絶滅の危機に瀕するリスクテーカー

日本の10年国債の利回りが、7年ぶりに1%を割り込んだ。円高進行に伴う国内景気の先行き不透明感に加え、米国景気の鈍化によりFRBが金融緩和策を打ち出すとの観測が広まったことが原因と言われている。つい先日米国経済の見通しは「異常なほど不透明」と異例の発言したバーナンキFRB議長が最近の講演で「最近のゆっくりとしたペースでの回復から、数四半期のうちに勢いを増しそうだ」と明確に述べたが、市場はこうしたポジティブな発言に無反応になって来ている。

国内では明日5日に40年債の入札が予定されているが、その利回りは1.8%前後。40年間という長い期間のリスクをとって、得られる収益は僅か1.8%。年金運用の期待利回りが2.5%以上ということを考えると、異常な水準。

長期金利の大幅な低下は、勿論、先進国中心に景気回復への道筋が見えてこないことが大きな原因である。しかし、異常な水準にまで長期金利を押し下げている陰の主役は「会計制度」である。
金融機関は自己資本比率に縛られ、リスクアセットを積み上げる事が非常に難しい状況が続いている。さらに5月に顕在化したギリシャ危機により、金融機関に対する「厳格な資産査定」と「より健全な財務体質」という市場の要求は一層強まって来ている。不透明感を増す景気状況下で、強固な財務体質を求められるとしたら、金融機関の選択肢は「リスクウエイト=0の国債を積み増す」というもの以外にないも同然。

さらに、長期運用を標榜する年金資金までもが、国際会計基準(IFRS)の適用を迫られ、「会計上」単年度運用を迫られる様になって来ている。その結果、市場のリスクテーカーは絶滅の危機に瀕している。こうした「会計上」の制約が、世界的な長期国債利回りの低下と株価の低迷の陰の主役となっていることを忘れてはならない。

長期金利の異常な低下という事態を解消するためには、先般IFRSを推進する欧州で行われたストレステストの様に、厳格過ぎる「会計上」の規定の運用を緩和することが必要だ。「甘いストレステスト」のお陰で、為替市場でのユーロ安に歯止めが掛かると共に、欧州各国の株式市場も反発局面を迎え、欧州は一旦危機から脱出することに成功した格好になっている。
金融市場の動きは「常に不透明」であり、理論通りに動くものではない。厳格な会計基準を導入することにこだわり、世界経済を破壊してしまうのでは本末転倒である。


↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

入会キャンペーン 実施中!

メルマガのお知らせ

著書

アラフォー独身崖っぷちOL投資について勉強する

Anotherstage LLC

金融に関する知見を通して皆様の新しいステージ作りを応援

FC2ブログランキング

クリックをお願いします。

FC2カウンター

近藤駿介 facebook

Recommend

お子様から大人まで
町田市成瀬駅徒歩6分のピアノ教室

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR