「一計を案じた」中小企業視察 ~現実逃避か、裸の王様か

「アベノミクス波及の弾みにしたい ―。首相にはこんな狙いもあった。視察先に一計を案じ、従業員10~30人程度の中小企業とはいえ、政権が重視する女性の雇用拡大や高い技術力による販路拡大などを実現した「優良企業」ばかりを選んだ」(19日付日本経済新聞 「成長戦略、全国浸透に躍起」)

日本経済新聞は、安倍総理が「『アベノミクス』の恩恵が届きにくく、消費増税を受けた駆け込み需要の反動減の悪影響を受けやすい」中小企業の現場を直接見て回ったことを、大きく報道しています。

しかし、「一計を案じ」、「優良企業」ばかりを選んだ中小企業の視察に、何の意味があるのでしょうか。

日本語の特徴でもありますが、この記事には「主語」がなく、読んだだけでは「誰が一計を案じたのか」という肝心の部分が分からないようになっています。もし「主語」が「安倍総理」なのだとしたら、総理は「現実を直視し、学ぼうとする気概がない政治家」ということになりますし、「主語」が「総理の側近」だとしたら、総理を「裸の王様」にする、国民に対する背信行為ということになります。

日本を代表する経済紙は、何故肝心な「主語」を省略したのでしょうか。彼らにとって、「中小企業の現実」と「裸の王様」のどちらが特定秘密だったということなのでしょうか。

「18日の視察では『アベノミクスの恩恵が十分に伝わっていない』と首相に素直な感想を打ち明ける経営者もいた」(同日本経済新聞)

「優良企業ばかり」集めた企業の経営者の中からこうした声が挙がるというのは、ほとんどの中小企業には「アベノミクスの恩恵が十分に伝わっていない」ことの証左です。しかし、安倍総理にそうしたことが「十分に伝わっていない」可能性が高いように思えてなりません。

5日の都内の百貨店での買い物といい、総理大臣の「視察」は、本人がどんな意思を持っているか、どんな「一計を案じる」かに関らず、「パフォーマンス」になってしまうことは明らかですし、経済実態に触れることは出来ません。したがって、日本経済の実態を知るためには、予断無く経済統計を精査する能力を身に付ける以外にありません。身に付けられるかどうかという問題はありますが。

もし、総理が本当に現場を「視察」することを望んでいるのであれば、せめてマスコミは避けて実施するべきだと思います。また、マスコミも総理大臣を始めとした政治家の「視察」を「パフォーマンス化」させないためにも、「総理の視察」であってもを取り上げないくらいの気概を持つべきではないかと思います。

オープンしたての日本一高いビル、「あべのハルカス」のマスコットキャラクターの熊「あべのべあ」を見ながら、安倍総理が「安部のベア。ベースアップだ」とご機嫌だったというような、下らない記事に紙面を浪費してしまうことに、せめて日本を代表する経済紙には、少しは恥ずかしいと感じて貰いたいものです。

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