NISAと新指数「JPX日経400」~「滑り出しは順調」だったのか、「すべった」のか

「滑り出しは順調。中長期の資金を株式市場に橋渡しする契機になれば、株高をけん引した海外投資家だけでなく、個人マネーが需給を下支えするとの期待につながる」(7日付日本経済新聞「NISA 個人を市場に 需給下支えの見方」)

いよいよ、証券界が期待をかけたNISAがスタートしました。NISAの登場によって、昨年1年間で約8兆円と過去最大の売り越しを記録した個人が買いに回れば、確かに株式市場の需給を下支えすることになることは間違いありません。しかし、個人投資家に株価の下支え役を担わせようとする証券界の体質が、2014年も不変であるところに不安を感じずにはいられません。

この記事を読んでいて目を疑ったのは、「6日には大和証券投資信託委託とDIAMアセットマネジメントが新指数に連動する投信の運用を開始。個人投資家から両社合計で約6億円の資金が入った」という部分です。NISAが注目を集めるなか、日経などが連日新指数(JPX日経400)のPR記事を掲載し続けたにもかかわらず、集まった資金は両者合計で僅か6億円だったということは、それだけ市場の期待が乏しいことの現れです。

新指数に連動する商品ですから、400銘柄を指数の構成ウェイトにあわせて購入するのが一般的ですが、3億円程度の資金ではこうした運用は出来そうにありません。新指数に連動することを目指さなければならない運用会社としては、400銘柄全てに投資できる資産規模になるまで、新指数との相関が極めて高いTOPIXのETFを買う等の対策をとらざるを得ないと思われます。しかしそれは、TOPIX連動のファンドを買っているのと何も変わりませんので、新指数連動投信に投資する意味が全くないということになります。

 【参考記事】
新指数「JPX日経400」がもたらす効果 ~ 付加価値を奪うか、リスクを高めるか
証券界の「見果てぬ夢」~この「販売意欲」のたかまりを…

GPIFは、無理にでも新指数「JPX日経400」をベンチマークとした、あるいは連動した運用を始めることになると思われますが、新指数が一般の投資家に定着するまでには相当の時間がかかる、あるいは定着しないまま「日経300」のように忘れ去られた存在になる可能性もかなりあるような気がします。

証券界の期待を一身に背負ったNISAと新指数「JPX日経400」は、6年ぶりの大発会下落の中でのスタートとなり、これらが株価を押し上げる材料だと思っていた証券界にとっては期待外れの結果となりました。スタート初日としては、「滑り出しは順調」というよりも、「すべった」というのが実態だったのではないでしょうか。

スタート初日の僅か1日だけの動向でNISAや新指数が失敗に終わったと短絡的に結論付けることは出来ません。しかし、20年近く続けられて来ている「貯蓄から投資へ」という証券界の「見果てぬ夢」は、NISAや新指数登場という証券界の都合によって生み出されたものでは叶えることの出来ないものだということを示唆したものかもしれません。投資運用・金融に長年身を置いて来た人間としては、証券界の都合で生み出された制度や商品を掲げて、証券界が自ら熱狂したところで、「貯蓄から投資へ」という流れは起こせないということには、そろそろ気付くべきではないかと思います。

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コメント

最近、日経平均はファーストリテール、ファナック、ソフトバンクの先物になりはてていてTOPIXとの乖離が目立ちすぎます。

NISAは現物株なので、これが増えればTOPIXと日経平均の乖離が縮まることが期待できます。

新指数は実績を積むまで、少なくとも数年間は相手にされないでしょうが、ゆくゆくは日経平均の暴走を抑える(裁定機会をうむ)ものになると思います。

本来は、TOPIXと日経平均の乖離が小さい時点でNISAを導入するのがベストでしょうが、鶏が先か卵が先かの議論で、今回は卵を先にしたということでしょう。
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近藤駿介

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