「日経流レトリック」にご用心 ~ 増税後も「家計の支出を維持」すれば景気は鈍化する

いくら、「霞が関の広報誌」とはいえ、あまりのような気がします。

「4月の消費税率の8%への引き上げ後、家計の支出をどうするか聞いたところ『変わらない』との回答が51%と半数を占め『減らす』の44%を上回った」(24日付日本経済新聞 「支出、増税後も維持51%」)

24日付の日本経済新聞の一面では、日本経済新聞社とテレビ東京による世論調査結果が報じられています。その見出しにつけられたのは、「安倍内閣の支持率は2月の前回調査から3ポイント上昇の59%」という、内閣支持率が2ヶ月ぶりに回復したことではなく、「支出、増税後も維持51%」という、「消費増税後の家計の支出」に関するものでした。

こうしたところに、日本経済新聞が4月からの消費増税後の景気失速に神経質になっている様子が現れているようです。

日本経済新聞は、「増税後も支出が変わらない」と答えた家計が過半数を占めたことで、景気失速のリスクは低いという印象を与えたかったのだと思います。

しかし、「家計の支出」は、基本「消費税込み」ですから、消費増税分を価格に上乗せする価格転嫁が進み始めているなかで、「増税後も支出が変わらない」という回答は、「税前購入単価が低いものを買う」のか、「購入点数・頻度を落とす」のか、どちらか、あるいは両方の意思を持っていること示唆するものです。

また、「家計の支出」は「民間(販売者の収入)」と「公的部門(消費税)」でシェアしているわけですから、「消費税込み」の「家計の支出」が変わらないということは、消費増税分だけ「公的部門」の受け取る割合が増え、「民間」が受取れる割合が低下する、ようするに「民業圧迫」に繋がるということです。

極端に言えば、全員が「増税後も家計の支出を変えない」としても、「民間」の受取金額(販売者の収入)は減るわけですから、「増税後も家計の支出は変らない」というのは、景気の下押し圧力になるということです。

政府は、消費増税に伴う価格転嫁を推し進めるために、「消費増税Gメン」まで投入して来ました。しかし、「出口」である「家計の支出」が増えないということは、それまでの段階で誰かが利益を削ったり、収入を削られたりすることを強いられているということです。ですから、マクロ的に見れば「増税後も家計の支出を変えない」という状況である限り、「消費増税Gメン」は何の効果ももたらさない無駄な政策だったということになります。

日本を代表する経済紙は、世論調査で「増税後も支出が変わらない」という家計が過半数を占めたことで、消費増税に伴う景気減速は限定的であるという短絡な結論を導き、強調して報じています。しかし、「消費増税分家計支出が増える」というのでなければ、個人消費水準を維持することは出来ません。

それに、「家計支出を減らす」と答えた人が44%もいるわけですから、例え「家計支出が変わらない」とする人が51%いたとしても、家計消費が経済に下方圧力を加えるのは当然のことです。

日本経済新聞は、記事の中で「増税後も家計の支出を変えない」という回答が過半数を占めたから景気失速の懸念がないと報じているわけではありません。しかし、その見出しや記事の中の随所にお得意の「読者の錯覚」を与えるための技術、マジックを散りばめられ、読者が自然に「消費増税による景気失速懸念は低いんだ」と錯覚を抱くような構成になっています。読者は「日経流レトリック」に留意しながら記事を読む必要がありそうです。

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近藤駿介

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