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民法改正案閣議決定~婚外子相続格差は是正されど…

「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とする」との規定を削除する民法改正案が12日、閣議決定されました。最高裁が9月に相続分を法律婚の子(嫡出子)の半分とする民法の規定を、(1)日本社会に法律婚制度は定着しているが、家族の形態は多様化している (2)父母が婚姻関係にないという子にとって選択の余地がない理由で不利益を及ぼすことは許されない等から、違憲との判断を出していましたから、今回の民法改正は当然の流れだといえるものです。

「子供の立場」に重点をおけば、嫡出子と婚外子という、「子にとって選択の余地がない理由」で権利に差が出てしまうのは、確かに理不尽なことではありますから、こうした改正がなされることに合理性はあるように思います。

しかし、今回の民法改正は、新たな問題を生む可能性があるように思います。それは、「婚姻関係にある妻と非嫡出子」の間の問題です。

9月に最高裁で違憲判決が出された時から、子供のいない「婚姻関係のある夫婦」の夫が、妻に内緒で「婚外子」を設けていた場合はどうなるのかが気になっています。

このケースで夫が死亡した場合、「婚姻関係にある妻」は、当然、夫の財産を全て相続できると信じているはずです。しかし、実際に妻の知らないところで、夫が「婚外子」を設けていた場合、法定相続人は「婚姻関係にある妻」と「婚外子」の二人になってしまいます。そうなると、「婚姻関係にある妻」の相続分は2分の1、「婚外子」の相続分も2分の1、つまり両者で折半するということになるはずです(法律の専門家ではないので断定は出来ませんが、民法改正前までは「婚姻関係にある妻」が4分の3、「婚外子」が4分の1ということではないかと推測しています)。

「婚姻関係にある妻」からみれば、「婚外子」というのは、夫の「不貞」という「不法行為」によって出来た存在ですから、夫の「不法行為」によって妻としての財産権が侵害された格好になってしまいます。「妻にとって選択の余地のない理由」で「婚姻関係にある妻」の権利が侵害されるという事態はどのように解決すればよいのでしょうか。

このような形で「婚姻関係にある妻」が財産権の侵害を受けた場合、「夫の不貞相手」を知ってから3年以内であれば損害賠償請求をすることになると思われます。しかし、「夫の不貞相手」が死亡していた場合には、損害賠償責任はその子供である「婚外子」が相続することになりますから、「婚外子」が相続できる財産は「法定相続分-損害賠償金額」となり、結果としては「嫡出子」と同額の相続は出来ないということになるような気がします。

「婚外子」が、損害賠償責任を負いたくないという理由で相続を「放棄」した場合には、相続自体も「放棄」することになりますから、結局は財産を相続できないということになるはずです。

このように考えると、民法を改正しても、実際には「婚外子」が「嫡出子」と完全に同じ権利を有するようになれるとは言い切れないような気がします。

「婚姻関係にある夫婦」の間に「嫡出子」が存在していた場合は、「婚姻関係にある妻」の相続分は相続財産の2分の1、子供全員の相続分も2分の1になりますから、「婚外子」によって「婚姻関係にある妻」の財産権が侵害されることはありません。減るのは、子供一人あたりの相続財産になります。このケースでも「婚姻関係にある妻」は「夫の不貞相手」に損害賠償請求は出来るはずですが、相続財産の減る「嫡出子」が父親の不貞行為に対して損害賠償請求をすることは難しいですから、こうしたケースでは「嫡出子」と「婚外子」の間の格差は無くなると思われます。

こうして考えると、「嫡出子」と「婚外子」の格差をなくすよう民法を改正しても、どこかに歪みは出てしまいます。要するに、一夫一婦制のなかで、本当に子どもの権利を平等にするための唯一の方法は、「婚姻関係にある夫」が「不貞」という「不法行為」をはたらかないということのようです。

蛇足ですが、最近海外では「同性婚」が認められるようになって来ています。こうした報道に接する度に感じることは、「同性婚」をした人が、「異性」を愛するようになった場合、それは「不貞」、「不法行為」となるのかということです。「同性婚」が法律的に認められるということは、「異性」を愛することも法律上の「不貞」「不法行為」に該当することになるのだと思いますが、人間の本来あるべき姿に戻ることが「不法行為」に認定されるとしたら、それも妙な話のように思えてなりません。

※筆者は法律の専門家ではありませんので、内容の正確性は保証できかねます
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コメント

>民法改正前までは「婚姻関係にある妻」が4分の3、「婚外子」が4分の1ということではないかと推測しています

間違いです。現行民法でも、配偶者と非嫡出子1人の場合は、2分の1づつです。

Ryu1~222様
ご指摘ありがとうございます。この場合どうなるのか正しく知りませんでした。でも、そうだとすると、このケースだと非嫡出子は嫡出子と同等の権利を持っているということになりますが、それでよろしいんでしょうか。

横からコメントですが、民法は子供の相続分を全体として配偶者のそれと同じと定めており、子供同士の間では嫡出子と非嫡出子を区別しているだけなのです。民法900条1号と900条4号をご確認下さい。

追加ですが、いずれにしろ子がいないと思っていたら死亡後に子がいることがわかったというケースでは配偶者は思わぬ損害を負うことになります。しかしながら、そもそも配偶者も1人の法定相続人に過ぎず、確定的な相続分を受ける法律上の利益があるといえるかどうか、もしそうであれば、被相続人が親族関係のない人に遺言で遺贈するのも財産権侵害なのか、という疑問があり、財産権侵害による訴訟というのはなかなか無理がある話です。もちろん不貞に基づく慰謝料請求は考えられますが。

コメントを頂きありがとうございます。
「子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする」と定められているので、「子」が存在した時点で「配偶者」の相続分は二分の一になり、「子」がたまたま「非嫡出子」一人であった場合は、結果的にこの「非嫡出子」は「嫡出子」と同等の相続分を得ることになるというロジックなのですね。
つまり、改正前は、「嫡出子」が存在した場合には、「嫡出子」と「非嫡出子」の間に格差が存在したが、「配偶者」に対する「非嫡出子」の権利は、改正前から「嫡出子」と同等であったという解釈で間違いないでしょうか。

>つまり、改正前は、「嫡出子」が存在した場合には、「嫡出子」と「非嫡出子」の間に格差が存在したが、「配偶者」に対する「非嫡出子」の権利は、改正前から「嫡出子」と同等であったという解釈で間違いないでしょうか。

子が1人の場合にはそのとおりです。

貴重なご指摘をありがとうございました。とても勉強になりました。また、スッキリしました。
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近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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1989年12月29日、日経平均3万8915円~元野村投信のファンドマネージャーが明かすバブル崩壊の真実

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