密室で「国民の知る権利」を制限する法案協議が行われる危うさと、「国民の客観的な情報を知る権利」を侵害して来たマスコミが叫ぶ「国民の知る権利」の胡散臭さ

「日本経済新聞社とテレビ東京による22~24日の世論調査で、機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案に反対が50%となり、賛成の26%を上回った。10月の前回調査は反対43%、賛成35%だった」(25日付日本経済新聞 「秘密保護 反対5割」)

特定秘密保護法案の国会審議が大詰めを迎えています。日本経済新聞の記事は、自社グループの世論調査の結果、「反対50%、賛成26%」と、反対がダブルスコアで多いことを報じることで、法案に反対する自社の主張の正当性を強調するような仕立てになっています。

特定秘密保護法案に関しては、「国民の知る権利」が損なわれる懸念が強いことが問題視されています。日本経済新聞とテレビ東京が実施した世論調査の質問も、「法律ができると、外国と機密情報をやり取りしやすくなる一方、国民の知る権利が損なわれるとの懸念が出ています。あなたはこの法律に賛成ですか、反対ですか」という内容になっており、「国民の知る権利」に主眼を置いて法案の賛否を問う形になっています。

特定秘密保護法案の議論を、「国民の知る権利」に焦点をあててすることが果して賢明なのでしょうか。

「国民の知る権利」に焦点をあててしまうことで懸念されることは、議論が法案の存在自体を前提としたものになってしまうことです。法案の存在が前提になってしまいますから、焦点は法案文言の「修正協議」になってしまい、これにより、そもそも特定秘密保護法案が本当に必要なのか、何故必要なのかという議論が省略されてしまうことになります。

今回も、特定秘密保護法案の関心が、みんなの党と日本維新の会との修正協議とその内容に向いてしまったことで、何故特定秘密保護法案が必要なのかという議論はほとんどされませんでした。

日本経済新聞の世論調査の質問事項にも書かれている通り、安倍政権が特定秘密保護法案の成立を急ぐのは、「外国と機密情報をやり取りしやすくなる」というのがその理由となっているはずです。

しかし、ウィキリークスやスノーデン元CIA職員によって、米国から膨大な機密情報が漏れたことを考えると、本当に特定秘密保護法案が機密保持をするために有効かつ必要な法律なのかは疑わしい限りです。ウィキリークスに機密情報を漏らした米陸軍上等兵マニング被告(25)に対し、米国メリーランド州の軍事法廷は8月21日に禁錮35年の判決を言い渡しました。つまり、禁錮35年という厳しい刑を言い渡すことの出来る法律を整備していた米国ですら、機密情報の漏洩を防ぐことは出来なかったということです。

罰則の強化が、機密情報漏えいの抑止力として効果を発揮することも確かだと思いますが、情報漏洩を防げなかった米国から、特定秘密保護法案が整備されていないことを理由に機密情報を得られないという政府の論法は、説得力に欠けるような気がしてなりません。

その一方、マスコミやジャーナリスト達が声高に叫ぶ、「国民の知る権利を守れ」というスローガンにも、何とも言えない胡散臭さを感じてしまいます。

それは、これまでマスコミやジャーナリストの多くが、永田町や霞が関のステークホルダー(利害関係者)として、自分達に都合のいい情報を流すことで、事実上「国民が客観的な情報を知る権利」を侵害して来たからです。

国会での議論は端折り、国民の目の届かない密室での政党間協議によって、特定秘密保護法案の修正合意を作り上げる政党が、「国民の知る権利」は担保されていると主張したところで、何の説得力もありません。同時に、これまで「国民が客観的な情報を知る権利」を侵害し続けて来たマスコミやジャーナリスト達が「国民の知る権利」を振りかざす姿も、胡散臭いものに思えてなりません。

「国民の知る権利」が守られるためには、主権者たる国民の基本的人権保を守る強い意思を持った政治と、政権のステークホルダーに成り下がることなく客観的に権力を監視する立場を貫く高邁な思想を持ったマスコミとジャーナリストという、両方が存在することが必要なはずです。そして、それに「政治に関心を持つ国民」が加わって、初めて「国民の知る権利」が保たれるのではないかと思います。

このように考えると、秘密保護法案の議論は、今の日本にとって「時期尚早の議論」でもあり、「遅きに失した議論」でもあるのかもしれません。

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コメント

拝見させていただきました。

バランス感のあるいい記事だと支持いたします

正しい政治、国民、マスコミがいて初めて『国民の知る権利』が保たれるというのはもっともだと思います。

ただ…


>>情報漏洩を防げなかった米国から、特定秘密保護法案が整備されていないことを理由に機密情報を得られないという政府の論法は、説得力に欠けるような気がしてなりません。

1.もともと信用されてないとおっしゃりたいのか?

そりゃあ信用されないでしょう秘密保護法がないんですから

バランス感よく記事にしたいために政府批判も入れることは理解できますがこれはミスでしょう。

秘密の首相一元管理で今後、愚かな首相の下で莫大な国益を損ねかねないというのが肝では?


内閣選出の6年制機密保全院の設置を要望するところです
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近藤駿介

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Author:近藤駿介
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