メッキが剥げ始めたアベノミクス ~ 外国人投資家向けパフォーマンスの限界

「政府の経済財政諮問会議と産業競争力会議が、成長戦略の新たな目玉を探しあぐねている。設備投資の促進などこれまでの目玉は、いまの国会で法案が成立すれば実施段階に入る。税制や社会保障を『次の一手』と位置づける案が浮上するが、決め手には欠ける。金融市場の関心を引きつけられなければ、政権の求心力に影響が出かねない」(4日付日本経済新聞 「次の成長戦略 「目玉」に腐心」)

4日付の日本経済新聞には、「次の成長戦略 『目玉』に腐心」という見出しの、目を覆いたくなるような記事が掲載されています。もしこの記事の内容が本当であるならば、アベノミクスという厚化粧が剥げ落ちるまで長い時間がかからないかもしれません。

「成長戦略の新たなネタ探しに奔走するのは、金融市場や世論の関心がアベノミクスから離れるのを防ぐ狙いがある」(日本経済新聞)

「外国人投資家による日本株買いを促し、内閣支持率の下支えも狙う」(同)

経済財政諮問会議と産業競争力会議が、「金融市場の関心」を引きつけるために「新たなネタ探しに奔走する」というのは、かつて大手証券会社が得意としていた「シナリオ営業」のための営業会議のようなものになっている証左です。

「成長戦略の新たなネタ」を見付けることができないのであれば、このような会議の存在価値はありませんから、解散すればいいだけの話しです。

「外国人投資家による日本株買いを促し、内閣支持率の下支えを狙う」ということですが、これは、政府が「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げていることや、「内閣支持率」を支えるのは日本国民であることを無視したとんでもない考え方です。「貯蓄から投資へ」というスローガンを抱えているのであれば、促すべきものは「外国人投資家による日本株買い」ではなく、「日本人投資家による日本株買い」であるはずです。

この記事では、「雇用分野などに残る『岩盤規制』の緩和」なども「金融市場や世論の関心がアベノミクスから離れるのを防ぐ」ための規制緩和だとされています。しかし、これは短期的な「外国人投資家による日本株買い」を促すものかもしれませんが、多くの日本国民が望む政策ではありませんので、「内閣支持率を下支え」するとは思えません。経済諮問会議と産業競争力会議は、「外国人投資家による日本株買い」による株価上昇という目先の成果で自らの存在意義を示そうとするあまり、日本国民をないがしろにしてしまっているようです。

雇用分野の規制緩和に関しては、「雇用の流動化」などと尤もらしい表現が使われていますが、「流動化」というのは「売手(解雇する企業)」と「買手(雇用する企業)」の両方が存在して初めて図れるものだということを忘れてはなりません。

経済諮問会議と産業競争力会議が目指す「売手」だけを増やすような政策では、本当の意味での「雇用の流動化」は達成できません。「売手」だけを増やすような政策では、例え「買手」が表れたとしても、「価格(賃金)」が下落することは、少しでも金融市場を見ている人であれば誰にでも分かるはずのことです。

現在は「売手」は沢山存在するわけですから、「雇用の流動化」を図るためには「買手」を増やす政策が必要条件となります。「売手」を増やすだけの「雇用分野に残る『岩盤規制』の緩和」を図っても、「雇用の流動化」は増すことなど期待すべくもなく、単に「価格(賃金)」の下落を促すことになるだけです。

これは、日本の雇用環境などには関心を持たず、企業利益にだけ関心のある「外国人投資家」にとっては好材料かもしれませんが、「内閣支持率」を決める国民にとってはほとんど何の価値のないものです。

金融政策も同様ですが、金融市場の動向によって政策を決めて行くというのは、政策を場当たり的なものにしてしまいますから、厳に慎むべきものです。アベノミクスの「3本の矢」が、国民生活ではなく「外国人投資家の日本株買いを促す」ことに向けられているというところに、アベノミクスの限界があるのかもしれません。

■ 近藤駿介 金融経済探考 ■ 
 アベノミクス崩壊への槌音

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コメント

薬のネット販売自体が今やることじゃない。
販売競争が激化して小さな薬局が潰れます。
世の中には近くに薬局がないと困る地域がたくさんあります。全ての薬を買い置きなどできないし、すぐに欲しい時に通販じゃ届かない。

日本のような災害の多い国では、薬局はライフラインの一つです。それに市場が成長していないのに供給側を増やしてどうするのって感じです。みきたには国会議員でもなく、ただ自分の会社のことしか考えていない。
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近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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