「本物」が食べられない時代から、「安全・危険」を心配する社会に向かっている

阪急阪神ホテルズの「メニュー誤表示」問題は、全国のホテルやレストランにまで広がってしまいました。突き付けられた現実は、「メニュー誤表示」は日常的に行われており、メニューを正確に表示しているホテルやレストランを見つけ出すことの方が難しいということのようです。

ただ、食品の偽装というのは最近始まったものではなく、日常的に行われて来たものです。

以前、食品関係のベンチャー企業の顧問をしている際に商談で会った食品卸会社の部長は「全国で売られている”魚沼産”を合計したら魚沼で作られているお米の数倍になってしまう」と言われていました。

また、業界の人からは「お米屋さんに”お宅のお米は何時も美味しい”と言ってはいけない」とアドバイスを受けたこともあります。米はほとんど玄米として流通するのですが、今頃の新米の季節ならばほとんどの銘柄がそれなりに美味しいのですが、時間が経つにつれて人気のある銘柄は品薄に、人気のない銘柄は余るようになってしまいます。ですから、精米の段階で少しずつ人気のない銘柄の比率が上がっていくのが普通なのだそうです。こうしたなかで「何時も美味しい」という発言は、人気薄ブランドの混入を助長するので、むしろ「なんか味が落ちて来ているような気がする」と牽制しておく方が賢明なのだそうです。もちろん聞いた話なのでどの程度まで信頼していいのかはわかりませんが。

お米に限らず、肉に牛脂を使って「さし」を入れることは、一般的に行われています。日本人は「さし」に対するこだわりが強いですし、A5とかA4という等級には明確な基準があるわけではないですから、こうした偽装は当たり前に行われています。また、回転ずしなどではネタのほとんどがまがい物であることはよく知られていることです。

ホテルやレストランの「メニュー誤表示」が問題になるのは、多くの国民が、回転ずしや安売りスーパーでは誤表示があることを暗黙の内に認識、許容している一方、ホテルやレストランに行けば本物が食べられるという淡い期待を抱いていたからということではないでしょうか。

ホテルやレストランまでもが「メニュー誤表示」をしているとしたら、どこに行けば「本物」を食べられるのか、分からなくなってしまいます。お祝いや記念日など特別な日に食べるものまでもが「偽物」だとしたら、お祝いや記念日自体の満足度が低下してしまいます。「本物」を食べられるという淡い期待が砕かれたという点において、今回の「メニュー誤表示」問題は国民に大きな衝撃を与えたる出来事になりました。

では、今回の一連の騒動でこうした「メニュー誤表示」問題は無くなって行くのでしょうか。個人的には「メニュー誤表示」問題はなくなる方向に行くが、その代わりもっと恐ろしい問題が顕在化して来るのではないかという懸念を抱いています。

懸念されることは、TPPによって世界中から食料品が入って来る可能性があることです。こうなると、今まで以上に「認識不足」による事例が増えて行くでしょうし、海外とは慣習も違いますし、英語表記と日本語表記に基づく認識ギャップもありますから、ますますこうした問題は増えて行くことは想像に難くありません。問題は、「メニュー誤表示」のレベルを越えて、「有害食品混入」問題になってしまうことです。日本社会は「本物・偽物」よりも、「安全・危険」を心配しなければならない方向に向かっているという現実に目を向けなければいけないように思います。
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近藤駿介

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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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