簡単ではない?損保「暴力団排除条項」 ~ 加害者が暴力団関係者の場合と、被害者が暴力団関係者の場合でどうなるのか

「大手損害保険会社は暴力団関係者が保険を契約できないようにする。来年9月までに自動車、火災保険などの契約条件を定めた約款に、暴力団排除条項を盛り込む。契約後に暴力団関係者と分かった場合も解約に踏み切る一方で、被害者には保険金を支払うなど救済措置をとる」(4日付日本経済新聞 「損保が暴力団排除規定」)

大手損保が、保険契約後に暴力団関係者と分かった場合に、契約解除に踏み切れるよう契約約款に「暴力団排除条項」を盛り込むことになったことが報じられています。日経の記事では「被害者には保険金を支払うなど救済措置をとる」とされていますが、同じ記事では「今後は暴力団関係者が加害者の時は原則、自賠責以上の保証は受けられない。自分が補償される保険に入るなどして、自衛する必要性が高まりそうだ」とも記されています。

損保各社が「暴力団排除条項」を設けることは理解できますが、損保各社が暴力団との関係を断つために、一般人が、暴力団関係者が加害者となる事故の被害者になることに備えて、新たな保険契約を締結する必要が生じるというのは釈然としないものでもあります。

最近は月払いも出て来ているようですが、自動車の任意保険は基本的には年間保険料は一括払いになっています。年間保険料一括払いということは、損保会社は保険金支払に必要な年間保険料を受取っているわけですから、暴力団関係者が加害者となる事故に対して保険金が支払えないわけではないはずです。「暴力団排除条項」によって、事後的に暴力団関係者だと分かった時点で契約を解除できるようにすると同時に、支払い済みの保険料は返還しないで済むような契約にすることで、一般人が「自衛」のために新たな保険に入ったり、オプション契約を締結したりする必要が生じないような工夫をして頂きたいものです。

ところで、自動車保険契約は、暴力団関係者が被害者になった場合でも、保険金が満額支払われる契約になっているのでしょうか。筆者が加入している自動車総合保険の約款には、暴力団関係者が被害者になった場合には保険金が支払われないというような条項は入っていません。

人権問題に関わって来る問題ですから、当然のことなのかもしれませんが、暴力団関係者にお金が渡らないようにすることが目的であるのであれば、片手落ちのような気がします。また、暴力団関係者が加害者になった場合には被害者が受取る保険金に上限が設けられ、暴力団関係者が被害者になった場合には一般人の契約通りに満額保険金が支払われるのだとしたら、それはそれで問題のような気がします。

みずほ銀行の件もありますから、損保会社が暴力団関係者だと分かった時点で契約解除できるように契約内容を変更したいのは理解出来ます。しかし、「暴力団排除条項」が、保険会社を守ることだけに利用され、一般人及び一般契約者を守るという本来の目的が疎かにされることのないようにして頂きたいものです。

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コメント

暴力団関係者が被害者の事故は、加害者側の保険が通常適用された場合でも実際は解決に至らない場合も多数あります。
その上、加害者側の保険まで適用されなくなれば、不足分は加害者の自己負担となる訳で、もはや保険に入る価値無しと言う事になります。
実際、示談金等を要求される場合が有る。
被害者が暴力団だから一般人の加害者が加入している保険が適用されないとは、根本的にあり得ない話しです。

記事を書くのは自由ですが、しっかり勉強してから掲載して下さい。

元々反社会勢力なんだから、車を売らない・免許を取らせない・取得済みの免許は失効する位の強硬策を望む。全国から反社会勢力を排除するのであれば、国籍も含め衣・食・住すべて与えないのが、暴力団をゼロにする為の原理・鉄則だと思います。

ですから、今検討されている損保の「暴排条項」の実現は難しいということを指摘しているのですが。もう少し、筆者の意図も汲み取って頂けると助かります。

本気で暴力団を排除する覚悟を持っているのであれば、ご指摘の事項を検討する必要があると思います。それだけに、みずほ銀行の暴力団融資は重大だと思います。

>>一般人及び一般契約者を守るという本来の目的が疎かにされることのないようにして頂きたいものです

それはあくまで建前です。
保険会社の目的はあくまで利益をあげることです。
事故被害者を守るためにやっているのではありません。
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近藤駿介

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Author:近藤駿介
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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