GDPが7兆円増え、税収が1.6兆円も増える~辻褄あってますか !?

(2014年4月23日)
「法人税率が10%下がれば、国内総生産(GDP)が少なくとも7兆円増える――」「税収は13年度より1兆6千億円増える」(23日付日本経済新聞 「法人税10%下げればGDP7兆円増」)

GDPが7兆円増え、税収が1.6兆円も増える。なかなか、素晴らしい経済効果のようです。

2013年度の予算ベースで法人税収は国と地方を合わせて15.3兆円ですから、法人税率を10%下げることによる税収増は、法人税収の10%以上の規模になるようです。

はっきりしないのは、1兆6千億円の税収増というのが、法人税収のことなのか、税収全体のことなのかです。

財務省は、1%の法人税引下げによって約5,000億円の税収減が生じるため、法人実効税率の引き下げと財政健全化の両立には代替財源の確保が欠かせないとの立場をとっています。財務省の言い分を信じて単純計算すると、法人税率を10%引き下げることによって法人税収は5兆円程度減ることになります。

どんなに厚かましい経済見通ししか出さない安倍内閣でも、さすがに法人税率引下げによって海外からも日本進出が進むなど「景気の好循環」が加速し、法人税収が6.6兆円増えることで「税収は13年度より1兆6千億円増える」とは主張しないでしょうから、法人税収が約5兆円減ることが見込まれる中で、「税収は13年度より1兆6千億円増える」のは、法人税以外の税収が6兆6千億円ほど増えるという意味だと思われます。

法人税率とは反対に引上げられることが決まっているのが消費税率です。政府は消費税率を1%上げることによる税増収効果は約2.7兆円としていますから、2015年10月に消費税が10%まで引上げられれば、消費税だけで「2013年度より」10兆円以上税収が増える計算になります。

財務省の試算通り、消費増税によって10兆円強の税収増が見込まれるとしたら、「税収は2013年度より1兆6千億円増える」というのは、消費税以外の税収が3兆4千億円ほど減る(=消費税収増10兆円-法人税収減5兆円-法人税率引き下げによる税収増見込1.6兆円)ことを意味することになります。

消費税と法人税を除くと、主な税収は「所得税13.9兆円」、「相続税1.5兆円」(共に2013年度予算ベース)です。相続税は控除が減り実質増税になりますから、相続税が減ることは考え難いことです。

このように消去法で考えると、税収が実質3兆4千億円も見込み額を下回る原因としては、消費増税による「経済の悪循環」が進むことで、「所得税」が下がり、「消費税」の増税効果が政府の期待を下回る以外にないということになります。

「法人税率が10%下げればGDP7兆円増」

日本を代表する経済紙は、このような見出しで経済産業省の試算結果を報じ、法人税率引下げによる経済効果が高いことをアピールしています。

しかし、示された税収見込みから単純計算する限り、実質的には税収は見込みよりも減る、つまり日本経済は鈍化することを示したものになっています。税収が、それぞれの項目を足し合わせたものに達さないなかで、GDPだけは7兆円増加する…。安倍内閣の経済見通しは、ついに「大胆な経済見通し」を超越し、「異次元の経済見通し」になって来たのかもしれません。

経済産業省が自民党の経済産業部会に提示するこの試算は、「国内売上高で上位1000社を対象にアンケートを実施し、3月までに自動車や電機メーカー、小売りなど351社から回答を得た」とあるように、僅か351社によるアンケート結果ですから、この程度の「矛盾」が出て来ても当然なのかもしれません。

23日時点では、経済産業省のホームページにこのアンケート調査の結果は載せられていませんから、もしかすると、経済産業省にとっては、見られたくない恥ずかしい「特定秘密」なのかもしれません。

「ここから経済への波及効果を計算すると、3~5年程度でGDPは7兆円増え、税収は13年度より1兆6千億円増えるという。一方、このまま法人税が高止まりすると、売上高15兆円、設備投資3800億円、研究開発4400億円が国内から消えると試算した」(同 日本経済新聞)

経済産業省の「特定秘密」をネタに「法人税10%下げればGDP7兆円増」という見出しを掲げ、矛盾した税収見通しを堂々と掲載し、法人税率を引下げないと「売上高15兆円、設備投資3800億円、研究開発4400億円国内から消える」という強迫記事を掲載した日本を代表する経済紙。

「未熟さ故の悪意のないミス」だったのか、「悪意のある捏造の失敗」だったのか。もし、調査委員会があったとしたら、どのような判断を下すのでしょうか。

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近藤駿介

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