Japan was back. ~ 野田政権時代以下まで冷え込んだ消費者心理

「内閣府が12日発表した2月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は38.3で、前月を2.2ポイント下回った。3カ月連続で悪化し、内閣府は消費者心理の基調判断を『弱含んでいる』に下方修正した。」(13日付日本経済新聞 「消費者心理 弱含み」)

4月からの消費税率引き上げを控え、消費者心理の冷え込みは予想以上であることが明らかになりました。政府の基調判断が「弱含んでいる」とされたのは、2012年10月の野田前政権時代以来のことです。また、それ以上に深刻なのは、2月の消費者態度指数の38.3という水準は、震災半年後の2011年9月の38.2以来、2年半ぶりの低水準だというところです。

2011年9月というのは、菅元総理が退陣し、第一次野田内閣が誕生(9月2日)した時期です。ですから、消費者態度指数が2011年9月以来の水準まで低下したというのは、消費者心理が野田前政権時代の水準をも下回って来たということで、「消費者心理」という点においては、「アベノミクス効果」は完全に剥げ落ちたということになります。

まさに、「Japan was back.」といったところ。

「消費者心理に落ち込みがみられる一方、家電や自動車などを増税前に購入する動きが増え、企業の景況感は堅調に推移している。内閣府と財務省が12日発表した企業の景況感を判断する指数は、大企業で1~3月期に前期比4.4ポイント高い12.7で2004年度に調査を始めてから最も高くなった。増税後の4~6月期はマイナス9.8に落ち込むものの、半年後にあたる7~9月期はプラス8.3と再び景気が良くなると見込んでいる」(同、日本経済新聞)

日本経済新聞は、消費者心理が「野田政権以下」の水準まで冷え込んだことよりも、大企業の業況感が「2004年度に調査を始めてから最も高くなった」ことを強調して報じています。確かに「法人企業景気予測調査」によると、大企業の業況判断は昨年7~9月期の12.0を上回り最も高い水準を記録し、中小企業の業況判断も0.1と、調査を始めてから初めて水面上に浮上しました。

大企業は「増税後の4~6月期はマイナス9.8に落ち込むものの、半年後にあたる7~9月期はプラス8.3と再び景気が良くなる」と見込んでいるようです。しかし、調査を始めてから初めてプラス水準を記録した中小企業の業況感は、「増税後の4~6月期はマイナス17.9と大幅に落ち込み、7~9月期にもマイナス3.6と再びマイナス圏に沈む」という見通しになっています。

消費者心理が「野田政権以下」の水準まで低下し、消費増税を控えて賃上げの動きが中小企業に広がりを見せるかが景気好循環を形成するための鍵だといわれている中で、大企業の景況感が堅調であることをことさら強調して報道するというのは、論理的整合性に欠けているように思えてなりません。

日本経済新聞は触れていないようですが、大企業の、増税後の4~6月期の見通しマイナス9.8という見込みは、前回の調査のマイナス4.1から大きく下方修正されたものです。大企業の景況感は堅調なのかもしれませんが、大企業ですら消費増税の悪影響は3ヶ月前よりも大きくなると見込んで来ていることを無視することには疑問を感じます。

「政府税制調査会の法人課税専門委員会の大田弘子座長は12日の初会合で『法人税の税率引き下げが必要である』と宣言した」(13日付日本経済新聞 「法人税改革、減税先行で」)

大企業の景況感が堅調である一つの要因は、安倍内閣が法人実効税率の引下げ等、大企業に対して至れり尽くせりの政策を推進していることも影響していると思われます。

法人実効税率の引下げに関しては、その財源や効果について様々な意見が出ています。興味深いのは、大企業の業況感が堅調であることが示された「法人企業景気予測調査」の「今年度における利益配分のスタンス」という項目です。

この「25年度における利益配分のスタンス」をみると、「大企業は」の重要度は「内部留保」「設備投資」「株主への還元」が占めており、「従業員への還元」は重要度で第3位までに含まれておりません。これに対して、「中堅企業」では「従業員への還元」は重要度第3位を占めており、「中小企業」では「従業員への還元」は重要度で第2位までに入っています。

利益配分スタンス

大企業と中堅、中小企業とでは、立場も違いますから単純には論じることは出来ませんが、もし、安倍政権が賃上げの広がりが景気好循環を生み出すために重要だと考えているのであれば、「従業員への還元」に消極的な大企業よりも、「従業員への還元」により積極的な中堅企業、中小企業に対して至れり尽くせりの政策を打ち出していくのも一計だと思います。

「税率下げありきで議論を進めることに委員からは『引き下げが必要という出発点には抵抗がある』(沼尾波子日大教授)との声も漏れた。ただ、大田座長は税率下げは首相の意向だとし、譲らない姿勢を示した」(13日付日本経済新聞「法人税改革、減税先行で」)

政府の税制調査会の委員から出た「法人税率下げありきで議論を進めること」に対する反対意見に対して、太田座長は「税率引下げは首相の意向だとし、譲らない姿勢を示した」ことが報じられています。

「内閣総理大臣の諮問に応じて租税制度に関する基本的事項を調査審議し、その諮問に関する事項について内閣総理大臣に意見を述べることを目的として、内閣府に設置された合議制の機関」(内閣府)であるはずの政府税調の座長が、「調査審議」に基づかずに「首相の意向」だとして反対意見を抑え込み、「意見を述べること」を放棄するのであれば、政府税調に何の存在意義があるのでしょうか。

共産党議員に「政権の番犬」と呼ばれたことを巡って、国会内の廊下で国会議員と口論を繰り広げた小松内閣法制局長官の問題は、野党から辞任要求が出るまで発展して来ました。内閣の憲法解釈に大きな影響力を持つ法制局長官の問題と比較にはなりませんが、太田座長の言動も、太田座長が「政権の番人」であることを示したもののような気がします。

「政権の番人」に囲まれ、大企業に対して至れり尽くせりの政策を推進し続ける安倍政権に、「全国津々浦々まで景気回復の実感を届ける」ことが出来るのでしょうか。
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