48時間で化けの皮が剥がれた黒田日銀と、株価以上に振れる日経報道

「貸出支援強化」の化けの皮が剥がれるのに、48時間ほどしか時間は必要でなかったようです。

20日の東京株式市場で日経平均株価は前日比317円35銭(2.15%)安と4日(610円)以来の大幅下落を記録、14,449円となりました。2日間の下げ幅は394円となり、日銀が「貸出支援強化」を打ち出した18日の上昇幅450円の87.5%を失った格好。

もともと意味のない「上げ底政策」ですから、市場がそれに気付いて株価が下落したとしても不思議なことではありません(「日銀貸出支援~黒田総裁、ホンマでっか !?」参照)。株価を動かすエネルギーという面では、「理論的な投資価値」よりも、「投資家の喜怒哀楽」の方がずっと大きいですから、市場が上下に大きく振れるのは当然だからです。

株価以上に振れたのは、「論理的」「客観的」であるはずの経済紙の報道ぶりです。変わり身が早いのか、何も考えずに記事を書いているのか、どちらなのかは分かりませんが、その振れぶりは目を覆うばかりです。

「株高・円安に一服感が漂い、アベノミクスの陰りも指摘される中、追加緩和カードを温存しつつ、市場の期待をつないだ格好だ」(19日付日本経済新聞 「日銀、市場の期待つなぐ」)

と報じてから2日も経たない今日、日経電子版は「さえない銀行株、成長融資『2倍』の評価揺らぐ」という見出しで「18日の大幅高をもたらした日銀による貸出支援基金の拡充策について、早くも評価が揺らいでいる」と報じています。

株価が上がれば政策を称賛し、株価が下がれば政策に疑問を呈する…。その変動性は株式市場以上です。こうした順張報道を信じて投資している投資家にはお気の毒としか言いようがありません。

株価に連れ大きくぶれる報道ぶりにも呆れましたが、それ以上に驚かされたのは次の記事でした。

「『よくぞやってくれた』。18日午後のある経済官庁の会合。「日銀が貸出支援2倍を決定」との知らせが伝わると、黒田総裁への感謝の声があがった。安倍政権が直面していた株価低迷という重苦しいムードをひとまず取り去ったサプライズ。…(中略)… 日銀の黒田東彦総裁は20日、安倍晋三首相らが出席する経済財政諮問会議に出席し、金融政策の『四半期報告』に臨む。2013年1月に日銀が2%物価目標を導入した際に導入した仕組みだ。脱デフレへ日銀が後手に回れば、四半期ごとに政府から対応を迫られる修羅場にもなりうる。ただ今回も黒田総裁を待ち構えるのは歓迎ムードだろう。日銀が18日の金融政策決定会合で決めた貸出支援の強化が株安に神経質な政府への大きな『お土産』になっているからだ」(20日日経電子版 「貸出支援強化、サプライズ演出の裏に官邸の影」)

この記事が真実であるならば(真実である可能性が高いと思いますが)、黒田日銀は日本経済ではなく、官邸の方を向いて金融政策を行っているということです。

「大胆な金融緩和」を盲目的に実行するという「One Issue」で首にされた前任者に代わって任命された日銀総裁ですから、官邸の方を向いて仕事をしても当然だと言えます。

教育委員会改革の議論では、「教育の独立性、中立性」が大きな争点になっていますが、金融政策において「金融政策の独立性、中立性」は失われていることは、不思議なくらい何の争点にもなっておりません。それは、政府もメディアも国民も、日銀の金融政策を金融市場の価格という、「表面的な結果」で判断しているからです。「表面的な結果」で日銀総裁の能力を計る国で、若者を入試の点数という「表面的な結果」以外の「人間性」で計ることが出来るのか、甚だ疑問です。

「『インフレ率が2.5%を下回り、失業率が6.5%を上回っている間は少なくとも事実上のゼロ金利を続ける』としている政策指針も近く見直すことで一致した」(20日付日本経済新聞 「米緩和、段階的縮小を確認」)

FRBが19日に公開した1月のFOMC議事録要旨には、このように記されていたことが報道されています。筆者は、次回イエレン議長体制になって初めて開かれるFOMC(3月18~19日)の前に、2月の雇用統計が発表されるという日程について、懸念を抱いていました。しかし、全会一致だった1月のFOMCで、「フォワードガイダンスも実態にあわせて見直す考えで一致」していたということは、こうした懸念を軽減させるものでした。

それは、仮に2月の失業率が6.5%以下に低下することになった場合、FRBが「失業率6.5%」というフォワードガイダンスを引下げる可能性があることを示したものだったからです。こうした方針が全会一致で決まっていることが公開されたことで、2月の雇用統計を前に高まる可能性のあった金利上昇懸念は抑えられる方向にあると考えてよさそうです。

FOMC議事録が公開されたことで、イエレン議長の手腕が問われるのは、「失業率低下」という事態に対する対応から、悪天候等の理由で「雇用者数低迷」が明らかになった場合、毎回100億ドルずつ減らすという今のテーパリング(金融緩和規模縮小)のペースを緩めるかどうかの方に絞られた格好となりました。

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