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国会改革 ~「首相や閣僚が政府の仕事に専念できるようにする」だけでは「政府と国会の議論の質」は上昇しない

「政府と国会の議論の質をどう高めていくか、国会で議論いただければ大変有意義だ」

21日の衆院予算委員会で安倍総理はこのように述べ、「国会改革」への期待を示しました。「政府と国会の議論の質」を高めて行くことは結構なことですし、一部の議論を見ただけですが、22日の国会議論も、「政府と国会の議論の質を高めて行く」必要性を強く感じさせる内容でした。

ただ、国会中継を見ていて感じることは、「首相や閣僚が政府の仕事に専念できるよう国会出席の負担を減らす」とことだけで、とても「政府と国会の議論の質」が高まっていくことにはならないだろうということです。

「政府と国会の議論の質」を高めるためには、「首相や閣僚が政府の仕事に専念できるよう国会出席の負担を減らす」とことだけではなく、「国会議員が仕事に専念できるよう地元回り等の負担を減らす」とことも必要だと思います。国会中継等を見ていて、「政府と国会の議論の質」を高めるためには、もう少し国会議員が政策の勉強をする必要があるように感じるからです。

そのためには、有権者の意識改革が必要不可欠です。国会議員は「国の現状と未来」に対する責任をもっているわけですから、地元のお祭りや集会にまめに顔を出すといった選挙対策よりも、政策の研究や勉強をすることに時間を割くことを優先するのが当然であるということを、有権者側が理解する必要があるということです。政策の研究や勉強をする時間を与えて貰いながら、ろくな政策を打ち出すことも出来ないような国会議員は、次の選挙で落せばいいだけなのですから。有権者が選んでいるのは、「地元に利益を還元してくれる国会議員」ではなく、「国の現状と未来に責任をもってくれる国会議員」のはずなのですから。

【参考記事】米国デフォルト回避~「グローバル化して行く経済」と「土着化していく政治」というギャップが生み出したリスク

「企業の収益増から賃金上昇にはタイムラグ(時期のずれ)があるといわれていたが、なるべく短縮する」

21日の衆院予算委員会で、安倍総理はこのように答弁しました。しかし、円安等による企業収益改善はともかく、安倍政権が唱える「法人税減税等の企業優遇策」と「賃金上昇」の関係は、下の参考図に示したように、「法人減税」をすれば「賃金上昇」につながるという「必然」の関係にあるわけではありませんから、「タイムラグ」で達成が図られる問題ではありません。現状の法人税減税が、企業にとって「賃金上昇」のインセンティブにはならない仕組みを放置したままでは、政府が企業経営者に「賃金上昇」を「要望」するしかなく、「資本主義ではなかなか考えられない、まさに日本型アプローチ」になってしまうのです。

アベノミクス法人減税仕組


このような現状を野党議員が認識出来ているとしたら、「『経済の好循環実現に向けた政労使会議』だけでなく、『(賃金に関する)もっとしっかりとした仕組みを作るべきだ』と注文をつけた」(日本経済新聞)だけで満足せず、「しっかりとした仕組み」の具体例を示すことが出来たはずです。「しっかりとした仕組みを作るべきだ」と注文をつけても、「そうですね」で議論は終わってしまい、「政府と国会の議論の質」が高まることにはならないのですから。

「政府と国会の議論の質」を高めるためには、政府を追及する側が現状の問題点を把握し、「しっかりとした仕組み」の具体案を示し、それを一つの叩き台として議論する必要があるように思います。そうでない限り、毎度お馴染みの「質」の低い、言葉の遊びのような議論が繰り返されるだけになってしまいます。

野党の国会議員が、アベノミクスが唱える法人税減税が、企業にとって「賃金上昇」のインセンティブにならない「仕組み」になっているということが理解出来ていれば、野党側は企業にとって「賃金上昇」がインセンティブになるような「仕組み」を考え、提案出来たはずです。具体的な提案を示して議論をしない限り、「政府と国会の議論の質」を高めることは期待薄だと言えます(参考までに、法人税減税を企業に対する「賃金上昇」のインセンティブにするための筆者の個人的なアイディアはこちら)。

国会議員の側に、「しっかりとした仕組み」を考える「能力」がなかったのか、考える「時間」がなかったのかは定かではありませんが、「能力」が足りないのであれば「勉強する時間」を、考える「時間」がなかったのであれば「考える時間」を、どちらにせよ、「首相や閣僚が政府の仕事に専念できる」時間を与えるだけでなく、国会議員にも「仕事に専念できる時間」を与えるようにしなければ、「国会改革」にはならないように思います。そのためには、有権者側も、地元選出の国会議員が、地元のお祭りや会合にまめに顔を出すことよりも、政策の分析、研究、提案に時間を割くことが「政府と国会の議論の質」を高めることに繋がるというように、認識を変えて行く必要がありそうです。


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Author:近藤駿介
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

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