消費税は「稼ぐ意欲を削ぎにくい税制」?いえいえ「生きて行く意欲を削ぎやすい税制」でしょ

「法人税以外の税も見直さなくてもいいのか。広く薄く税を課す消費税など個人や企業の稼ぐ意欲を削ぎにくい税制もある」(17日付日本経済新聞 「Taxウォーズ 改革 法人税(下)」)

なかなか衝撃的な記事だったように思います。日本経済新聞は、消費税のことを「個人や企業の稼ぐ意欲を削ぎにくい税制」だと考えているようです。でもそれは、消費税は「稼ぎ≒利益」に課せられる税金ではないのですから、当然のことなのではないかと思います。

消費税は「稼ぎ≒利益」に課せられる税ではなく、「稼ぎ」に関係なく「生活コスト」に課せられる税ですから、日本経済新聞の論調を借りれば、「生きて行く意欲を削ぎやすい税制」だということが言えるのではないかと思います。

「特定の業界に恩恵が偏りやすい租税特別措置。財務省は総額9000億円というが、これは法人税関係に限った数字。所得税などの他の税の軽減分を含めると、5兆円規模とされる。中立・公正が原則の税制では例外のはずだが、税収全体の1割に膨らんでいる」(同)

租税特別措置の中に、既に必要のないものが多く存在していることは、国会でも取り上げられている問題です。日本経済新聞が記事で指摘しているように、「特定の業界に恩恵が偏りやすい」ということを問題視するのであれば、新聞業界が、業界を挙げて新聞を軽減税率の対象にするように陳情し続けている(圧力をかけ続けている)ことについて、どのように説明するのでしょうか。

「無駄な特別措置を打ち切れば、35%台(14年度)と世界でも高い法人実効税率の引下げに必要な財源が生まれる。10%下げによる減収減(5兆円)を全て穴埋めするのは難しいが、経済界も痛みを受け入れなければ議論は前に進まない」(同)

日本経済新聞は尤もらしい主張をしているが、「無駄な特別措置を打ち切る」一方で、必要性の怪しい「新聞に対する軽減税率適用」をする主張にどれほどの説得力があるのか疑問を感じてしまいます。

新聞協会の発表では、2011年度の協会加盟93社の総売上は1兆9525億円、その内「販売収入」は1兆1643億円です。仮に、消費税が10%に引上げられた際に、新聞に軽減税率を導入し5%を維持した場合、1兆1643億円×(10%-5%)≒582億円 の逸失税収が生じる計算になります。

この規模は、法人実効税率の引下げに必要な5兆円の財源の1%強に過ぎないかもしれません。しかし、「経済界も痛みを受け入れなければ議論は前に進まない」と主張するならば、新聞協会は新聞に対する軽減税率適用を求める陳情は取り下げるのが筋のように思います。

このような不毛の議論に明け暮れている間に、日本経済のアベノミクス効果は薄れ始めています。17日に発表された2013年10-12月期のGDPは市場予想を下回り、金融市場でも昨年からの「円安・株高」の流れが変調を来しています。市場動向に関しては、FRBのテーパリング(金融緩和規模縮小)に伴う「リスク・オフ」の動きだという解説が繰り返されているようです。FRBの金融政策と金融市場との関係についての私見は、明日18日夜10時からの「ストックボイスTV~ワールドマーケッツ」で簡単にお話させて頂く予定になっておりますが、こうした見方には誤解も混じっているような気もします。

日本経済の鈍化原因を常に「対外要因」に求め、金融市場で「円高・株安」は常に「ヘッジファンド」などの短期筋に原因を求めるような、被害者意識の強い報道を続けている限り、日本経済再興は難しいのかもしれません。

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近藤駿介

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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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