日本経済新聞は「専業主婦」がお嫌い?~機械化で解決出来る「供給力」と、解決出来ない「需要」

日本経済新聞は、本当に「専業主婦」がお嫌いなようです。

「今最も問題となるのは女性の就労への影響。3号はまったく働いていないという人ばかりではない。パートで働き、年収を130万円未満に抑えても3号に該当する。そうなれば年金保険料のほか健康保険料も自らは納める必要がなくなるので、多くの主婦がこの範囲内でしか働かないようになる」(3月23日付日本経済新聞 「けいざい解読~年金の専業主婦優遇制度」)

公的年金の財政が厳しい状況にあることを念頭においた主張だと思われますが、偏り過ぎた主張であるように思えてなりません。

まず、情実的は面ですが、「専業主婦バッシング」は、少子高齢化、人口減という構造問題を抱える日本では時代に逆行したもののような気がしてなりません。

人口の減少を食い止める選択肢は、移民か、出生率を上げるかしかありません。そして、国民の間で移民受け入れに対する抵抗感が強いとするならば、出生率を上げて行く以外に選択肢はありません。そうした中で、年金保険料を払っていないという理由で「専業主婦バッシング」を繰り広げることが得策なのでしょうか。筆者は大いに疑問です。

多くの「専業主婦」達は、年金財政を支える「現役世代」を、これまでも育て上げて来ましたし、今後も育てるという重要な社会的役割を果しています。年金保険料を払うことで公的年金財政に貢献している働く女性と、公的年金制度維持に必要な「現役世代」を育てるという点で貢献してくれる女性の両輪が揃って始めて「100年安心」できる公的年金制度になるのではないかと思います。

もちろん、両面で貢献してくれる女性もおりますから不平等という意見は消えないと思います。そうであるならば、両面で貢献してくれている女性には将来支給する年金を増やして対応するくらいの「大胆な年金制度」にしてもいいような気がします。

「内閣府がこのほど公表した労働人口予測によると、女性や高齢者の労働参加が進まない悲観シナリオでは、2060年の労働力人口は今よりも4割も減る。安倍晋三首相は女性の就労拡大を抑制する制度の見直しを指示した。3号制度も今こそ改革すべきだろう」(同 日本経済新聞)

このコラムは、こうした文章で締め括られています。「2060年の労働力人口は今よりも4割も減る」という指摘はよく使われますが、これは生産者側に立った偏った見方のように思えます。

「内閣府は14日、日本経済の需要と潜在的な供給力の差を示す『需給ギャップ』が2013年10~12月期はマイナス1.6%だったとの試算を発表した。10日発表の10~12月期国内総生産(GDP)改定値をもとに算出し、2月公表分(マイナス1.5%)から拡大した。…(中略)…金額に換算すると名目ベースで年8兆円程度の需要が不足している計算」(3/14日経電子版「10~12月期の需給ギャップ、マイナス1.6% 2月公表から拡大」)

日本経済新聞は、アベノミクス効果で景気が上向いていることばかりを大々的に報じていますが、日本は2008年7~9月期以降、22四半期連続で需給ギャップはマイナスで推移しており、「需要」が「潜在的な供給力」を下回った状況が続いています。

年金制度を考えるうえで、「22四半期」というのは短期的なことかもしれません。しかし、日本経済が解決しなければいけないことは、労働力人口を増やすことで「潜在的な供給力」を上げて行くことではなく、「需要」を増やしていくことだということは確かなことです。

重要なことは、「潜在的な供給力」を上げる方法は労働力人口を増やすことだけではないという点です。ロボットなどの導入によってでも解決可能な課題なのです。

これに対して「需要」の減少は、人間が解決する以外にありません。「欲」を持たないロボットは服を欲しがりませんし、価格が少し高い商品を欲しがることもしません。

「潜在的な供給力」は機械化出来ますが、「需要」は機械化出来ないという根本的な違いを忘れてはいけません。

「需要」を増やす「欲」をもった人間を増やしていくためには、子供を欲しがっている女性に気持ち良く、安心して子供を産んでもらう以外にありません。子供を産むことは、機械にはおろか、男性にも出来ないことですから。こうした厳然たる現実の前で、「働かざる女性は年金を貰うべからず」というが如くの「専業主婦バッシング」を繰り広げることに、何のメリットがあるのでしょうか。「100年安心」という年金制度を構築するためには、「百害あって一利なし」のように思えてなりません。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

入会キャンペーン 実施中!

メルマガのお知らせ

著書

アラフォー独身崖っぷちOL投資について勉強する

Anotherstage LLC

金融に関する知見を通して皆様の新しいステージ作りを応援

FC2ブログランキング

クリックをお願いします。

FC2カウンター

近藤駿介 facebook

Recommend

お子様から大人まで
町田市成瀬駅徒歩6分のピアノ教室

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR