ケネディ大統領暗殺50周年を目前に来日したキャロライン・ケネディ新駐日大使と「特定秘密保護法案」

15日、米国の新駐日大使のキャロライン・ケネディ氏が来日しました。故ケネディ大統領の長女であり、親日家でもある新駐日大使に対して、閣僚からは「様々な分野で新風を巻き起こし活躍することを期待したい」(菅官房長官)といった、日米関係の強化に期待する声が多く上がっているようです。

一方、専門家の間からは、キャロライン・ケネディ氏が政治的経験を持っていないことを不安視する声と共に、政治経験を持っていないケネディ氏の駐日大使就任は、米国が日本を軽視していることの表れだという批判的意見も出されています。

こうした批判が出て来る理由になっているのは、2011年に就任した現在の米駐中大使ゲイリー・フェイ・ロック氏が、1997年から2005年までワシントン州知事を、2009年からアメリカ合衆国商務長官を務めた、「政治的大物」だといえる人物であることです。

日米間の懸案として挙げられているのは、「TPP」「普天間基地移設問題」「日米地位協定」そして、「日中・日韓関係」などで、どれも政治的に難しい課題だといえます。こうした政治的解決が難しい課題の解決を「政治経験のない」キャロライン・ケネディ氏に委ねることこそが米国の日本軽視の表れだという主張も一理あるものだといえます。

「日米関係の強化に期待する声が閣僚から相次いだ。オバマ大統領との近さやケネディ家の直系という知名度の高さから米国の政府や世論に日本の立場を訴える発信力が魅力的に映る」(16日付日本経済新聞「ケネディ新駐日大使 発信力に期待の声」)

日本の閣僚の中からは、ケネディ新駐日大使に対して「日本の立場を訴える発信力」を期待する声が上がっているようです。しかし、もしこれが真実だとしたら、とても情けないことだと思います。キャロライン・ケネディ氏が幾ら親日家であっても、大使は米国の国益を守る立場にありますから、日本の国益を守るべき立場にいる閣僚が「日本の立場を訴える」ことに期待しているとしたら、おめでたいとしか言いようがありません。

個人的には、米国が駐中国大使に「大物政治家」を配し、駐日大使に「政治経験はないが、抜群の知名度を誇る親日派」を配したのは、米国は対中国では「政治交渉」を通して問題解決を図り、対日本では「国民感情」を通して問題解決を図ることを念頭に置いているからではないかと思っています。

「故ケネディ大統領の娘」という抜群の知名度、「政治経験」がないことによる清廉的イメージ、「初の女性大使」、「親日家」…。キャロライン・ケネディ氏に添えられるこれら全ての修飾語が、米国に対するネガティブな「国民感情」に対する緩衝材になると、米国は睨んでいるのではないでしょうか。米国上院の外交委員会で、うるさ型の議員すらもキャロライン・ケネディ氏を追い詰めるような厳しい質問を見送ったように。

キャロライン・ケネディ氏の来日が、ケネディ大統領が1963年11月22日にダラスで暗殺されてから50周年という節目の日を1週間後に控えたという時期であったことも、とても印象的なことでした。

「ウォレン委員会報告は、オズワルトを単独犯と決めつけるにあたり、暗殺の裏には何の陰謀もなかったと強調している。にもかかわらず、時の大統領ジョンソンは、重要書類や写真は2039年まで公表されてはならない、という行政命令を下した」(落合信彦著 「2039年の真実~ケネディを殺った男たち」

キャロライン・ケネディ新駐日大使の父親であるケネディ大統領の暗殺に関しては、様々な陰謀説も飛び交っており、暗殺事件を調査し、オズワルトの単独犯だと断じたウォレン委員会報告は、事実上国家機密に指定され、2039年まで封印されています(最近、一部情報は出て来ているようですが)。

こうした中、日本では、今国会中に「特定秘密保護法案」を成立させたい安倍政権が、野党との修正協議に前向きの姿勢を見せ、廃案に追い込みたい勢力の間での対立が鮮明になって来ています。

安倍総理は16日に日本維新の会などが主張する「第三者機関設置」に前向きな姿勢を示しました。しかし、「第三者機関設置」が「特定秘密保護法案」が内包する課題を解決する有効な手段とは思えません。

安倍政権は、これまでも自らの意見に同調する人達を集めた「有識者会議」などという「第三者機関」をやたらと設置して自らの政策にお墨付きを与えるという手法を乱用し、「決めたいことを決められる政治」を実現して来ました。つまり、政権が人選する、全く客観性が担保されない「第三者機関」など、政権に対して何の抑止力にもならないということです。

そもそも、「特定秘密保護法案」が必要だとされたの、日本から機密情報がダダ漏れになっており、海外から重要な機密情報を得るうえでの大きな障害になっているという理由からです。

しかし、海外から日本に提供された「機密情報」を、日本の有識者達が「特定機密」に該当しないと判断したら、海外から見たら情報がダダ漏れになることに変わりはありません。反対に、海外から「機密情報」だということで提供された情報を、単に「特定機密」だとお墨付きを与えるだけであるならば、「第三者機関」など必要がないことになります。

また、「第三者機関」が「特定機密」の判定を行うということは、そのメンバーは「特定機密」を知ることが出来るということです。本来「特定機密」の漏洩を防ぐためには、「特定機密」を知る人間を限定することが基本になるはずです。それを、「特定機密」に該当するか否かを判定するために、単なる民間人に過ぎない有識者達に「特定機密」を含む情報を見せるというのは、情報漏洩の機会を増やすことに他なりません。大袈裟な話し、「第三者機関」のメンバーが誘拐されたり、ハニートラップに掛けられたりした場合、「特定機密」を含む、多くの情報が漏れる可能性があるということです。

このような事態を防ぐためには、「第三者機関」のメンバー達も「罰則強化」の対象にしなくてはなりません。もし、そうなると、「第三者機関」のメンバーに加わることを希望する有識者はいなくなるか、「第三者機関」が何も「特定機密」に指定しないという事態になりかねません。

こうしたことを考えると、個人的には「第三者機関の設置」を「特定秘密保護法案」を成立させるための条件とすることは非現実的な考えではないかと思います。そもそも「第三者機関」の設置を要求されるような国民からの信頼の低い政権(安倍政権に限らず)が、「特定秘密保護法案」の成立を図ろうとするところに無理があるような気がします。理想論で言えば、政権に対する国民の信頼が高ければ、「特定機密」が漏洩するリスクを冒してまれ「第三者機関」などの設置を求めることはないはずです。

2039年まで父親であるケネディ大統領暗殺に関する報告書が事実上国家秘密とされているキャロライン・ケネディ新駐日大使は、ケネディ大統領暗殺50周年を目前に控えたこの時期に日本で繰り広げられている「特定秘密保護法案」の議論をどのように受け止めているのでしょうか。ぜひ、その感想を聞いてみたいものです。

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