や序列化につながる」という理由で公表を禁じるということには少し首を傾げてしまいます。

日本経済は、「雇用の流動化」など、企業の自由な競争を促すことによる成長を目指しています。つまり、日本社会は「過度な競争や序列化」を容認する方向に進んでいるといえる状況にあります。日本社会が政治的に「過度な競争や序列化」を容認する方向を目指す中で、教育の現場で「過度な競争や序列化につながる」という理由で学校別の成績公表を禁じるというのは、整合性がとれる判断なのでしょうか。

「過度な競争や序列化」を認めない教育を受けて来た学生が、突然「過度な競争や序列化」を目指す社会に放り込まれて、社会に順応して個々の能力を発揮できるものでしょうか。社会に順応できない学生が出て来ても当然のように思えてなりません。

日本社会が「過度な競争や序列化」を認める方向で生き残りを図るのであれば、教育もそれに即したものにして行かないと、結果的に日本社会の活性化にはつながらないのではないでしょうか。

個人的には、金融業界の現状をみれば、欧米流の「過度な競争や序列化」は日本の国力の上昇にはつながらないし、日本の目指す方向ではないように感じています。しかし、日本社会が欧米流の「過度な競争や序列化」を認める方向を目指すのであれば、奇麗ごとを言わずに教育の段階から「過度の競争や序列化」を認める必要があると思いますし、教育の段階で「過度な競争や序列化」を認めないのであれば、日本社会は欧米的な「過度な競争や序列化」ではなく、「日本的な経済発展モデル」を目指すべきではないのではないかと思います。

今のように、「過度な競争や序列化」を認めない教育と、「過度な競争や序列化」を認める社会という、教育と社会のギャップを放置すると、人材教育の多くが無駄になってしまい、人的資産が活かされないうように思えてなりません。

「学力テスト」に関して議論すべき本質は、学校別成績を公表すべきか否か、というものではなく、日本が目指す社会の方向と、教育のギャップをどのように考えるのかということではないかと思います。


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