「集団的自衛権容認の閣議決定」と「消費増税」~どちらにしても「命」と「暮らし」が危険に晒される

(2014年5月18日)
「(年内に控える)日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の再改定に間に合うようにやらないといけないという要請がある」(14日日経電子版)

集団的自衛権の行使を認める憲法解釈変更の与党内での合意時期について、高村自民党副総裁は「日米ガイドライン」の改定作業を年内に終わらせることを前提に、逆算して決める意向を示しています。そして、「日米ガイドライン」の年末再改定から逆算すれば、「夏頃」には憲法解釈変更の閣議決定を行う必要があると言われています。

「夏頃」には閣議決定を行う必要があるということは、与党内議論と国会議論を合わせて長くても3か月程度しかないということになります。

「ガイドラインについては2+2において明らかにしているように本年末完了を目指して努力することになっています」(16日、外務省「岸田外務大臣会見記録」)

しかし、この「日米ガイドライン」の年末改定は、期限が来て失効するというようなものではなく、あくまで「本年末完了を目指して努力する」というものでしかありません。2013年末までに交渉妥結するといわれてきたTPP交渉と同じで、期限は流動的なものですし、目標時点までに改定作業が完了していなかったからといって、日本の安全保障に致命的な問題が生じる訳ではありません。

集団的自衛権の憲法解釈変更を急ぐ勢力が、流動的で、「努力目標」に過ぎない「日米ガイドライン」の改定作業の期限を持ち出して、閣議決定の時期を「夏頃」に持ってこようとしているのは、それを過ぎてしまうと安倍政権の支持率が低下する可能性が高いことを警戒しているからに過ぎません。

安倍総理が、強引なまでに特定秘密保護法案や集団自衛権の憲法解釈変更を強引に推し進めようとしているのは、50%を超える支持率という後ろ盾があるからです。そして、その支持率を支えて来たのがアベノミクスによる「円安・株高」と、それが醸し出す「景気回復期待の香り」です。

しかし、4月からの消費増税実施などもあり、ここに来て一時の「円安・株高」の勢いはなくなってしまいました。専門家達はウクライナ情勢などによる「リスクオフの動き」という尤もらしい解説を繰り返していますが、昨年末と比較すると日本株の下落率はロシアと同等かそれ以上、4月以降でみるとほとんど日本は一人負け状態となっており、とても専門家の解説は信憑性の高いものではありません。

単純に言えば、「アベノミクスは飽きられた」ということです。

「円安・株高」の流れを取り戻すために安倍総理に残された手段は、来月にまとめられる「成長戦略」と、日銀の「追加緩和」、です。

仮にこの先金融市場が「円高・株安」に向かった場合、「円安・株高」によって支えられて来た安倍内閣の支持率に陰りが見えて来ることは想像に難くありません。安倍総理にとって、経済政策は、集団的自衛権の容認などの「政治信条」を実現するための露払いでしかありません。ですから、日銀の「追加緩和」や、130兆円の公的年金資産を運用するGPIFの資金投入など、ありとあらゆる手を使って株価維持を図り、時間を稼ごうとするものと思われます。安倍総理が集団的自衛権の行使容認の閣議決定を実現するためには高い支持率が必要不可欠で、「政治信条」達成のリスク要因である株価下落と支持率低下は、何があっても防ごうとするはずです。

「日米ガイドライン」の改定手続といった政治日程などは、集団的自衛権容認の閣議決定の時期にとって、間に合えばいいな、程度の問題ではないかと思われます。アベノミクスが市場で飽きられてしまったこと、夏ごろから消費増税の反動減が想定の範囲であったか、その後の回復が想定通りかが徐々に明らかになって来るというリスクを抱えていることを考えると、閣議決定は「夏頃」までに終わらせておく必要があるということだろうと思われます。

安倍総理の画策が上手く行って「夏頃」まで株価が維持されたら、強引に集団的自衛権容認の閣議決定がなされると思われます。反対に、日銀の「追加緩和」などにも関らず「夏頃」までに株価の下落傾向が鮮明になった場合には、集団的自衛権容認の閣議決定強硬は難しくなるかもしれません。しかし、これは同時に、国民が「景気回復の実感を全国津々浦々まで届ける」という夢をあきらめ、日銀の「追加緩和」も、「西洋戦略」も効かない「景気悪化」というに直面するということでもあります。

どちらに転んでも、日銀の金融政策を含めた経済政策が、1人の総理の「政治信条実現」のために利用されるという歪んだ政治が1年半続いたことで、「国民の命と暮らしを守る」という総理の言葉とは裏腹に、国民は「命」か「暮らし」、あるいは両方の危険性に晒される運命にあるようです。

スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

近藤駿介

プロフィール

Author:近藤駿介
ブログをご覧いただきありがとうございます。
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚をお伝えしていきたいと思います。

近藤駿介 実践!マーケット・エコノミー道場

入会キャンペーン 実施中!

メルマガのお知らせ

著書

アラフォー独身崖っぷちOL投資について勉強する

Anotherstage LLC

金融に関する知見を通して皆様の新しいステージ作りを応援

FC2ブログランキング

クリックをお願いします。

FC2カウンター

近藤駿介 facebook

Recommend

お子様から大人まで
町田市成瀬駅徒歩6分のピアノ教室

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

QRコード

QR