「配偶者控除見直し」に対する補足~「感情論」で増幅されている「専業主婦優遇論」

(2014年4月16日)
昨日公開いたしました記事〝「配偶者控除」見直し~「女性の活躍を後押しする」という詭弁と、「専業主婦優遇」という「謂れなき批判」 ″ に関して、一部の方から質問と批判が寄せられました。

内容は、どうして比較が「将来の担い手を産まない働く女性」と「将来の担い手を産む専業主婦」なのか、「ものすごく恣意的」「この人バカなんじゃないの。専業主婦が育てた子供の成れの果てがニートとか精神病んで働けなくなってる場合どうすんだよ」といったものでした。

限られた文字数の中での説明でしたで、こちらの主旨を上手くお伝えできなかったのかもしれませんが、「将来の担い手を産まない働く女性」と「将来の担い手を産む専業主婦」を比較したわけではありません。

もちろん、「働く女性」が「将来の担い手を生まない」と決め付けているわけではありませんし、「専業主婦」が全員「将来の担い手を生み育てている」と言っているわけではありません。

比較して示したかったのは、現在「専業主婦」として、子供を産み育てている、あるいはそうしようとされている方が、子供を産み育てることを諦め「社会での活躍」を余儀なくされた場合(結果的にそうなった場合も含めて)、どの程度年金財政に対して貢献するのかというものです。

つまり、「将来の担い手を産まない働く女性」と「将来の担い手を産む専業主婦」を比較したわけではありません。

こうした比較を行ったのは、「配偶者控除見直し」議論は、自分で年金保険料を負担していない「専業主婦」は優遇されており、不公平だという世論を逆手にとったものだと感じているからです。

「専業主婦」として、子供を産み育てて行くことを考えている主婦が、「配偶者控除見直し」に「後押し」され、働きに出ることによって、どの程度年金財政に貢献する可能性があるのかについては、例え大雑把な仮定に基づいた例であったとしても検証するべきだと思います。そうでなければ、「専業主婦優遇論」は単なる「感情論」になってしまうからです。

ブログ内で置いた仮定では、働きに出て頂いた方が年金財政の「現在価値」に560万円ほど貢献するが、お子さんを2人育てて頂けたら「専業主婦」を続けて頂いた方が貢献度が高くなる可能性もあるという結果となりました。

この結果に関して、個人的には、現在実しやかに言われている「専業主婦優遇論」は、「感情論」によってかなり増幅されているのではないかとという印象を抱いています。そして、「配偶者控除見直し」の一つの理由が「専業主婦優遇論」だとしたら、「感情論」によってかなり増幅されてしまった意見に基づいて政策判断がなされるということになりますから、その判断は必ずしも正しい選択だとは限らいと考えます。

また、日本が今直面している大きな社会問題は「少子高齢化」です。これまでは、「団塊の世代」が高齢化することで「少子高齢化」が進んで来たのですが、その先は、「少子化」によって「少子高齢化」が継続するという状況にあります。ですから、「少子高齢化」を解決するためには、「少子化」を食い止めることが最優先課題になって来ます。

「103万円の壁」によって「女性就労が抑制されている」というのであれば、「103万円の壁」が撤廃された場合、女性の労働時間は当然長くなることが想定されます。それが女性の意思なのであれば問題はないのですが、企業側の意思だった場合、女性ご本人や家庭に悪影響を及ぼす可能性が高いのではないかと思っています。

労働時間が本人の意思に基づかずに長くなり負担が増した場合、女性が子供を産み、育てるという余裕を失ってしまうような気がしてなりません。もちろん、「元祖イクメン」を自負している筆者としては、子育ては男性も積極的に関わるのは当然だと思っています。しかし、子供産むことは、女性にしか出来ず、女性にお願いをする以外にないという歴然とした事実もあります。

ですから、「少子化」が大きな社会問題になっている今日、女性を心身ともに疲れさせてしまうような政策は取るべきではないと考える次第です。

「少子化」を食い止めるためには、「専業主婦」として、子供を産み育てることを希望している女性に、その夢を果して頂くことがとても重要になって来ると考えています。そうした希望を持った女性を、「女性の社会進出を後押しする」という詭弁で、仕事に狩り出すというのは、とても得策だとは思えません。

「社会進出」を望む女性はそれが実現でき、「専業主婦」を望む女性にはそれが実現出来るという、「選択肢のある社会」を作ることは、「女性が活躍する社会」と同じ位重要なことではないかと思います。

昨日公開したブログで年金財政に対する貢献度を示したのは、「専業主婦」が年金財政に大きな負担になっているわけではなく、「専業主婦優遇論」は「感情論」によって必要以上に増幅されている可能性があることを、数字的に示したかったからです。「感情論」によって必要以上に増幅されている「専業主婦優遇論」にもとづいて「配偶者控除見直し」が行われるとしたら、日本社会が直面している「少子化」という課題の克服は難しくなるのではないかという懸念を紹介させて頂いたわけです。

もちろん、「少子化」というのが、今の日本が解決すべき課題でないと考えられている方や、専業主婦が育てた子供がニートや精神を病むと考えている方にとっては、全く無駄な意見だということになりますが。こうした見解の相違があるのは「選択肢のある社会」においては当然のことだとご理解頂ければ幸いです。
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コメント

専業主婦世帯優遇論は、感情論であるどころか「真っ赤な嘘」です。

というのも、世帯で見れば、「夫と妻が500ずつ稼いで、家事も半分ずつやる」世帯と、「夫が1000万稼いで、家事は全部妻がやる」家庭を比べれば、累進課税の結果、後者の専業世帯が重税なのです。

これは、「経済の最小単位は家庭」という実態経済から見れば、専業主婦に過度に重い税を課しているとすらいえるのです。


実際、私が住んでいたアメリカでは、日本の配偶者控除より、はるかに専業主婦に有利な二分二乗課税を行っております。ドイツ・フランスも夫婦を形成することでアメリカと同様の減税となります。

日本の配偶者控除制度が「男女の役割を強いていて封建的だ」とする自称リベラルフェミニストは、じゃあドイツ・フランス・アメリカも男女差別封建国家だと言うのだろうか。

Re: タイトルなし

山本様、貴重なコメントを頂きありがとうございます。全く仰る通りだと思います。
また、海外の制度は不勉強で知りませんでした。「グローバルスタンダード」かぶれの政府やマスコミが全く指摘しないというのは、この問題が彼らにとって「特定秘密」だということなのでしょうね。

Re: タイトルなし

山本様から頂いた貴重なコメントを、小生の facebook で紹介させて頂きました。ありがとうございます。

こちらこそ

紹介していただいて嬉しいです。
世帯の税負担や家族の機能を無視する発言だけが持て囃されていますが 実際の暮らし=家庭生活を守るために頑張ってください!

なんで働き続けることと出産、子育てを両立できない前提なわけ?そんなわけわからん前提の試算なんて意味がない。
会社人生40年以上有るわけだからそんなかの数年休めるようにするとかできるようにすれば良くない?能力がある女性なら会社も戻ってきて欲しいでしょ。子育てか仕事の2択みたいになってるのが問題だし、専業の方が得するような税制は、その2択を助長してる。別に控除なくても仕事しない選択肢は有るわけで控除がなくなったからといって女性の選択が制限されるわけでもない。子育ても仕事もやる有能な女性が社会で活躍できるような制度や優遇策がとられるべき。


4/16の山本さん投稿のコメント、特に前半見てください。考えさせられると思います。

Re: タイトルなし

山本さんから頂いた貴重なコメントは、その日のうちに小生のfacebookで紹介させて頂きました。

配偶者控除は縮小や撤廃ではなく、上限を引き上げれば済む話だと思います。配偶者控除の撤廃は実質ただの増税ですから。消費増税してまだ増税するか?ですよ、僕から言わせれば。
日本には一部供給不足に陥っている産業はありますが、配偶者控除を受けていた家庭の女性が配偶者控除撤廃を受けて、医療介護、建設関連にフルタイムで働きに出ると思います?
マクロ的に見て、まだ供給を高めるより需要を高める政策を優先すべき時期だと思いますけど。
配偶者控除と育児と仕事の両立に苦労している女性と一緒に論じるのは違うと思います。配偶者控除は維持、もしくは拡張すればいいし、託児所や保育の充実も進めればいい。今は国民の財布をどれだけ温かく出来るかを考えて政策を進めるべきです。

「専業主婦」自体に疑問があります

「専業主婦」自体に疑問があります。それは、まずは、字ずらから、など細かいところを言うのは、嫌な気はしますが。
「専業」と言うと、「専業農家」などその業をなりわいとしていることを産業分類などではいわれますが、如何でしょうか?
「専業主婦」が現在行っている事全てを業務として一生涯行う方は、その方が女性ならば、「専業主婦」と言う「名称」で充分です。ですが、「男性」がそれらを専任して行う場合、又は、子育て期間限定で、それらの業務を行い、再びフルタイム勤務などに戻ることを考えている女性の場合、自ずと、違う意味を持ってくるのではないか?と考えます。

Re: 「専業主婦」自体に疑問があります

中村様
この度はコメントをお寄せ頂きありがとうございます。確かにご指摘の通りですね。何か、「働く女性」のアンチテーゼとして、それ以外の女性を十把一絡げにして「専業主婦」と称しているようですね。まるで「仮想敵」のように。小生は、少子化問題が解決すべき問題とされている中での「専業主婦バッシング」には違和感を禁じ得ません。

無題

山本たかし氏のコメントは有益だった。
不正受給者バッシングに乗じた「生活保護減額」と、ほとんど同じ構図と言えます。
安倍氏の戦略は、少子化により日本が将来抱える労働者不足も、専業主婦依存。一方で子供はどんどん生んで育てろ(苦笑)
一方の日本経済は、デフレ脱却も定かでないのに消費税増税ラッシュで家計を圧迫。
45歳の主婦が年金を納め始めても、年金受給年齢はいつ?貰えないのであれば、誰が加入したがると言うのか?
年金の信用不安を解消せずして、国民を檻に追い込むような付け焼刃な制度は不毛としか言いようがない。

保育園にかかる税金

私は子が小学校にあがるまで仕事をしていた主婦です。
白状しますと、それまで仕事を続けていた理由は、ただただ自己利益のためでした。認可保育園の児童にひとりあたり多額の税金が投入されていることを知っており、それを享受するためです。
実際、専業主婦で幼稚園の友人たちは、認可保育園の充実した給食、公務員保育士たちによる手厚い保育、保育料の安さ(当地域では世帯年収が1000万超でも幼稚園と同等でした)に垂涎の様子でした。
専業主婦優遇なんて感じたことないです。保育園に預けずに、多くの時間を育児にさくということは、そのぶん税金使ってないわけですから。

Re: 保育園にかかる税金

とも様、この度はコメントをお寄せ頂きありがとうございます。専業主婦が優遇されているかのような論調は、働く女性と専業主婦との無用な対立を煽るような無駄な議論だと思います。私は「少子化」は日本にとって優先順位の高い問題だと思っていますので、専業主婦を悪者にするかのような議論には賛同できません。働きたい女性は男性と同様に働け、子育てが終わったら仕事に復帰したい女性は復帰でき、家庭を大切に守りたい女性は専業主婦でいられるという選択肢の持てる社会が理想だと思います。家庭を守りたいと思っている女性を、安価な労働力を確保するために労働市場に参加させるというやり方には疑問を感じています。
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近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

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