「特定秘密保護法案の治安維持法化懸念」を増幅させた石破Blog

「今も議員会館の外では『特定機密保護法絶対阻止!』を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」

自民党の石破茂幹事長が11月29日付の自身のブログで、特定秘密保護法案に反対する市民のデモについて「単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」と批判したことが波紋を呼んでいます。

市民デモを「テロ行為」に準えるという国民の基本的人権を軽視するかのような内容であることに加え、特定秘密保護法案に反対する市民のデモを、特定秘密の指定対象となる「テロ行為」に例えるということは、市民デモも特定秘密保護法の取締り対象になることを示唆することになりますから、特定秘密保護法の早期成立を目指す自民党幹事長の発言としてはとても不見識なものだと思います。

さらに、「主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべき」という発言にも違和感を覚えます。石破幹事長の鳥取1区の小選挙区別選挙人名簿登録者数は279,127人で、一票の重さは、最も登録者数の多い千葉4区の497,350人と比較すると1.78倍、市民デモが行われた議員会館がある東京1区の479,891人と比較すると1.74倍重くなっています。

簡単に言えば、「民主主義にしたがって理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げる」ことが出来たとしても、それを政治に反映させるためには、千葉4区や東京1区に住んでいる有権者は鳥取1区の有権者に比較すると1.7倍以上も難しい状況に置かれているのです。もし、石破幹事長が「主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべき」だという考えを持っているのであれば、「人々の静穏を妨げるような市民デモ」を「テロ行為」だと批判する前に、民主主義の根幹である一票の格差を早急に是正することに全力を注ぐべきであるように思います。

先日、7月の参院選について「違憲」「無効」判決が出されました。12月26日にかけて全47都道府県選挙区の無効を求めた裁判の判決が出される予定ですが、「違憲」「無効」という判決が出され、選挙区選出議員の当選が「無効」とされた場合、再び「ねじれ国会」になることもあり得ます。当然各選挙管理委員会は上告することになるでしょうから、判決が確定するまでに時間はかかりますが、国民の基本的人権を重要視するのであれば、判決が出揃うまで待つくらいの配慮があってもいいような気がします。

さて、一部の市民が、「人々の静穏を妨げるようなデモ」を繰り返している一つの理由は、特定秘密の範囲が明確にされておらず、政府が恣意的に指定できることで、「特定秘密保護法案が治安維持法化」していくことに対する懸念が拭い去れないからだと思います。日本維新の会などを中心に「第三者委員会」の設置を求める声も根強くありますが、任命権を政府が握る限り中立的な機関にはなりえないことなどの理由から、個人的には賢明な方法ではないように思います。

【参考記事】ケネディ大統領暗殺50周年を目前に来日したキャロライン・ケネディ新駐日大使と「特定秘密保護法案」
        
もともと特定秘密保護法案は、日本版NSC創設法とセットで、米国を中心に海外から機密情報を得られるようにすることを目的にしたものです。だとしたら、特定秘密の範囲は「海外から機密情報として取得したもの」に限定するのが最も論理的ではないかと思います。

例えば、同じ「テロ」に関する情報であっても、米国等から機密情報として取得したものは「特定秘密」として特定秘密保護法で管理し、日本の公安当局が独自に取得した情報は、既存の国家公務員法などで管理して行くということです。

こうした管理をすれば、政府が恣意的に範囲を広げることも食い止められますし、政府の息のかかった「第三者機関」など設置する必要もなくなります。もともと「特定秘密保護法案の治安維持法化」の懸念は、「海外からの機密情報取得」を目的とした法案に便乗する形で、国内にある情報も特定秘密に指定できるようにしようとするところから生じているものですから、ここを断ち切るようにするのが一番のような気がします。

衆院での採決で、自公、及びみんなの党と特定秘密保護法案の共同修正案を提出しながら採決を棄権するという不可解な対応をした日本維新の会には、是非、あまり意味のない「第三者委員会」の設置にこだわるのではなく、「特定秘密を「海外から機密情報として取得したもの」に限定するというさらなる修正案を出して頂きたいものです。



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近藤駿介 Official Site/ Market Data」 で公開している下記のチャートを11月29日付に更新しましたので、ご活用ください。

 1. 2013年度主要国株式市場騰落率
 2. MSCI WORLD Country Index Performance & Ranking
 3. 日経平均株価と主要国ボラティリティ(21営業日)
 4. 日経平均株価とNT倍率

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