外食好調の原因は「経済の好循環」によるものか、「お父さんのお小遣いからの付け替え」によるものか

(2014年5月27日)
「日本フードサービス協会(東京・港)が26日発表した4月の外食売上高(全店ベース)は前年同月比2.3%増となり、2カ月連続で前年水準を上回った。消費増税による落ち込みが懸念されたが、ファミリーレストランなどで比較的単価の高い肉関連メニューが好調で、伸び率は増税直前の3月(1.7%増)を上回った」(27日付日本経済新聞 「『肉食』メニュー、外食をけん引」)

日本を代表する経済紙は、物事を複合的に見るということが相当苦手なようです。日本フードサービス協会が発表した「4月の外食売上高(全店ベース)」で、ファミリーレストランの売上が前年同月比2.3%増と2か月連続で前年水準を上回ったことを以て「消費増税の影響軽微」だと報じています。

確かに協会のホームページの「4月度概況」では「全体の売上、客単価はともに3月を上回る昨対比率(対前年度比率)となった」と記載されています。しかし、この後には、「新商品の投入やメニュー改定、クーポン配布、各種キャンペーンなど、増税をにらんだ各社の取り組みにより、消費税増税の影響は軽微であったことがうかがえる」と記されており、売上増の裏にかなりの企業努力があったことが伺えます。

個人的に気になるのは、「苦戦が続くのは『パブレストラン・居酒屋』。1.3%減と20カ月連続でマイナスだった。内訳をみるとパブ・ビアホールはプラスだが、居酒屋は12年3月以来、マイナスが続いている」(同 日本経済新聞)という部分。

消費増税が実施されたからといって、直ぐに家計の食費や生活費が切り詰められるわけではありません。一般的に、まず「仕訳の対象」になるのは「お父さんのお小遣い」というのが相場です。先日もバラエティ番組で、奥さんが消費増税を機に夫の小遣いを減らす提案をした時の夫の反応を隠し撮りするという企画が放送されていました。

実際にどの程度のお父さんが小遣いを減らされたのかを計る統計はありません。しかし、「居酒屋」の売上が2年以上もマイナスを続ける一方で、「ファミリーレストラン」が好調だということから想像できることは、減らされたお父さんのお小遣いが、家族での食事代に回されているという姿です。

日本を代表する経済紙は、「ファミリーレストラン」の売上増を、「経済の好循環」の結果として強調しようとしているようです。しかし、「お父さんの小遣いから家族の食事代への循環」である可能性も否定できませんから、「ファミリーレストラン」の売上増を以て、「増税の影響軽微」、「経済の好循環」へと繋げていくのは早計であるように思います。

日銀なども盛んに「経済の好循環による物価上昇シナリオ」を主張しています。しかし、最近注目されている「東大日時物価指数(7日平均)」を見てみると、GW前後に前年同日比マイナスに転落後再びプラス圏で推移して来ましたが、5月20日以降再び前年同日比で下落に転じています。

東大日次物価指数(20140523)


日本を代表する経済紙は、記事の中で「少し高くても品質がよく割安感を感じる商品に消費者はお金を使うようになっている」という「ファミリーレストラン」の分析を紹介していますが、東大日時指数が再び下落傾向を見せ始めたことは、こうした分析とは整合性の取れないものだといえます。

「経済の好循環」が続き、消費増税による落ち込みが「想定内」のなかで、物価が再び下落傾向を見せていることを、日本を代表する経済紙はどのように分析するのでしょうか。

「東大日次物価指数の原データは株式会社日本経済新聞デジタルメディアから提供を受けています」(東大日時物価指数プロジェクトHP「東大指数の概要」)

元データを東大に提供している日本を代表する経済紙。その貴重なデータを「宝の持ち腐れ」にしないよう、もう少し複合的、多角的な分析能力を磨いて頂きたいものです。

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近藤駿介

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