FRBにとって理想的展開をもたらした「予想外に低調だった雇用統計」

「金融市場では10日夜、今年最初の衝撃が走った。米労働省が発表した13年12月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数が前月比7万4000人増にとどまり、市場予想の約20万人を大きく下回った。発表前は1ドル=105円前後だった円相場は1円超円高が進み、海外市場では104円台前半で取引を終えた」(12日付日本経済新聞 「今年の市場展望 円、110円うかがう展開に」)

注目されていた米雇用統計は、非農業部門の雇用者増が7万4000人と、市場予想の20万人弱を大きく下回る結果となりました。これを受けて為替市場ではドルが売られ、長期金利も大きく低下しましたが、株式市場は「FRBによる緩和策の縮小ペースを加速させるとの懸念が後退した」という見方が強まったことから底堅く推移し、NYダウは小幅安で終わりました。
悪天候の影響もあり、12月の雇用統計はFRBにとっても想定以上に弱い数字だったのかもしれません。しかし、FRBの本音は、「金融緩和規模縮小を決めておいてよかった」というものだったように思います。もし、前回金融緩和規模縮小決定を先送りしていたら、バーナンキ議長の任期中に金融緩和規模縮小に踏み切る機会を失っていた可能性が高かったはずですから。先月「金融緩和規模縮小」を決めたことで、「ヘリコプター・ベン」にとっては、任期中に3回に及ぶ大規模な金融緩和を実施し、その成果が表れたことを「金融緩和規模縮小決定」によって内外に示すなかで退任という「最高の花道」を飾れたわけです。

バーナンキ議長が「金融緩和規模縮小」に道筋をつけて退任することが出来たことは、後任のイエレン議長にとっても好都合だったはずです。

12月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が事前予想を大幅に下回りましたが、失業率は労働参加率の低下もあり6.7%と2008年10月以来5年2ヶ月ぶりの水準まで改善しました。先月のFOMCでFRBは「失業率が6.5%に低下してからもかなりの期間は金利をゼロ%近辺にとどめる」というフォワードガイダンスを示していますが、原因は何であれ、失業率が6.7%まで低下して来たことを受けて、このフォワードガイダンスを修正あるいは微調整を迫られることになりそうです。当然フォワードガイダンスで示した「失業率6.5%」という水準を引下げるのか、フォワードガイダンスの対するコメントを強めるのかどちらかになりますが、どちらにせよ、こうした現実に即した修正は、「雇用」を最大のテーマに挙げるイエレン新議長が「ハト派」であることを改めて市場に印象付けることになります。

「ヘリコプター・ベン」が「金融緩和規模縮小決定」によって任期中に自らの主張の正しさを示して退任し、新議長がライフワークである雇用を重要視する姿勢を示せるような構図になったことは、FRBにとっては最高のシナリオだと言えそうです。

「金融市場で2014年も円安・株高の流れが続くとの見方が広がっている。市場参加者の間では、円相場は1ドル=110円を下回る円安水準を目指し、日経平均株価は1万9000円が視野に入るとの声が多い。4月の消費増税後に一時的に需要が減少するものの、景気腰折れは避けられるとの見立てが多いためだ。ただ日米の金融政策や国内外の政治の動向次第ではシナリオが崩れるリスクもくすぶっている」(12日付日本経済新聞 「今年の市場展望 円、110円うかがう展開に」)

日本経済新聞の記事によると、市場参加者の多くは「円相場は1ドル=110円を下回る円安水準を目指し、日経平均株価は1万9000円が視野に入る」と考えているようです。ただ、紙面で紹介されている「市場参加者」の顔触れは、「円安・株高・長期金利安定」という市場環境から恩恵を受ける利害関係者ばかりですから、彼らのコメントは「半値八掛け2割引き」くらいに割引いて聞いておいた方が賢明かもしれません。

日本の金融市場における目先の懸念材料は、円買いポジションと裁定取引買残高が高水準に積み上がって来ていることです。IMMの大口投機筋の円買いポジションは、昨年のクリスマスをピークに若干減って来ていますが、その水準は12万8868枚の買い越しと、昨年11月以降10万枚を超える高水準となっています。また、裁定取引の現物買いポジションは8日時点で27億5773万株と、株価が昨年末水準を下回る中で若干ではありますが増加して来ています。「市場参加者」の多くは見落としていますが、裁定取引は株数面で物理的限界があるという現実には留意しておいた方が賢明です。

スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

入会キャンペーン 実施中!

著書

アラフォー独身崖っぷちOL投資について勉強する

Anotherstage LLC

金融に関する知見を通して皆様の新しいステージ作りを応援

FC2ブログランキング

クリックをお願いします。

FC2カウンター

近藤駿介 facebook

Recommend

お子様から大人まで
町田市成瀬駅徒歩6分のピアノ教室

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR